Oracle Solaris Studio 12.4 Man Pages

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更新: January 2015
 
 

analyzer(1)

名前

analyzer - プログラムのパフォーマンス実験を解析するためのグラフィカルツール

形式

analyzer [-j|--jdkhome jvm-path] [-J jvm-options]
     [-f|--fontsize size] [-u|--userdir dir_path]
     [-v|--verbose] [experiment-list]
analyzer [-j|--jdkhome jvm-path] [-J jvm-options]
     [-f|--fontsize size] [-u|--userdir  dir_path]
     [-v|--verbose]  -c [base-group] [compare-group]
analyzer -V|-version
analyzer -?|-h|--help
analyzer [-f|--fontsize size] [-u|--userdir dir_path]
     [-v|--verbose] target [target-arguments]

説明

パフォーマンスアナライザは、collect コマンドを使用するコレクタ、IDE、または dbxcollector コマンドによって収集されたパフォーマンスデータを解析するグラフィカルなデータ解析ツールです。コレクタはプロセスの実行中に情報を収集して、実験を作成します。パフォーマンスアナライザはこれらの実験を読み取り、そのデータを解析して表や図に表示します。analyzer のコマンド行バージョンは、er_print ユーティリティとして使用できます。

パフォーマンスアナライザは複数の実験または実験グループについて起動された場合、実験からのデータを集約します。モードを 変更して実験を比較できます。詳細は、下記の「実験の比較」を参照してください。

オプション

-j|--jdkhome jvmpath

パフォーマンスアナライザを実行するための Java 仮想マシン (JVM) ソフトウェアへのパスを指定します。デフォルトのパスは、JVM へのパスの環境変数を JDK_HOME、JAVA_PATH の順に検査することによって最初に取得されます。どちらの環境変数も設定されていない場合は、現在の PATH にあるバージョンが使用されます。何も見つからない場合は、/usr/java/bin/java が試されます。(用語「Java 仮想マシン」および「JVM」は、Java プラットフォームの仮想マシンを意味します。)

-Jjvm-option

JVM ソフトウェアのオプションを指定します。複数の -J 引数を指定できます。-J フラグと jvm-option の間にはスペースを入れません。例:

 
analyzer -J-d64 -- run the 64-bit analyzer
analyzer -J-Xmx2G -- run with maximum JVM memory of 2 GB 
          (Default, 1 GB)
analyzer -J-d64 -J-Xmx8G -- run the 64-bit analyzer with maximum 
          JVM memory of 8 GB
-c base-group compare-group

比較モードを指定します。指定する場合は、引数として 2 つの実験または実験グループを指定する必要があります。最初の実験またはグループをベースグループ、2 番目の実験またはグループを比較グループとして、パフォーマンスアナライザが比較モードで開きます。

各グループには単一の実験を指定するか、または複数の実験を含むグループを指定できます。複数の実験を比較グループに含める場合、アナライザへの単一の引数として使用する実験グループファイルを作成する必要があります。

-f|--fontsize size

パフォーマンスアナライザで使用されるフォントサイズを指定します。

-u|--userdir dir_path

ユーザー設定を格納するユーザーディレクトリへのパスを指定します。

オペランド

experiment-list

開く実験を指定します。複数の実験を指定するには、実験名、実験グループ名、またはその両方からなるスペース区切りのリストを指定します。

target[target-arguments]

プロファイルされるターゲットプログラムを、そのプログラムの引数とともに指定します。

使用法

パフォーマンスアナライザの起動

パフォーマンスアナライザを起動するには、コマンド行に次のコマンドを入力します。

analyzer [experiment-list]

パフォーマンスアナライザの起動時に実験名を指定しない場合、初期のビューは「ようこそ」画面になります。「ようこそ」画面から実験を開くか、またはパフォーマンスアナライザの「ファイル」メニューとツールバーボタンを使用すると、実験または実験グループをオープン、比較、または集約できます。

