raidctl - RAID ハードウェアユーティリティー
raidctl -C "disks" [-r raid_level] [-z capacity] [-s stripe_size] [-f] controller
raidctl -d [-f] volume
raidctl -F filename [-f] controller…
raidctl -a {set | unset} -g disk {volume | controller}
raidctl -p "param=value" [-f] volume
raidctl -c [-f] [-r raid_level] disk1 disk2 [disk3...]
raidctl -l -g disk controller
raidctl -l volume
raidctl -l controller…
raidctl [-l]
raidctl -S [volume | controller]
raidctl -S -g disk controller
raidctl -h
raidctl ユーティリティーはハードウェア RAID 構成ツールであり、RAID ボリュームを作成、削除、または表示する CLI (コマンド行インタフェース) をエンドユーザーに提供することで、さまざまな RAID コントローラをサポートしています。このユーティリティーはまた、ボリュームのプロパティーの設定、ボリュームやコントローラへのホットスペア (HSP) ディスクの割り当て、および RAID コントローラのファームウェア/fcode/BIOS の更新にも使用できます。
raidctl ユーティリティーには、ベースとなるファイルシステムのアクセス権で制御される特権が必要です。特権を持つユーザーだけが RAID システム構成を操作できます。特権を持たないユーザーが raidctl を実行しようとすると、終了ステータス 1 が返されてコマンドは失敗します。
raidctl ユーティリティーは、このマニュアルページで説明しているように、完全な機能を備えた RAID コントローラを管理するための広範にわたるコマンド行オプションのセットを定義しています。ただし、特定のオプションのサポートは次の 2 つの要素に依存しています。
ソフトウェアドライバの存在
RAID デバイスのファームウェアレベル
ソフトウェアドライバへの依存は、raidctl の設計によるものです。このユーティリティーは、各種ドライバ向けのプラグインモジュールの挿入を可能にする共通ライブラリに基づいて構築されます。現時点では、Solaris オペレーティングシステムには mpt ドライバ向けのプラグインが付属しています。このプラグインは、すべての raidctl オプションをサポートしているわけではありません。特定のストレージデバイスでは、オプションはそのデバイスのファームウェアレベルによってさらに制限される場合があります。
さまざまな raidctl オプションのサポートレベルを raidctl によって決めることはできません。ユーザーは、RAID コントローラやハードウェアプラットフォームのドキュメントに頼る必要があります。
現時点では、raidctl は次の RAID コントローラに対してある程度のサポートを提供しています。
LSI1020 SCSI HBA
LSI1030 SCSI HBA
LSI1064 SAS HBA
LSI1068 SAS HBA
X86-32/64 および SPARC プラットフォームでは、上記のすべての HBA は mpt ドライバによって維持されます。
サポートしているオプションは、次のとおりです。
指定したディスクを使用して RAID ボリュームを作成します。
このオプションを使用して RAID ボリュームを作成すると、新しく作成されたボリュームの識別情報が自動的に生成され、raidctl はそれをユーザーに報告します。
このオプションによって指定される引数には、作成されるボリュームの構成に使われる要素が含まれます。要素にはディスクまたはサブボリュームのいずれかを設定できます。ディスクはスペースで区切り、サブボリュームはディスクのセットを丸括弧でグループ化します。すべてのディスクは「C.ID.L」の形式にしてください (たとえば「0.1.2」は、チャネル 0 の物理ディスクであり、ターゲット ID は 1、論理ユニット番号は 2 であることを表す)。この引数は、(-r オプションを省略した場合でも) -r オプションで指定した RAID レベルと一致している必要があります。つまり、指定できる引数は次のように限定されます。
少なくとも 2 つのディスク
2 つのディスクのみ
少なくとも 3 つのディスク
少なくとも 3 つのディスク
少なくとも 2 つのサブボリューム。各サブボリュームは 2 つのディスクで構成されている必要があります
少なくとも 2 つのサブボリューム。各サブボリュームは 3 つ以上のディスクで構成されている必要があり、各サブボリューム内のディスク容量は同じであるべきです
