Oracle® Solaris 11.2 での仮想ネットワークとネットワークリソースの管理

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更新: 2014 年 9 月
 
 

クライアントの構成とリングの割り当て

このセクションでは、リング割り当てに対するサポートの種類に基づいて、データリンク上にクライアントを構成する方法について説明します。

クライアントを構成してリングを割り当てる方法

リングを構成するためのコマンドで説明されているように、データリンクのリングプロパティーを表示する dladm コマンドの出力を解釈できることを確認してください。この情報は、クライアントを構成してリングを割り当てる際に役立ちます。

  1. 管理者になります。

    詳細は、Oracle Solaris 11.2 でのユーザーとプロセスのセキュリティー保護 の割り当てられている管理権利の使用を参照してください。

  2. ベースとなる物理データリンクのプロパティーを表示します。
    # dladm show-linkprop -p rxringsavail,txringsavail,rxhwclntavail,txhwclntavail link

    コマンドの出力から次の情報を確認します。

    • NIC がハードウェアベースのクライアントをサポートしているかどうか

    • ハードウェアベースのクライアントに割り当てるためのリングの可用性

    • リンク上に構成できるハードウェアベースのクライアントの可用性

  3. 前の手順で得られた情報に応じて、次のいずれかを実行します。
    • ハードウェアベースのクライアントは次の構文を使用して作成します。
      # dladm create-vnic -p rxrings=value[,txrings=value] -l link VNIC

      ここで、value は、次のいずれかを指定できます。

      • hw - ハードウェアベースのクライアントを構成していることを示します。

      • number - ハードウェアベースのクライアントのみを構成していることを示します。この数は、クライアントに排他的使用のために割り当てられるリングの数量を示します。

    • ソフトウェアベースのクライアントは次の構文を使用して作成します。
      # dladm create-vnic -p rxrings=sw[,txrings=sw] -l link VNIC

    または、クライアントが以前に作成されている場合は、dladm set-linkprop コマンドを使用してリングプロパティーを設定できます。

  4. (オプション) 作成したクライアントのリング情報を確認します。
    # dladm show-linkprop -p rxrings,txrings VNIC
  5. (オプション) 異なるクライアントの間で分散されているリンクのリングを確認します。
    # dladm show-phys -H link
使用例 7-2  nxge デバイスでのクライアントの構成とリングの割り当て

この例では、nxge デバイスを基にして、データリンク net5 上にクライアントを構成してリングを割り当てる方法を示します。この例では次のクライアントを作成する方法を示します。

  • VNIC vnic2 (Rx および Tx リングを排他的に使用するハードウェアベースのクライアント)。

  • VNIC vnic3 (NIC ドライバの初期構成に従って、固定された数のリングが設定されているハードウェアベースのクライアント)。

  • VNIC vnic4 (ソフトウェアベースのクライアント)。

  1. 物理データリンク net5 がクライアントに対するリング割り当てをサポートするかどうかを確認します。

    # dladm show-linkprop -p rxringsavail,txringsavail net5
    LINK     PROPERTY        PERM  VALUE     EFFECTIVE   DEFAULT   POSSIBLE
    net5     rxringsavail    r-    7         7           --        --
    net5     txringsavail    r-    11        11          --        --

    この出力は、物理データリンク net5 に、物理データリンク net5 上のクライアントに割り当てることができる 7 個の Rx リングと 11 個の Tx リングが存在することを示しています。

  2. 物理データリンク net5 上に作成できるハードウェアベースのクライアントの可用性を確認します。

    # dladm show-linkprop -p rxhwclntavail,txhwclntavail net5 
    LINK     PROPERTY        PERM  VALUE    EFFECTIVE   DEFAULT   POSSIBLE
    net5     rxhwclntavail   r-    3        3           --        --
    net5     txhwclntavail   r-    4        4           --        -- 

    この出力は、データリンク net5 上に 3 つのハードウェアベースの Rx クライアントと 4 つのハードウェアベースの Tx クライアントを作成できることを示しています。

  3. 物理データリンク net5 上の既存のリングの使用状況を確認します。

    # dladm show-phys -H net5
    LINK     RINGTYPE    RINGS     CLIENTS 
    nxge1    RX          0-7       <default,mcast>
    nxge1    TX          0-11      <default>
    