オプションの experiment-list コマンド引数は、実験名、実験グループ名、またはその両方からなるスペース区切りのリストです。サポートされるアーキテクチャー上で記録された実験は、同じアーキテクチャーまたはその他の任意のサポートされるアーキテクチャー上で実行されているパフォーマンスアナライザで表示できます。

コマンド行には複数の実験または実験グループを指定できます。実験グループについては、Creating Experiment Groupsを参照してください。

内部に派生実験を含む実験を指定すると、すべての派生実験が自動的にロードされ、それらのデータが表示されます。

ロードするときに実験または実験グループをプレビューするには、「実験を開く」ダイアログボックスで名前を 1 回クリックします。

アプリケーションをプロファイルするためのパフォーマンスアナライザの起動

アプリケーションをプロファイルするために、コマンド行から次のようにパフォーマンスアナライザを起動できます。

analyzer target [target-arguments]

パフォーマンスアナライザが起動され、「プロファイルアプリケーション」ダイアログボックスが表示されて、指定された target とその引数、および実験を収集するための設定が示されます。「実験の記録」を参照してください。

実験グループの作成

実験グループを作成するには、プレーンテキストファイルを作成して、最初の行に次の内容を指定します。

#analyzer experiment group

このあとの行に実験の名前を追加します。実験グループのテキストファイルのファイル拡張子は、.erg である必要があります。実験グループを使用すると、特定の派生実験のデータをその初期の実験から分離する場合に、それらの派生実験のみをロードすることもできます。

実験の比較

パフォーマンスアナライザが複数の実験または実験グループに対して起動されると、通常、すべての実験のデータが集約されます。-c フラグを使用してパフォーマンスアナライザを起動した場合は、パフォーマンスアナライザが比較モードで開きます。

「ようこそ」画面、「ファイル」メニュー、またはステータスバー上の「比較」ステータス領域からも実験を比較できます。

比較モードでは、データを比較できるように、「関数」ビューには実験またはグループごとにメトリックの個別の列が表示されます。列には、実験を区別するために色分けされた見出しがあります。

比較形式は、「設定」ダイアログの「書式」タブから設定できます。デフォルトでは、実験の比較では、ベース実験と比較対象の実験の絶対値が示されます。「デルタ」の比較形式を指定すると、ベース実験を基準にした + または - の値として、比較対象の実験のメトリックを表示できます。「比率」の比較形式を指定すると、ベース実験を基準にした比率として、比較対象の実験のメトリックを表示できます。選択内容は、次回に実験を比較するための構成設定に保存されます。

実験の比較は、「呼び出しツリー」、「競合」、「デッドロック」、「ヒープ」、および「I/O アクティビティー」を除くほとんどのデータビューで機能します。

実験を比較するとき、「ソース/逆アセンブリ」ビューには 2 つのペインが表示されます。「タイムライン」には、比較されている実験の個別のデータが表示されます。「選択の詳細」タブには、ベース実験のデータのみが表示されます。

実験の記録

ターゲット名とターゲット引数を指定してパフォーマンスアナライザを起動すると、パフォーマンスアナライザの起動時に「プロファイルアプリケーション」ダイアログボックスが開きます。このダイアログで「実行」をクリックすると、指定したターゲットに実験を記録できます。また、「ようこそ」ページでプロファイルアプリケーションをクリックするか、ツールバーの「プロファイルアプリケーション」ボタンをクリックするか、または「ファイル」メニューから「プロファイルアプリケーション」を選択することによって、新しい実験を記録することもできます。

「プロファイルアプリケーション」ダイアログボックスで F1 キーを押すと、詳細情報を示すヘルプが表示されます。

「プロファイルアプリケーション」ダイアログの各フィールドは、 collect (1) のマニュアルページに記述されている collect コマンドで使用可能なオプションに対応していることに注意してください。

このダイアログボックスの下部にある「プレビューコマンド」ボタンを使用すると、「実行」ボタンをクリックしたときに使用される collect コマンドを表示できます。

