このセクションでは、リング割り当てに対するサポートの種類に基づいて、データリンク上にクライアントを構成する方法について説明します。
リングを構成するためのコマンドで説明されているように、データリンクのリングプロパティーを表示する dladm コマンドの出力を解釈できることを確認してください。この情報は、クライアントを構成してリングを割り当てる際に役立ちます。
詳細は、Oracle Solaris 11.2 でのユーザーとプロセスのセキュリティー保護 の割り当てられている管理権利の使用を参照してください。
# dladm show-linkprop -p rxringsavail,txringsavail,rxhwclntavail,txhwclntavail link
コマンドの出力から次の情報を確認します。
NIC がハードウェアベースのクライアントをサポートしているかどうか
ハードウェアベースのクライアントに割り当てるためのリングの可用性
リンク上に構成できるハードウェアベースのクライアントの可用性
# dladm create-vnic -p rxrings=value[,txrings=value] -l link VNIC
ここで、value は、次のいずれかを指定できます。
hw - ハードウェアベースのクライアントを構成していることを示します。
number - ハードウェアベースのクライアントのみを構成していることを示します。この数は、クライアントに排他的使用のために割り当てられるリングの数量を示します。
# dladm create-vnic -p rxrings=sw[,txrings=sw] -l link VNIC
または、クライアントが以前に作成されている場合は、dladm set-linkprop コマンドを使用してリングプロパティーを設定できます。
# dladm show-linkprop -p rxrings,txrings VNIC
# dladm show-phys -H link
この例では、nxge デバイスを基にして、データリンク net5 上にクライアントを構成してリングを割り当てる方法を示します。この例では次のクライアントを作成する方法を示します。
VNIC vnic2 (Rx および Tx リングを排他的に使用するハードウェアベースのクライアント)。
VNIC vnic3 (NIC ドライバの初期構成に従って、固定された数のリングが設定されているハードウェアベースのクライアント)。
VNIC vnic4 (ソフトウェアベースのクライアント)。
物理データリンク net5 がクライアントに対するリング割り当てをサポートするかどうかを確認します。
# dladm show-linkprop -p rxringsavail,txringsavail net5 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE net5 rxringsavail r- 7 7 -- -- net5 txringsavail r- 11 11 -- --
この出力は、物理データリンク net5 に、物理データリンク net5 上のクライアントに割り当てることができる 7 個の Rx リングと 11 個の Tx リングが存在することを示しています。
物理データリンク net5 上に作成できるハードウェアベースのクライアントの可用性を確認します。
# dladm show-linkprop -p rxhwclntavail,txhwclntavail net5 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE net5 rxhwclntavail r- 3 3 -- -- net5 txhwclntavail r- 4 4 -- --
この出力は、データリンク net5 上に 3 つのハードウェアベースの Rx クライアントと 4 つのハードウェアベースの Tx クライアントを作成できることを示しています。
物理データリンク net5 上の既存のリングの使用状況を確認します。
# dladm show-phys -H net5 LINK RINGTYPE RINGS CLIENTS nxge1 RX 0-7 <default,mcast> nxge1 TX 0-11 <default>
この出力は、nxge1 デバイスに 8 個の Rx リング (0-7) と 12 個の Tx リング (0-11) があることを示しています。nxge1 デバイス上にデータリンクが存在しないため、Rx リングと Tx リングはどのデータリンクにも割り当てられていません。CLIENTS 列の値 <default> は、Tx リングがソフトウェアベースのクライアントによって使用されることを示しています。CLIENTS 列の下の値 <default,mcast> は、Rx リングがソフトウェアベースのクライアントとユニキャスト以外のパケットによって使用されることを意味します。
データリンク net5 上に 2 つの Rx リングと 2 つの Rx リングがある VNIC vnic2 を作成します。
# dladm create-vnic -l net5 -p rxrings=2,txrings=2 vnic2
VNIC vnic2 に割り当てられたリングを確認します。
# dladm show-linkprop -p rxrings,txrings vnic2 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE vnic2 rxrings rw 2 2 -- sw,hw,<1-7> vnic2 txrings rw 2 2 -- sw,hw,<1-11>
物理データリンク net5 上のリングの使用状況を確認します。
# dladm show-phys -H net5 LINK RINGTYPE RINGS CLIENTS nxge1 RX 0,3-7 <default,mcast> nxge1 TX 0,3-11 <default> nxge1 RX 1-2 vnic2 nxge1 TX 1-2 vnic2
この出力は、vnic2 に割り当てられた Rx リングが 1 と 2 であることを示しています。Tx リングの場合、vnic2 はリング 1 および 2 を使用します。
物理データリンク net5 上に追加のハードウェアベースのクライアントを作成できるかどうかを確認します。
# dladm show-linkprop -p rxhwclntavail,txhwclntavail net5 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE net5 rxhwclntavail r- 2 2 -- -- net5 txhwclntavail r- 3 3 -- --
この出力は、物理データリンク net5 上に 2 つのハードウェアベースの Rx クライアントと 3 つのハードウェアベースの Tx クライアントを作成できることを示しています。
