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Oracle® VM Server for SPARC 3.4 管理ガイド

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更新: 2016 年 8 月
 
 

仮想スイッチ

仮想スイッチ (vsw) とは、サービスドメインで動作し、仮想スイッチドライバによって管理されるコンポーネントのことです。仮想スイッチを複数のゲストドメインに接続すると、これらのドメイン間のネットワーク通信を可能にできます。また、仮想スイッチが物理ネットワークインタフェースにも関連付けられている場合は、物理ネットワークインタフェースを介して、ゲストドメインと物理ネットワークの間のネットワーク通信が許可されます。Oracle Solaris 10 サービスドメインで実行されている場合、仮想スイッチもネットワークインタフェース vswn を持ち、その仮想スイッチに接続されているほかのドメインとの通信をサービスドメインに許可します。仮想スイッチは、通常のネットワークインタフェースのように使用でき、Oracle Solaris 10 ifconfig コマンドで構成できます。

ドメインへ仮想ネットワークデバイスを割り当てると、仮想スイッチを提供するドメインで暗黙的な依存関係が作成されます。ldm list-dependencies コマンドを使用すると、これらの依存関係を表示する、またはこの仮想スイッチに依存するドメインを表示することができます。ドメイン I/O の依存関係の一覧表示を参照してください。

Oracle Solaris 11 サービスドメインでは、仮想スイッチを通常のネットワークインタフェースとして使用できません。仮想スイッチが物理ネットワークインタフェースに接続されている場合、サービスドメインとの通信はこの物理インタフェースを使用することによって可能です。物理インタフェースなしで構成されている場合は、etherstub を VNIC と接続されているネットワークデバイス (net-dev) を使用して、サービスドメインとの通信を有効にできます。

仮想スイッチのバックエンドデバイスとして使用するネットワークデバイスを判定するには、dladm show-phys 出力で物理ネットワークデバイスを検索するか、ldm list-netdev コマンドを使用して論理ドメインのネットワークデバイスを一覧表示します。


注 - Oracle Solaris 10 サービスドメインに仮想スイッチを追加する場合、そのネットワークインタフェースは作成されません。このため、デフォルトでは、サービスドメインは仮想スイッチに接続されたゲストドメインと通信できません。ゲストドメインとサービスドメインの間のネットワーク通信を有効にするには、関連付けられた仮想スイッチのネットワークインタフェースを作成し、サービスドメイン内で構成する必要があります。手順については、Oracle Solaris 10 サービスドメインとその他のドメインの間のネットワークの有効化を参照してください。

この状況は、Oracle Solaris 10 OS でのみ発生し、Oracle Solaris 11 OS では発生しません


仮想スイッチのドメインへの追加、仮想スイッチへのオプションの設定、仮想スイッチの削除には、それぞれ、ldm add-vsw コマンド、ldm set-vsw コマンド、および ldm rm-vsw コマンドを使用できます。ldm(1M) マニュアルページを参照してください。

NIC またはアグリゲーションの VLAN タグ付きインスタンスに仮想スイッチを作成する場合、ldm add-vsw または ldm set-vsw コマンドを使用する際に、net-dev プロパティーの値として、NIC (nxge0)、アグリゲーション (aggr3)、またはバニティー名 (net0) を指定する必要があります。


注 - Oracle Solaris 11.2 SRU 1 OS 以降では、ldm set-vsw コマンドを使用して net-dev プロパティー値を動的に更新できます。以前の Oracle Solaris OS リリースでは、ldm set-vsw コマンドを使用して primary ドメインの net-dev プロパティー値を更新すると、primary ドメインは遅延再構成に入ります。

IP-over-InfiniBand (IPoIB) ネットワーク・デバイス上に仮想スイッチを追加することはできません。ldm add-vsw コマンドと ldm add-vnet コマンドは成功したように見えますが、これらのデバイスは InfiniBand トランスポート層によって IP パケットをトランスポートするので、データは流れません。仮想スイッチはトランスポート層として Ethernet のみをサポートします。IPoIB および Ethernet-over-InfiniBand (EoIB) は、仮想スイッチでサポートされていないバックエンドであることに注意してください。

次のコマンドは、net0 という名前の物理ネットワークアダプタ上に仮想スイッチを作成します。

primary# ldm add-vsw net-dev=net0 primary-vsw0 primary

次のサンプルは、ldm list-netdev -b コマンドを使用して、svcdom サービスドメインの有効な仮想スイッチバックエンドデバイスのみを表示します。

primary# ldm list-netdev -b svcdom
DOMAIN
svcdom

NAME             CLASS MEDIA STATE   SPEED OVER   LOC
----             ----- ----- -----   ----- ----   ---
net0             PHYS  ETHER up      10000 ixgbe0 /SYS/MB/RISER1/PCIE
net1             PHYS  ETHER unknown 0     ixgbe1 /SYS/MB/RISER1/PCIE4
net2             ESTUB ETHER unknown 0     --     --
net3             ESTUB ETHER unknown 0     --     --
ldoms-estub.vsw0 ESTUB ETHER unknown 0     --     --