たとえば、「0.0.0 0.1.0」の形式は、指定された 2 つのディスクが RAID ボリューム (RAID 0 または RAID 1 ボリュームのいずれか) を構成することを意味します。「(0.0.0 0.1.0)(0.2.0 0.3.0)」は、最初の 2 つのディスクと最後の 2 つのディスクが 2 つのサブボリュームを構成し、これら 2 つのサブボリュームが RAID 10 ボリュームを構成することを意味します。その他の例については、「使用例」のセクションを参照してください。
-r オプションは、作成されるボリュームの RAID レベルを指定します。指定できるレベルは 0、1、1E、5、10、50 です。このオプションを省略すると、raidctl はデフォルトで RAID 1 ボリュームを作成します。
-z オプションは、作成されるボリュームの容量を指定します。単位として、テラバイト、ギガバイト、またはメガバイト (たとえば 2t、10g、20m など) を使用できます。このオプションを省略すると、raidctl は指定されたディスクで作成できるボリュームの最大容量を計算し、この値を使用してボリュームを作成します。
-s オプションは、作成されるボリュームのストライプサイズを指定します。指定できる値は 512、1k、2k、4k、8k、16k、32k、64k、または 128k です。このオプションを省略すると、raidctl はボリュームに適した値 (たとえば 64k) を選択します。
たとえば LSI1020、LSI1030、SAS1064、または SAS1068 HBA において、場合によっては RAID ボリュームの作成が特定のディスク上のデータ消失を引き起こすことがあり、raidctl はユーザーに対してボリューム作成の確認を要求します。ユーザーへの確認要求なしでボリューム作成を強制させるには、-f オプションを使用します。
controller 引数は、指定したディスクがどの RAID コントローラに属するかを特定するために使用します。-l オプションを使用すれば、コントローラの ID 番号を一覧表示できます。
volume として指定された RAID ボリュームを削除します。ボリュームは標準的な形式 (たとえば c0t0d0) で指定します。
ボリュームを削除すると、すべてのデータが失われます。このため、-f オプションを指定しないかぎり、raidctl はボリュームを削除する前にユーザーに対して確認を要求します。
指定したコントローラで動作しているファームウェアを更新します。-f オプションを指定しないかぎり、raidctl ユーティリティーはユーザーに対してこのアクションの確認を要求します。
ボリュームを指定した場合、-a で指定した値によって、raidctl はディスクをボリューム専用のローカルホットスペアディスクとして設定するか、その設定を解除します。コントローラを指定した場合、raidctl はディスクをグローバルなホットスペアディスクとして設定するか、その設定を解除します。
指定した RAID ボリュームのプロパティー値を変更します。このオプションは、キャッシュ書き込みポリシーの変更やボリュームのアクティブ化に使用できます。キャッシュ書き込みポリシーの変更時は、param を文字列 wp (SET_WR_POLICY) にするようにしてください。value には on または off を設定できます。ボリュームのアクティブ化に使用するときは、param を state にし、value を activate にするようにしてください。
RAID ボリュームのプロパティーを変更すると RAID コントローラの内部動作に影響する可能性があるため、-f オプションを指定しないかぎり、raidctl は変更を適用する前にユーザーに対して確認を要求します。
指定したディスクを使用してボリュームを作成します。これは、似た機能を持つ -C オプションの代替手段です。このオプションは互換性のために残されていますが、LSI1020、LSI1030、SAS1064、および SAS1068 HBA で RAID 0、RAID 1、または RAID 1E ボリュームを作成することしかできません。ほかの HBA では、ユーザーは -C オプションのみを使用できます。
-r オプションは、ターゲットボリュームの RAID レベルを指定するために使用できます。-r オプションを省略すると、raidctl は RAID 1 ボリュームを作成します。
ディスクは Solaris の標準的な形式 (たとえば c0t0d0) で指定する必要があります。
このオプションで RAID 1 ボリュームを作成すると、disk2 の内容が disk1 の内容に置き換わります。
ユーザーがこのオプションで RAID ボリュームを作成すると、RAID ボリュームは disk1 の識別情報を引き受けます。ほかのディスクは見えなくなり、RAID ボリュームは 1 つのディスクとして表示されます。
このオプションによるボリュームの作成は、デフォルトで対話形式で進められます。ボリュームを作成するには、ユーザーはプロンプトに明示的に答える必要があります。ユーザーへの確認要求なしでボリューム作成を強制させるには、-f オプションを使用します。
指定したコントローラの、指定したディスクに関する情報を表示します。出力には次の情報が含まれます。
ディスクを C.ID.L の形式で表示します。
ベンダー ID の文字列を表示します。
