Oracle® Solaris Studio 12.4: パフォーマンスアナライザ

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更新: 2015 年 1 月
 
 

ハードウェアカウンタオーバーフローのプロファイリング

ハードウェアカウンタオーバーフロープロファイリングデータには、カウンタ ID とオーバーフロー値が含まれます。この値は、カウンタがオーバーフローするように設定されている値よりも大きくなることがあります。これは、オーバーフローが発生して、そのイベントが記録されるまでの間に命令が実行されるためです。この値は特に、浮動小数点演算やキャッシュミスなどのカウンタよりも、ずっと頻繁に増分されるサイクルカウンタや命令カウンタの場合に大きくなる可能性があります。イベント記録時の遅延はまた、呼び出しスタックとともに記録されたプログラムカウンタのアドレスが正確にオーバーフローイベントに対応しないことを意味します。詳細は、ハードウェアカウンタオーバーフローの関連付けを参照してください。また、トラップ も参照してください。トラップおよびトラップハンドラは、ユーザーの CPU 時間とサイクルカウンタによって報告される時間の間の、大きな相違の原因になることがあります。

動作クロック周波数が動的に変わるマシンで記録される実験では、サイクルベースのカウントから時間への変換で不正確さが生じることがあります。

収集されるデータ量は、オーバーフロー値に依存します。選択した値が小さすぎると、次のような影響が出ることがあります。

  • データの収集に費やされる時間が、プログラムの実行時間のかなりの部分を占めることがあります。収集実行では、プログラムの実行ではなく、オーバーフローの処理とデータの書き込みに時間のかなりが費やされる場合があります。

  • カウントのかなりの部分の原因がデータ収集であることがあります。こうしたカウントは、コレクタ関数 collector_record_counters によるものです。この関数のカウントが大きい場合は、オーバーフロー値が小さすぎます。

  • データ収集によってプログラムの動作が変わることがあります。たとえば、キャッシュミスのデータの収集では、キャッシュミスの大半が、コレクタの命令のフラッシュとキャッシュからのデータのプロファイリング、プログラム命令とデータとの置き換えによるものです。プログラムで多くのキャッシュミスが発生するように見えますが、データ収集を行わなければ、キャッシュミスが実際にはほとんど発生しなかった可能性があります。