Oracle Solaris 10 では、ndd コマンドを使用して、ネットワークパラメータ (チューニング可能値) や一部のドライバ固有のプロパティーをカスタマイズします。ndd コマンドは Oracle Solaris 11 でも引き続き機能しますが、これらのプロパティーの管理には、dladm コマンドが推奨されます。
Oracle Solaris 10 ではまた、一部のドライバ固有のプロパティーを構成するために driver.conf ファイルも使用されます。Oracle Solaris 11 では、dladm プロパティーのほか、ドライバ専用プロパティーによる特定のドライバ専用機能を設定することによって、いくつかの一般的なドライバ機能を構成できます。
次の 3 つのクラスのチューニング可能値を構成できます。
一般的な汎用プロパティー – これらのプロパティーのほとんどは、dladm コマンドの同等のプロパティーに単純にマップされます。
ndd コマンドパラメータが –get および –set サブコマンドを使用して問合せおよび設定されるのに対して、dladm プロパティーは、show-linkprop および set-linkprop サブコマンドを使用して問合せおよび設定されます。また、reset-linkprop サブコマンドを使用して dladm プロパティーをリセットすることもできます。次の例は、これらの 2 つのコマンドの違いのいくつかを示しています。
次の例では、ndd コマンドを –get サブコマンドとともに使用して、データリンク net0 のリンク速度を取得しています。
# ndd -get /dev/net/net0 link_speed
次の例は、speed プロパティーからその情報を取得するために使用する同等の dladm コマンドを示しています。
# dladm show-linkprop -p speed net0 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE net0 speed r- 0 0 0 --
別の例として、リンク速度およびデュプレックス設定の自動ネゴシエーションを有効にする方法を示します。次の例では、ndd コマンドを使用して、adv_autoneg_cap パラメータを設定しています。
# mdd -set /dev/net/net0 adv_autoneg_cap 1
ndd コマンドでは、リブート後も保持される設定が構成されないことに注意してください。
次の例は、dladm コマンドを使用して adv_autoneg_cap パラメータを設定し、リンク速度およびデュプレックス設定の自動ネゴシエーションを有効にする方法を示しています。
# dladm set-linkprop -p adv_autoneg_cap=1
dladm コマンドを使用した場合は、変更がただちに実行され、システムのリブート後も保持されます。
機能に関連したチューニング可能値 – これらのプロパティーの多くは、Oracle Solaris 11 に同等の dladm コマンドオプションがあります。プロパティーのリストは広範囲にわたります。dladm(1M) のマニュアルページの Ethernet リンクのプロパティーに関するセクションを参照してください。
dladm コマンドをオプションなしで使用してこれらのプロパティーを表示するか、または dladm show-ether コマンドを使用できます。dladm show-ether コマンドにオプションを何も指定しない場合、データリンクの現在の Ethernet プロパティー値だけが表示されます。デフォルトで提供されるもの以外の情報を取得するには、次の例に示すように –x オプションを使用します。
# dladm show-ether -x net1 LINK PTYPE STATE AUTO SPEED-DUPLEX PAUSE net1 current up yes 1G-f both -- capable -- yes 1G-fh,100M-fh,10M-fh both -- adv -- yes 100M-fh,10M-fh both -- peeradv -- yes 100M-f,10M-f both
–x オプションを使用すると、このコマンドは指定されたリンクの組み込み機能や、ホストとリンクパートナーとの間で現在通知されている機能も表示します。
ドライバ固有のプロパティー – Oracle Solaris 11 では、以前に driver.conf ファイル内に格納されていたプロパティーを構成する方法は特定のドライバに依存します。以前にこのファイル内で構成されていた主なプロパティーは、最大転送単位 (MTU) プロパティーです。このプロパティーは、dladm コマンドを使用して管理します。Oracle Solaris 11.2 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 のMTU プロパティーの設定を参照してください。
dladm コマンドを使用してカスタマイズできるさまざまなプロパティーの詳細は、Oracle Solaris 11.2 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 のデータリンクプロパティーのステータス情報の取得を参照してください。
その他のドライバ専用プロパティーの構成については、そのドライバの製造元のドキュメントを参照してください。