構成オプションの設定

パフォーマンスアナライザは、構成ファイルおよび .er.rc ファイルから設定を読み取ります。ほとんどの設定は、構成ファイルに格納されます。

データの表示方法は、「設定」ダイアログボックスから制御できます。このダイアログボックスを開くには、ツールバーの「設定」ボタンをクリックするか、「ツール」メニューから「設定」を選択します。「設定」ダイアログボックスを使用すると、メトリックやデフォルトのデータビューなどの設定を指定できます。

現在のセッションに変更を適用するには、「了解」または「適用」をクリックする必要があります。設定内容は、パフォーマンスアナライザを終了したときに、実験内の構成ファイルに自動的に保存されます。「設定」ダイアログボックスには、構成内の設定の一部またはすべてを、ほかの実験またはユーザーと共有できるように別の場所に保存するために使用できる「エクスポート」ボタンがあります。「実験を開く」ダイアログから実験を開くと、パフォーマンスアナライザは使用可能な設定構成のデフォルトの場所を検索し、このダイアログでユーザーが選択できるようにします。

また、.er.rc ファイルに対して「ツール」>「設定のエクスポート」を選択することにより、関連する設定を er_print ユーティリティーで使用される .er.rc ファイルに適用することもできます。

初期の実験が読み取られるときに派生実験を選択して読み取るかどうかを制御する en_desc {on| off} など、.er.rc ファイルの使用可能なディレクティブのいくつかがパフォーマンスアナライザによって処理されます。その他のほとんどのディレクティブはパフォーマンスアナライザでは無視されますが、er_print によって処理されます。

これらのファイルには、ほかのコンパイラのために復号化される C++ 名のパスも指定します。

リモート操作

リモート操作

パフォーマンスアナライザは、ローカルシステムで実行して、Oracle Solaris Studio ソフトウェアがインストールされているリモートシステムに接続できます。その後、リモートシステムにあるアプリケーションをプロファイリングして実験を読み込むことができます。

リモートアナライザと呼ばれる、完全なパフォーマンスアナライザのサブセットを、Oracle Solaris Studio がサポートされないプラットフォームである Windows または MacOS などのオペレーティングシステムにローカルにインストールできます。

リモートアナライザは、インストールした製品の lib/analyzer ディレクトリに tar ファイル (RemoteAnalyzer.tar) として配布されています。リモートアナライザをインストールするには、この tar ファイルをローカルシステムにコピーし、それを展開してサブディレクトリ RemoteAnalyzer を作成します。

RemoteAnalyzer ディレクトリには、Oracle Solaris Studio ツールでサポートされないシステム、またはサポートされるがツールがインストールされていないシステムで、Oracle Solaris Studio パフォーマンスアナライザを実行するためのスクリプトが含まれています。このディレクトリには、パフォーマンスアナライザを実行するために必要なコンポーネントが格納されている lib ディレクトリも含まれています。

4 つのスクリプトがあり、それぞれ Windows、MacOS、Solaris、または Linux 用です。これらのスクリプトは、ローカルシステムでパフォーマンスアナライザを実行し、リモートホストへの接続をサポートします。リモートホストには Oracle Solaris Studio のツールがインストールされている必要があり、接続ダイアログではリモートマシン上のツールへのパスを入力する必要があります。

Windows での操作

Windows 上でパフォーマンスアナライザを起動するには、AnalyzerWindows.bat ファイルを実行します。端末ウィンドウでコマンドを入力するか、Windows エクスプローラでファイルをダブルクリックします。Windows エクスプローラから AnalyzerWindows.bat を起動すると、端末ウィンドウが作成され、そのウィンドウでコマンドが実行されます。

Windows 上でパフォーマンスアナライザが起動すると、「ようこそ」画面が表示されます。多数のオプションが Windows システムでローカルに使用できないためにグレー表示になります。このコンテキストでのパフォーマンスアナライザの主な用途は、リモートホストに接続することです。「ようこそ」画面のドキュメントリンクは動作しますが、アプリケーションのプロファイリング、または実験の読み取りや比較を行うためのリンクは、パフォーマンスアナライザがリモートホストに接続されるまで動作しません。

