Oracle® Solaris 11.2 でのネットワークコンポーネントの構成と管理

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更新: 2014 年 7 月
 
 

アップグレードされたシステムでのリンク名

新規にインストールされたシステムでは、データリンクには net0 から netN-1 までの名前が自動的に付けられます。ここで、N はネットワークデバイスの総数を表します。

これに対して、別の Oracle Solaris 11 リリースからアップグレードした場合、データリンクでは、アップグレードの前に確立されていた名前が保持されます。これらの名前は、ハードウェアに基づくデフォルトの名前か、または管理者がアップグレードの前にデータリンクに割り当てたカスタマイズ名のどちらかです。さらに、これらのアップグレードされたシステムでは、そのあとに追加される新しいネットワークデバイスも、汎用名を受け取るのではなく、ハードウェアに基づくデフォルトの名前を保持します。アップグレードされたシステムでのこの動作により、OS によって割り当てられた汎用名が、その他のハードウェアに基づく名前や、アップグレードの前に管理者によって割り当てられたカスタマイズされた名前と混在しないことが保証されます。

両方のハードウェアベース名および OS で指定されたリンク名を、任意のほかの名前で置き換えることができます。通常、システムのネットワーク構成の作成には、OS が割り当てるデフォルトのリンク名で十分です。ただし、リンク名に変更を加える前に次の情報を考慮してください。

ハードウェアに基づくリンク名の置き換え

システムのリンクにハードウェアに基づく名前が付けられている場合は、これらのリンクの名前を少なくとも汎用名に変更します。ハードウェアに基づく名前を保持した場合は、あとでこれらの物理デバイスを取り外したり、交換したりしたときに、混乱が発生する可能性があります。

たとえば、デバイス bge0 に関連付けられたリンク名 bge0 を保持したとします。リンク構成はすべて、そのリンク名を参照することによって実行されます。あとで、NIC bge を NIC e1000g に交換したとします。以前のデバイスのリンク構成を新しい NIC e1000g0 に再適用するには、リンク名 bge0e1000g0 に再割り当てする必要があります。ハードウェアに基づくリンク名 bge0 を関連付けられた別の NIC e1000g0 と組み合わせると、混乱が発生することがあります。ハードウェアに基づかない名前を使用することによって、そのリンクを関連付けられたデバイスからより適切に区別することができます。

リンク名の変更に関する注意事項

ハードウェアに基づくリンク名の置き換えはベストプラクティスですが、それでも、リンクの名前を変更する前には慎重な計画が必要です。デバイスのリンク名を変更しても、その新しい名前が、既存の関連付けられたすべての構成に自動的に反映されるわけではありません。次の例は、リンク名を変更した場合のリスクを示しています。

  • IP フィルタの構成にある一部の規則は、特定のリンクに適用されます。リンクの名前を変更すると、振り分け規則は引き続き、そのリンクの元の名前を参照します。その結果、リンクの名前を変更したあと、これらの規則は期待どおりに動作しなくなります。新しいリンク名を使用して、そのリンクに適用されるように振り分け規則を調整する必要があります。

  • ネットワーク構成情報をエクスポートする可能性を考慮してください。前に説明したように、OS によって提供されるデフォルトの net# の名前を使用すると、ゾーンを移行し、ネットワーク構成を別のシステムに容易にエクスポートすることができます。ターゲットシステムのネットワークデバイスに net0net1 などの汎用名が付けられている場合、これらのゾーンは単純に、そのゾーンに割り当てられたデータリンクに名前が一致するデータリンクのネットワーク構成を継承します。

そのため、一般的な規則として、データリンクの名前はランダムに変更しないでください。データリンクの名前を変更する場合は、そのリンクの関連付けられたすべての構成が、リンク名が変更されたあとも引き続き適用されることを確認してください。

    リンクの名前を変更することによって影響を受ける可能性のある一部の構成は、次のとおりです。

  • IP 振り分け規則

  • ipadm コマンドを使用して指定された IP 構成

  • Oracle Solaris 11 ゾーン

  • autopush 構成


    注 -  リンクの名前を変更したときに autopush 構成を変更する必要はありません。ただし、リンクの名前が変更されたあと、この構成がリンクごとの autopush プロパティーでどのように動作するかを認識しておく必要があります。詳細は、データリンク上の STREAMS モジュールの設定を参照してください。

有効なリンク名のための規則

リンク名を割り当てる場合は、次の規則に従ってください。

  • リンク名は、文字列と物理接続点 (PPA) 番号で構成する必要があります。

  • リンク名は、次の制約に従う必要があります。

    • 名前は 3 文字から 8 文字までの間で構成されることが理想です。ただし、名前の最大文字数は 16 です。

    • 名前のための有効な文字は、英数字 (a-z、0-9) とアンダースコア (_) です。


      Caution

      注意  -  リンク名には大文字を使用しないでください。


  • 各データリンクに割り当てるリンク名は、一度に 1 つだけにする必要があります。

  • 各データリンクには、システム内で一意のリンク名を割り当てる必要があります。


注 -  追加の制限として、lo0 は柔軟なリンク名としては使用できません。この名前は、IP ループバックインタフェースを識別するために予約されています。

リンク名を割り当てるときに、ネットワーク設定内のリンクの機能が役立つリファレンスになる場合があります。たとえば、netmgt0 をネットワーク管理専用のリンクにすることができます。Upstream2 を ISP に接続するリンクにすることができます。混乱を回避するための一般的な規則として、既知のデバイスの名前をリンクに割り当てることはしないでください