仮想 SCSI HBA サブシステムは、Oracle Solaris I/O マルチパス実装を利用することによって、ゲストドメイン内およびサービスドメイン内のマルチパスをサポートします。詳細は、Managing SAN Devices and Multipathing in Oracle Solaris 11.3を参照してください。
Oracle Solaris I/O マルチパスと同様に、特定のバックエンド SCSI デバイスに 1 つ以上のパスでアクセスできます。仮想 SCSI HBA サブシステムの場合は、各パスが 1 つの仮想 LUN に関連付けられます。scsi_vhci モジュールは、関連付けられた mpathadm 管理コマンドに渡された引数に基づいて I/O 要求を一連の仮想 LUN に送信する Oracle Solaris I/O マルチパス動作を実装します。詳細は、scsi_vhci(7D) および mpathadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
サービスドメインでマルチパスが有効になっている場合、図 10に示すように、ldm add-vsan コマンドは、指定されたイニシエータポートを介して到達可能な SCSI デバイスを参照するすべてのパスを表す vsan インスタンスを作成できます。ただし、サービスドメインでマルチパスが無効になっている場合、vsan インスタンスは、指定されたイニシエータポートから開始され SCSI デバイスを参照するパスのみを表します。
マルチパスを構成するには、ゲストドメインまたはサービスドメインから同じバックエンドデバイスへの 2 つ以上の個別のパスを構成する必要があります。マルチパスが 1 つの構成されたパスでも動作することに注意してください。ただし、予測される構成には、個別のサービスドメイン上に存在する個別の物理 SCSI HBA イニシエータポート経由で I/O 要求を送信する 2 つ以上のパスが存在します。
バックエンドストレージへの個別のパスごとに ldm add-vhba コマンドと ldm add-vsan コマンドのペアを実行します。
vhba 仮想 HBA モジュールによって管理されるイニシエータポートに対してゲストドメイン内の Oracle Solaris I/O マルチパスを有効にします。
次の図は、ゲストドメインでのマルチパス構成の例です。Oracle Solaris I/O マルチパスによって管理される 2 つのパスによってアクセスされる SAN の 1 つの物理 LUN を示しています。この図に示されている構成の作成方法を説明する手順については、仮想 SCSI HBA マルチパスを構成する方法を参照してください。
図 9 ゲストドメインにおける仮想 SCSI HBA マルチパスの構成
図 10 サービスドメインにおける仮想 SCSI HBA マルチパスの構成