製品 ID の文字列を表示します。
ディスクの合計容量を表示します。
ディスクの現在のステータスを表示します。ステータスは、「GOOD」(正常動作中)、「FAILED」(機能していない)、または「MISSING」(ディスクが存在しない) のいずれかになります。
ディスクがグローバルホットスペアディスク、ローカルホットスペアディスク、または通常のものとして設定されているかを示します。ローカルホットスペアディスクの場合、このディスクが割り当てられているすべてのボリュームが表示されます。
指定されたディスクの GUID 文字列。これは追加のデータであり、場合によっては利用できないことがあります。
指定したボリュームに関する情報を表示します。出力には次の情報が含まれます。
ボリュームを標準的な形式で表示します。
指定したボリュームが RAID 10 または RAID 50 ボリュームの場合、サブボリュームを表示します。
指定したボリュームを構成するディスクをすべて表示します。
ボリュームのストライプサイズを表示します。
指定したボリューム、または指定したボリュームを構成するサブボリュームやディスクのステータスを表示します。アクティブでないボリュームの場合、ステータスは INACTIVE になるはずです。それ以外の場合、ステータスは OPTIMAL (正常動作中)、DEGRADED (機能制限付きで動作中)、FAILED (機能していない)、または SYNC (ディスクが同期中) のいずれかになります。ディスクの場合、ステータスは GOOD、FAILED、または MISSING のいずれかになります。
キャッシュの入出力書き込み動作が有効になっているかどうかを示します。キャッシュは「ON」または「OFF」のいずれかです。
RAID レベルを表示します。RAID レベルは 0、1、1E、5、10、または 50 のいずれかです。
指定したコントローラに関する情報を表示します。出力には次の情報が含まれます。
RAID コントローラの ID 番号を表示します。
RAID コントローラの製品タイプを表示します。
コントローラのファームウェアのバージョンを表示します。
raidctl ユーティリティーが操作できる、RAID に関連するすべてのオブジェクトを一覧表示します。これには、使用可能なすべての RAID コントローラ、RAID ボリューム、および物理ディスクが含まれます。-l オプションは省略できます。
出力には次の情報が含まれます。
RAID コントローラの ID 番号を表示します。
論理 RAID ボリューム名を表示します。
RAID ディスクを C.ID.L の形式で表示します。
使用可能なすべての RAID デバイス、RAID コントローラ、ボリューム、およびディスクを含む、RAID 構成情報のスナップショットを取得します。
出力の各行には、RAID デバイスとその関連情報がスペースで区切られて表示されます。すべてのボリュームとディスクは、最後に指定したコントローラに属します。
出力には次の情報が一覧表示されます。
コントローラの ID 番号と、コントローラのタイプを表す文字列 (二重引用符に囲まれている) が表示されます。
RAID ボリューム名、コンポーネントのディスクの数、コンポーネントのディスクの C.ID.L 形式、RAID レベル、およびステータスを表示します。ステータスは「OPTIMAL」、「DEGRADED」、「FAILED」、または「SYNCING」のいずれかです。
ディスクの C.ID.L 形式とステータスを表示します。ステータスは「GOOD」、「FAILED」、または「HSP」(ディスクが予備用ディスクとして設定されている) のいずれかです。
ボリュームまたはコントローラを指定すると、指定したボリュームまたはコントローラの情報のスナップショットしか取得されません。
指定したディスクの情報のスナップショットを取得します。
使用法についての文字列を出力します。
次のコマンドは、コントローラ 0 に 10G の RAID 0 ボリュームを作成し、ストライプサイズは 64k に設定されます。
# raidctl -C "0.0.0 0.2.0" -r 0 -z 10g -s 64k 0
次のコマンドは、コントローラ 2 に RAID 1 ボリュームを作成します。
# raidctl -C "0.0.0 1.1.0" -r 1 2
次のコマンドは、コントローラ 2 に RAID 5 ボリュームを作成します。
# raidctl -C "0.0.0 0.1.0 0.2.0" -r 5 2
次のコマンドは、コントローラ 0 に RAID 10 ボリュームを作成します。
# raidctl -C "(0.0.0 0.1.0)(0.2.0 0.3.0)" -r 10 0
次のコマンドは、コントローラ 0 に RAID 50 ボリュームを作成します。
# raidctl -C "(0.0.0 0.1.0 0.2.0)(0.3.0 0.4.0 0.5.0)" -r 50 0使用例 2 RAID 構成の表示
次のコマンドは、使用可能なすべてのコントローラ、ボリューム、およびディスクを表示します。