VNIC vnic3 (ハードウェアベースのクライアント) を作成します。
# dladm create-vnic -l net5 -p rxrings=hw,txrings=hw vnic3
VNIC vnic3 に割り当てられたリングを確認します。
# dladm show-linkprop -p rxrings,txrings vnic3 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE vnic3 rxrings rw -- 1 -- sw,hw,<1-7> vnic3 txrings rw hw hw -- sw,hw,<-11>
物理データリンク net5 上に追加のハードウェアベースのクライアントを作成できるかどうかを確認します。
# dladm show-linkprop -p rxhwclntavail,txhwclntavail net5 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE net5 rxhwclntavail r- 2 2 -- -- net5 txhwclntavail r- 2 2 -- --
この出力は、物理データリンク net5 上に 2 つのハードウェアベースの Rx クライアントと 2 つのハードウェアベースの Tx クライアントを作成できることを示しています。
VNIC vnic4 (ソフトウェアベースのクライアント) を作成します。
# dladm create-vnic -l net5 -p rxrings=sw,txrings=sw vnic4
vnic4 上のリングの使用状況を確認します。
# dladm show-linkprop -p rxrings,txrings vnic4 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE vnic4 rxrings rw sw -- -- sw,hw,<1-7> vnic4 txrings rw sw -- -- sw,hw,<1-11>
物理データリンク net5 上のリングの使用状況を確認します。
# dladm show-phys -H net5 LINK RINGTYPE RINGS CLIENTS nxge1 RX 0,4-7 <default,mcast>,vnic4 nxge1 TX 0,4-11 <default>,vnic4 nxge1 RX 1-2 vnic2 nxge1 RX 3 vnic3 nxge1 TX 1-2 vnic2 nxge1 TX 3 vnic3
この出力は、vnic4 が、物理データリンク net5 でリングのデフォルトセットを共有するソフトウェアベースのクライアントであることを示しています。VNIC vnic2 は 2 つのリング (2-3) を排他的に使用するハードウェアベースのクライアントであり、vnic3 は 1 つのリング (3) を排他的に使用するハードウェアベースのクライアントです。
この例では、ixgbe デバイスを基にして、物理データリンク net4 上にクライアントを構成してリングを割り当てる方法を示します。
物理データリンク net4 上の既存のリングの使用状況を確認します。
# dladm show-phys -H net4 LINK RINGTYPE RINGS CLIENTS net4 RX 0-3 <default,mcast> net4 RX 4-7 -- net4 RX 8-11 -- net4 RX 12-15 -- net4 TX 0-7 <default>
物理データリンク net4 上にハードウェアベースのクライアントを作成できるかどうかを確認します。
# dladm show-linkprop -p rxhwclntavail,txhwclntavail,rxringsavail,txringsavail net4 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE net4 rxhwclntavail r- 3 3 -- -- net4 txhwclntavail r- 0 0 -- -- net4 rxringsavail r- 0 0 -- -- net4 txringsavail r- 0 0 -- --
この出力は、物理データリンク net4 上に 3 つのハードウェアベースの Rx クライアントを作成できることを示しています。
VNIC vnic3 (ハードウェアベースの Rx クライアント) を作成します。
# dladm create-vnic -l net4 -p rxrings=hw vnic3
ハードウェアベースの Tx クライアントの使用可能な数 (txhwclntavail) はゼロであるため、vnic3 の txrings プロパティーを構成することはできません。
VNIC vnic3 に割り当てられたリングを確認します。
# dladm show-linkprop -p rxrings,txrings vnic3 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE vnic3 rxrings rw hw hw -- sw,hw vnic3 txrings rw -- 8 -- --
物理データリンク net4 上に追加のハードウェアベースのクライアントを作成できるかどうかを確認します。
# dladm show-linkprop -p rxhwclntavail,txhwclntavail,rxringsavail,txringsavail net5 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE net4 rxhwclntavail r- 2 2 -- -- net4 txhwclntavail r- 0 0 -- -- net4 rxringsavail r- 0 0 -- -- net4 txringsavail r- 0 0 -- --
この出力は、物理データリンク net4 上に 2 つのハードウェアベースの Rx クライアントを作成できることを示しています。
物理データリンク net4 上のリングの使用状況を確認します。
# dladm show-phys -H net4 LINK RINGTYPE RINGS CLIENTS net4 RX 0-3 <default,mcast> net4 RX 4-7 vnic3 net4 RX 8-11 net4 RX 12-15 -- net4 TX 0-7 <default>,vnic3
この出力は、vnic3 が 4 つのリングを排他的に使用できるハードウェアベースの Rx クライアントであることを示しています。Tx リングの場合、vnic3 はリングのデフォルトセットを使用し、さらに物理データリンク net4 上にほかのデータリンクが作成されている場合はそれらとリングを共有します。