アドレスと examine または x コマンドを使用して、メモリーロケーションの内容を調べたり、各アドレスでアセンブリ言語命令を出力したりすることができます。adb(1) (アセンブリ言語のデバッガ) から派生したコマンドを使用すると、次の項目について問い合わせることができます。
address - = (等号) を使用。
あるアドレスに格納されている contents - / (スラッシュ) を使用。
dis、listi コマンドを使用して、アセンブリ命令とメモリーの内容を調べることができます。
examine コマンドまたはその別名 x を使用すると、メモリーの内容やアドレスを表示することができます。
あるメモリーの内容を表示するには、書式 format の count 項目の address で表される次の構文を使用します。デフォルトの address は、前に表示された最後のアドレスの次のアドレスになります。デフォルトの count は 1 です。デフォルトの format は、以前の examine コマンドで使用されたものと同じか、またはこれが指定された最初のコマンドである場合は X です。
examine コマンドの構文は次のとおりです。
examine [address] [/ [count] [format]]
address1 から address2 までのメモリーの内容を format の書式で表示するには、次のように入力します。
examine address1, address2 [/ [format]]
アドレスの内容ではなく、アドレスを指定した書式で表示するには、次のように入力します。
examine address = [format]
examine によって最後に表示されたアドレスの次のアドレスに格納されている値を出力するには、次のように入力します。
examine +/ i
式の値を出力するには、その式をアドレスとして指定します。
examine address=format examine address=
address はアドレスの絶対値、またはアドレスとして使用できる任意の式です。address は + (プラス記号) に置き換えることができます。これにより、次のアドレスの内容がデフォルト書式で表示されます。
次の例は有効なアドレスです。
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メモリーを表示するためのアドレス表現は、名前の前にアンパサンド & を付けて指定します。関数名はアンパサンドなしで使用できます。&main は main と同じです。レジスタは、名前の前にドル記号 $ を付けることによって表します。
format は、dbx が問い合わせの結果を表示するときのアドレス表示書式です。 生成される出力は、現在の表示書式によって異なります。表示書式を変更する場合は、異なるformatコードを使用してください。
各 dbx セッションの開始時に設定されるデフォルトの書式は X です。これにより、アドレスまたは値が 32 ビットワードとして 16 進数で表示されます。 次のメモリー表示書式が有効です。
|
count は、10 進数の繰り返し回数です。増分サイズは、メモリーの表示書式によって異なります。
次の例は、アドレスと書式オプションを使用して、現在の停止点から始まる 5 つの連続した逆アセンブルされた命令を表示する方法を示しています。
SPARC システムの場合:
(dbx) stepi stopped in main at 0x108bc 0x000108bc: main+0x000c: st %l0, [%fp - 0x14] (dbx) x 0x108bc/5i 0x000108bc: main+0x000c: st %l0, [%fp - 0x14] 0x000108c0: main+0x0010: mov 0x1,%l0 0x000108c4: main+0x0014: or %l0,%g0, %o0 0x000108c8: main+0x0018: call 0x00020b90 [unresolved PLT 8: malloc] 0x000108cc: main+0x001c: nop
x86 システムの場合:
(dbx) x &main/5i 0x08048988: main : pushl %ebp 0x08048989: main+0x0001: movl %esp,%ebp 0x0804898b: main+0x0003: subl $0x28,%esp 0x0804898e: main+0x0006: movl 0x8048ac0,%eax 0x08048993: main+0x000b: movl %eax,-8(%ebp)
dis コマンドは、examine コマンド (デフォルト表示書式を i として指定) と同じです。
dis コマンドの構文は次のとおりです。
dis [<address>] [/<count>] | <address1>, <address1>
dis コマンドは、次のように動作します。
引数なしで実行すると、address で始まる 10 の命令を表示します
address 引数のみを指定すると、address から始まる 10 個の命令を逆アセンブルします。
address 引数と count を指定すると、address から始まる count 個の命令を逆アセンブルします。
address1 と address2 引数を指定すると、address1 から address2 までの命令を逆アセンブルします。
count のみを指定すると、+ から始まる count 個の命令を表示します。
オプション –a を使用した場合は関数全体が逆アセンブルされ、パラメータなしで使用した場合、現在アクセス中の関数の残りが逆アセンブルされます
ソース行を対応するアセンブリ命令とともに表示するには、listi コマンドを使用します。これは、コマンド list -i と同等です。ソースリストの出力にある list -i の説明を参照してください。
SPARC ベースのシステムの例:
(dbx) listi 13, 14 13 i = atoi(argv[1]); 0x0001083c: main+0x0014: ld [%fp + 0x48], %l0 0x00010840: main+0x0018: add %l0, 0x4, %l0 0x00010844: main+0x001c: ld [%l0], %l0 0x00010848: main+0x0020: or %l0, %g0, %o0 0x0001084c: main+0x0024: call 0x000209e8 [unresolved PLT 7: atoi] 0x00010850: main+0x0028: nop 0x00010854: main+0x002c: or %o0, %g0, %l0 0x00010858: main+0x0030: st %l0, [%fp - 0x8] 14 j = foo(i); 0x0001085c: main+0x0034: ld [%fp - 0x8], %l0 0x00010860: main+0x0038: or %l0, %g0, %o0 0x00010864: main+0x003c: call foo 0x00010868: main+0x0040: nop 0x0001086c: main+0x0044: or %o0, %g0, %l0 0x00010870: main+0x0048: st %l0, [%fp - 0xc]
x86 ベースのシステムの例:
(dbx) listi 13, 14 13 i = atoi(argv[1]); 0x080488fd: main+0x000d: movl 12(%ebp),%eax 0x08048900: main+0x0010: movl 4(%eax),%eax 0x08048903: main+0x0013: pushl %eax 0x08048904: main+0x0014: call atoi <0x8048798> 0x08048909: main+0x0019: addl $4,%esp 0x0804890c: main+0x001c: movl %eax,-8(%ebp) 14 j = foo(i); 0x0804890f: main+0x001f: movl -8(%ebp),%eax 0x08048912: main+0x0022: pushl %eax 0x08048913: main+0x0023: call foo <0x80488c0> 0x08048918: main+0x0028: addl $4,%esp 0x0804891b: main+0x002b: movl %eax,-12(%ebp)