# raidctl -l Controller: 0 Controller: 2 Volume:c2t0d0 Disk: 0.0.0 Disk: 0.1.0 Disk: 0.2.0 Disk: 0.3.0(HSP)
次のコマンドは、コントローラ 2 に関する情報を表示します。
# raidctl -l 2 Controller Type Fw_version -------------------------------------------------------------- c2 LSI 1030 1.03.39.00
次のコマンドは、指定したボリュームに関する情報を表示します。
# raidctl -l c2t0d0 Volume Size Stripe Status Cache RAID Sub Size Level Disk -------------------------------------------------------------- c2t0d0 10240M 64K OPTIMAL ON RAID5 0.0.0 5120M GOOD 0.1.0 5120M GOOD 0.2.0 5120M GOOD
次のコマンドは、コントローラ 0 のディスク 0.0.0 に関する情報を表示します。
# raidctl -l -g 0.0.0 0 Disk Vendor Product Firmware Capacity Status HSP -------------------------------------------------------------------- 0.0.0 HITACHI H101473SCSUN72G SQ02 68.3G GOOD N/A GUID:2000000cca02536c使用例 3 RAID 構成の削除
次のコマンドは、ボリュームを削除します。
# raidctl -d c0t0d0使用例 4 コントローラのフラッシュイメージの更新
次のコマンドは、コントローラ 0 のフラッシュイメージを更新します。
# raidctl -F lsi_image.fw 0使用例 5 ホットスペアディスクの設定または設定解除
次のコマンドは、コントローラ 2 のディスク 0.3.0 をグローバルホットスペアディスクとして設定します。
# raidctl -a set -g 0.3.0 2
次のコマンドは、コントローラ 2 のディスク 0.3.0 を、ボリューム c2t0d0 に対するローカルホットスペアディスクとして設定します。
# raidctl -a set -g 0.3.0 c2t0d0
次のコマンドは、コントローラ 2 のディスク 0.3.0 を、グローバルホットスペアディスクから通常のディスクへ変換します。
# raidctl -a unset -g 0.3.0 2
次のコマンドは、ディスク 0.3.0 のボリューム c2t0d0 に対するローカルホットスペアディスクの設定を解除します。
# raidctl -a unset -g 0.3.0 c2t0d0使用例 6 ボリュームプロパティーの設定
次のコマンドは、ボリュームの書き込みポリシーを「off」に設定します。
# raidctl -a set -p "wp=off" c0t0d0使用例 7 –c オプションによるボリュームの作成
次のコマンドは、RAID 1 ボリュームを作成します。
# raidctl -c c0t0d0 c0t1d0
次のコマンドは、RAID 0 ボリュームを作成します。
# raidctl -c -r 0 c0t1d0 c0t2d0 c0t3d0使用例 8 RAID 構成のスナップショットの取得
次のコマンドは、すべての RAID デバイスのスナップショットを取得します。
# # raidctl -S 1 "LSI 1030" c1t1d0 2 0.2.0 0.3.0 1 DEGRADED 0.2.0 GOOD 0.3.0 FAILED
次のコマンドは、ボリューム c1t0d0 についてのスナップショットを取得します。
# raidctl -S c1t0d0 c1t0d0 2 0.0.0 0.1.0 1 OPTIMAL
次のコマンドは、コントローラ 1 のディスク 0.1.0 についてのスナップショットを取得します。
# raidctl -S -g 0.1.0 1 0.1.0 GOOD
次の終了ステータスが返されます。
正常終了。
コマンド行入力が不正、またはアクセスが拒否されました。
要求操作は失敗しました。
属性についての詳細は、マニュアルページの attributes(5) を参照してください。
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Oracle Solaris 11.3 の管理の紹介
Solaris マルチパス入出力機能 (MPxIO としても知られる) を使用する場合は、内部 SAS ディスク上に RAID ボリュームを作成しないでください。Solaris マルチパス環境で新しい RAID ボリュームを作成すると、既存デバイスの GUID と一致しない新しい GUID が root デバイスに与えられます。これによって /etc/vfstab 内の root デバイスのエントリが一致しなくなり、ブート障害を引き起こします。
–z オプションは、mpt ドライバおよび LSI RAID コントローラを使用するシステムではサポートされません。