Oracle® Solaris Studio 12.4: dbx コマンドによるデバッグ

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更新: 2015 年 1 月
 
 

アクセスエラー

アクセス検査が有効になっている場合、実行時検査では、このセクションで説明されている種類のエラーを検出して報告します。

不正解放 (baf) エラー

意味: 割り当てられたことのないメモリーを解放しようとした。

考えられる原因: ヒープデータ以外のポインタを free() または realloc() に渡しています。

例:

char a[4];
char *b = &a[0];

free(b);                    /* Bad free (baf) */

重複解放 (duf) エラー

意味: すでに解放されているヒープブロックを解放しようとした。

考えられる原因: 同じポインタを使用して free() を 2 回以上呼び出した。C++ では、同じポインタに対して "delete" 演算子を 2 回以上使用した。

例:

char *a = (char *)malloc(1);
free(a);
free(a);                    /* Duplicate free (duf) */

境界整列を誤った解放 (maf) エラー

意味: 境界合わせされていないヒープブロックを解放しようとした。

考えられる原因: 正しく境界合わせされていないポインタを free() または realloc() に渡しています。malloc によって返されたポインタを変更しています。

例:

char *ptr = (char *)malloc(4);
ptr++;
free(ptr);                    /* Misaligned free */

境界整列を誤った読み取り (mar) エラー

意味: 適切に境界合わせされていないアドレスからデータを読み取ろうとした。

考えられる原因: ハーフワード、ワード、ダブルワードの境界に合わせられていないアドレスから、それぞれ 2 バイト、4 バイト、8 バイトを読み取った。

例:

char *s = “hello world”;
int *i = (int *)&s[1];
int j;

j = *i;                    /* Misaligned read (mar) */

境界整列を誤った書き込み (maw) エラー

意味: 適切に境界合わせされていないアドレスにデータを書き込もうとした。

考えられる原因: ハーフワード、ワード、ダブルワードの境界に合わせられていないアドレスに、それぞれ 2 バイト、4 バイト、8 バイトを書き込んだ。

例:

char *s = “hello world”;
int *i = (int *)&s[1];

*i = 0;                    /* Misaligned write (maw) */

メモリー不足 (oom) エラー

意味: 利用可能な物理メモリーより多くのメモリーを割り当てようとした。

考えられる原因: プログラムがこれ以上システムからメモリーを入手できない。oom エラーは、malloc() からの戻り値が NULL かどうか検査していない (プログラミングでよく起きる誤り) ために発生する問題の追跡に役立ちます。

例:

char *ptr = (char *)malloc(0x7fffffff);
/* Out of Memory (oom), ptr == NULL */

配列範囲外からの読み込み (rob) エラー

意味: 配列範囲外のメモリーからデータを読み取ろうとした。

考えられる原因: 浮遊ポインタ、ヒープブロックの境界を越えています。

例:

char *cp = malloc (10);
char ch = cp[10];

非割り当てメモリーからの読み取り (rua) エラー

意味: 存在しないメモリー、割り当てられていないメモリー、マップされていないメモリーからデータを読み取ろうとした。

考えられる原因: ストレイポインタ (不正な値を持つポインタ)、ヒープブロック境界のオーバーフロー、すでに解放されたヒープブロックへのアクセス。

例:

char *cp = malloc (10);
free (cp);
cp[0] = 0;

非初期化メモリーからの読み取り (rui) エラー

意味: 初期化されていないメモリーからデータを読み取ろうとした。

考えられる原因: 初期化されていない局所データまたはヒープデータの読み取り。

例:

foo()
{   int i, j;
    j = i;    /* Read from uninitialized memory (rui) */
}

配列範囲外メモリーへの書き込み (wob) エラー

意味: 配列範囲外のメモリーにデータを書き込もうとした。

考えられる原因: 浮遊ポインタ、またはヒープブロックの境界を越えています。

例:

char *cp = malloc (10);
cp[10] = 'a';

読み取り専用メモリーへの書き込み (wro) エラー

意味: 読み取り専用メモリーにデータを書き込もうとした。

考えられる原因: テキストアドレスへの書き込み、読み取り専用データセクション (.rodata) への書き込み、読み取り専用として mmap されているページへの書き込み。

例:

foo()
{   int *foop = (int *) foo;
    *foop = 0;                /* Write to read-only memory (wro) */
}

非割り当てメモリーへの書き込み (wua) エラー

意味: 存在しないメモリー、割り当てられていないメモリー、マップされていないメモリーにデータを書き込もうとした。

考えられる原因: ストレイポインタ (不正な値を持つポインタ)、ヒープブロック境界のオーバーフロー、すでに解放されたヒープブロックへのアクセス。

例:

char *cp = malloc (10);
free (cp);
cp[0] = 0;