    この出力は、nxge1 デバイスに 8 個の Rx リング (0-7) と 12 個の Tx リング (0-11) があることを示しています。nxge1 デバイス上にデータリンクが存在しないため、Rx リングと Tx リングはどのデータリンクにも割り当てられていません。CLIENTS 列の値 <default> は、Tx リングがソフトウェアベースのクライアントによって使用されることを示しています。CLIENTS 列の下の値 <default,mcast> は、Rx リングがソフトウェアベースのクライアントとユニキャスト以外のパケットによって使用されることを意味します。

  4. データリンク net5 上に 2 つの Rx リングと 2 つの Rx リングがある VNIC vnic2 を作成します。

    # dladm create-vnic -l net5 -p rxrings=2,txrings=2 vnic2
  5. VNIC vnic2 に割り当てられたリングを確認します。

    # dladm show-linkprop -p rxrings,txrings vnic2
    LINK     PROPERTY     PERM   VALUE    EFFECTIVE    DEFAULT   POSSIBLE
    vnic2    rxrings      rw     2        2            --        sw,hw,<1-7>
    vnic2    txrings      rw     2        2            --        sw,hw,<1-11>
  6. 物理データリンク net5 上のリングの使用状況を確認します。

    # dladm show-phys -H net5
    LINK     RINGTYPE     RINGS      CLIENTS
    nxge1    RX           0,3-7      <default,mcast>
    nxge1    TX           0,3-11     <default>
    nxge1    RX           1-2        vnic2
    nxge1    TX           1-2        vnic2

    この出力は、vnic2 に割り当てられた Rx リングが 12 であることを示しています。Tx リングの場合、vnic2 はリング 1 および 2 を使用します。

  7. 物理データリンク net5 上に追加のハードウェアベースのクライアントを作成できるかどうかを確認します。

    # dladm show-linkprop -p rxhwclntavail,txhwclntavail net5
    LINK     PROPERTY        PERM  VALUE     EFFECTIVE   DEFAULT   POSSIBLE
    net5     rxhwclntavail   r-    2         2           --        --
    net5     txhwclntavail   r-    3         3           --        --
    

    この出力は、物理データリンク net5 上に 2 つのハードウェアベースの Rx クライアントと 3 つのハードウェアベースの Tx クライアントを作成できることを示しています。

  8. VNIC vnic3 (ハードウェアベースのクライアント) を作成します。

    # dladm create-vnic -l net5 -p rxrings=hw,txrings=hw vnic3
  9. VNIC vnic3 に割り当てられたリングを確認します。

    # dladm show-linkprop -p rxrings,txrings vnic3
    LINK     PROPERTY     PERM    VALUE   EFFECTIVE    DEFAULT   POSSIBLE
    vnic3    rxrings      rw      --      1            --        sw,hw,<1-7>
    vnic3    txrings      rw      hw      hw           --        sw,hw,<-11>

    注 -  クライアントに割り当てられるリングの数はネットワークデバイスによって異なります。リングの数を明示的に指定できるデバイス (たとえば、nxge デバイス) 上のクライアントに 1 つのリングが割り当てられます。その他のデバイスの場合、クライアントに割り当てられるリングの数は、デバイスがどのように構成されているかによって異なります。Example 7–3 を参照してください。
  10. 物理データリンク net5 上に追加のハードウェアベースのクライアントを作成できるかどうかを確認します。

    # dladm show-linkprop -p rxhwclntavail,txhwclntavail net5
    LINK     PROPERTY        PERM   VALUE   EFFECTIVE  DEFAULT   POSSIBLE
    net5     rxhwclntavail   r-     2       2          --        --
    net5     txhwclntavail   r-     2       2          --        -- 

    この出力は、物理データリンク net5 上に 2 つのハードウェアベースの Rx クライアントと 2 つのハードウェアベースの Tx クライアントを作成できることを示しています。

  11. VNIC vnic4 (ソフトウェアベースのクライアント) を作成します。

    # dladm create-vnic -l net5 -p rxrings=sw,txrings=sw vnic4
  12. vnic4 上のリングの使用状況を確認します。

    # dladm show-linkprop -p rxrings,txrings vnic4
    LINK     PROPERTY     PERM   VALUE    EFFECTIVE   DEFAULT   POSSIBLE 
    vnic4    rxrings      rw     sw       --          --        sw,hw,<1-7>   
    vnic4    txrings      rw     sw       --          --        sw,hw,<1-11>
  13. 物理データリンク net5 上のリングの使用状況を確認します。