MacOS での操作

MacOS 上でパフォーマンスアナライザを起動するには、AnalyzerMacOS.command ファイルを実行します。端末ウィンドウに AnalyzerMacOS.command と入力するか、または Finder でファイルをダブルクリックできます。Finder から AnalyzerMacOS.command を起動すると、端末ウィンドウが作成され、そのウィンドウでコマンドが実行されます。

MacOS 上でパフォーマンスアナライザが起動すると、「ようこそ」画面が表示されます。多数のオプションが MacOS システムでローカルに使用できないためにグレー表示になります。このコンテキストでのパフォーマンスアナライザの主な用途は、リモートホストに接続することです。「ようこそ」画面のドキュメントリンクは動作しますが、アプリケーションのプロファイリング、または実験の読み取りや比較を行うためのリンクは、パフォーマンスアナライザがリモートホストに接続されるまで動作しません。

Solaris および Linux での操作

Solaris または Linux 上でパフォーマンスアナライザを起動するには、端末ウィンドウで対応する Analyzer*.sh スクリプトを実行します。

パフォーマンスアナライザが起動すると、「ようこそ」画面が表示されます。ローカルシステムに Oracle Solaris Studio がインストールされている場合は、すべてのオプションが有効になります。Studio ソフトウェアがインストールされていない場合、ローカルシステムの Studio がインストールされていないときは使用できないため、多数のオプションがグレー表示になります。このコンテキストでのパフォーマンスアナライザの主な用途は、リモートホストに接続することです。「ようこそ」画面のドキュメントリンクは動作しますが、アプリケーションのプロファイリング、または実験の読み取りや比較を行うためのリンクは、パフォーマンスアナライザがリモートホストに接続されるまで動作しません。

リモートホストへの接続

「ようこそ」画面、「ファイル」メニュー、またはステータスバーの「接続済み」ステータス領域から、リモートホストに接続できます。「リモートホストに接続」ダイアログボックスでは、ホストおよびログインの情報を指定して、リモートホストに接続できます。このダイアログでは、リモートホスト名を入力するか、以前使用したホストを選択し、そのホストにログインできるユーザーアカウントの名前およびパスワードを入力して、リモートホスト上の Oracle Solaris Studio のインストール場所へのパスを入力します。パフォーマンスアナライザは、最後のユーザー名と、各ホスト上で使用されたインストールへのパスを記憶しています。

「接続」をクリックして、そのホストにログインします。正常にログインすると、「ようこそ」画面が再度表示されますが、今度はそのリモートホストに直接接続しているときのように、すべてのオプションが有効になります。

警告

既知の問題

一部の Solaris システムでは、必要な X11 サポートがインストールされていません。パフォーマンスアナライザは、接続できないというエラーを報告します。回避策は、X11 がインストール済みでディスプレイを備えたシステムでパフォーマンスアナライザを実行し、リモートアナライザ機能を使用してリモートホストに接続することです。

パフォーマンスアナライザが、GC オーバーヘッドの上限を超えたと報告する場合があります。回避策は、デフォルトの 1G バイトよりも多くのメモリーを使用することです。2G バイトでアナライザを実行するには、次のものを使用します。

analyzer -J-Xmx2G

8G バイトのメモリーを備えた 64 ビット版のアナライザを実行するには、次のものを使用します。

analyzer -J-d64 -J-Xmx8G

互換性

パフォーマンスアナライザは、現在のバージョンのツールで記録された実験に対してのみ動作します。その他のバージョンで記録された実験の場合は、エラーが報告されます。実験が記録されたリリースのパフォーマンスアナライザのバージョンを使用してください。

関連項目

collect (1) , collector (1) , dbx (1) , er_archive (1) , er_cp (1) , er_export (1) , er_mv (1) , er_print (1) , er_rm (1) , er_src (1) , tha (1) , libcollector (3)

パフォーマンスアナライザマニュアル

パフォーマンスアナライザの MPI のチュートリアル