    # dladm show-phys -H net5
    LINK     RINGTYPE    RINGS       CLIENTS
    nxge1    RX          0,4-7       <default,mcast>,vnic4
    nxge1    TX          0,4-11      <default>,vnic4
    nxge1    RX          1-2         vnic2
    nxge1    RX          3           vnic3
    nxge1    TX          1-2         vnic2
    nxge1    TX          3           vnic3

    この出力は、vnic4 が、物理データリンク net5 でリングのデフォルトセットを共有するソフトウェアベースのクライアントであることを示しています。VNIC vnic2 は 2 つのリング (2-3) を排他的に使用するハードウェアベースのクライアントであり、vnic3 は 1 つのリング (3) を排他的に使用するハードウェアベースのクライアントです。

使用例 7-3  ixgbe デバイスでのクライアントの構成とリングの割り当て

この例では、ixgbe デバイスを基にして、物理データリンク net4 上にクライアントを構成してリングを割り当てる方法を示します。

  1. 物理データリンク net4 上の既存のリングの使用状況を確認します。

    # dladm show-phys -H net4
    LINK      RINGTYPE    RINGS     CLIENTS 
    net4      RX          0-3       <default,mcast>
    net4      RX          4-7       --
    net4      RX          8-11      -- 
    net4      RX          12-15     --
    net4      TX          0-7       <default>
  2. 物理データリンク net4 上にハードウェアベースのクライアントを作成できるかどうかを確認します。

    # dladm show-linkprop -p rxhwclntavail,txhwclntavail,rxringsavail,txringsavail net4
    LINK     PROPERTY        PERM   VALUE   EFFECTIVE  DEFAULT   POSSIBLE
    net4     rxhwclntavail   r-     3       3          --        --
    net4     txhwclntavail   r-     0       0          --        --
    net4     rxringsavail    r-     0       0          --        -- 
    net4     txringsavail    r-     0       0          --        -- 

    この出力は、物理データリンク net4 上に 3 つのハードウェアベースの Rx クライアントを作成できることを示しています。

  3. VNIC vnic3 (ハードウェアベースの Rx クライアント) を作成します。

    # dladm create-vnic -l net4 -p rxrings=hw vnic3

    ハードウェアベースの Tx クライアントの使用可能な数 (txhwclntavail) はゼロであるため、vnic3txrings プロパティーを構成することはできません。

  4. VNIC vnic3 に割り当てられたリングを確認します。

    # dladm show-linkprop -p rxrings,txrings vnic3
    LINK     PROPERTY       PERM   VALUE     EFFECTIVE  DEFAULT   POSSIBLE
    vnic3    rxrings         rw    hw        hw         --        sw,hw
    vnic3    txrings         rw    --        8          --        -- 
  5. 物理データリンク net4 上に追加のハードウェアベースのクライアントを作成できるかどうかを確認します。

    # dladm show-linkprop -p rxhwclntavail,txhwclntavail,rxringsavail,txringsavail net5
    LINK     PROPERTY        PERM  VALUE     EFFECTIVE   DEFAULT   POSSIBLE
    net4     rxhwclntavail   r-    2         2           --        -- 
    net4     txhwclntavail   r-    0         0           --        -- 
    net4     rxringsavail    r-    0         0           --        -- 
    net4     txringsavail    r-    0         0           --        -- 
    

    この出力は、物理データリンク net4 上に 2 つのハードウェアベースの Rx クライアントを作成できることを示しています。

  6. 物理データリンク net4 上のリングの使用状況を確認します。

    # dladm show-phys -H net4
    LINK      RINGTYPE    RINGS     CLIENTS 
    net4      RX          0-3       <default,mcast>
    net4      RX          4-7       vnic3 
    net4      RX          8-11       
    net4      RX          12-15     --
    net4      TX          0-7       <default>,vnic3

    この出力は、vnic3 が 4 つのリングを排他的に使用できるハードウェアベースの Rx クライアントであることを示しています。Tx リングの場合、vnic3 はリングのデフォルトセットを使用し、さらに物理データリンク net4 上にほかのデータリンクが作成されている場合はそれらとリングを共有します。