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Oracle® VM Server for SPARC 3.4 管理ガイド

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更新: 2016 年 8 月
 
 

Logical Domains Manager

Logical Domains Manager は、論理ドメインの作成と管理、および論理ドメインの物理リソースへのマッピングに使用されます。サーバーで実行できる Logical Domains Manager は 1 つだけです。

ドメインの役割

    論理ドメインはすべて同じですが、論理ドメインに対して指定する役割に基づいてそれぞれ区別できます。論理ドメインが実行できる役割は、次のとおりです。

  • 制御ドメイン。Logical Domains Manager がこのドメインで実行されることで、他のドメインを作成して管理し、仮想リソースを他のドメインに割り当てることができます。制御ドメインは、サーバーごとに 1 つだけ存在できます。制御ドメインは、Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアをインストールするときに最初に作成されるドメインです。制御ドメインには、primary という名前が付けられます。

  • サービスドメイン。サービスドメインは、仮想スイッチ、仮想コンソール端末集配信装置、仮想ディスクサーバーなどの仮想デバイスサービスをほかのドメインへ提供します。複数のサービスドメインを保持でき、どのドメインもサービスドメインとして構成できます。

  • I/O ドメイン。I/O ドメインは、PCI EXPRESS (PCIe) コントローラのネットワークカードなどの物理 I/O デバイスに直接アクセスできます。I/O ドメインは、次を所有できます。

    I/O ドメインは、I/O ドメインがサービスドメインとしても使用される場合に、仮想デバイスの形式でほかのドメインと物理 I/O デバイスを共有できます。

  • ルートドメイン。ルートドメインには PCIe ルートコンプレックスが割り当てられています。このドメインは PCIe ファブリックを所有し、ファブリックのエラー処理など、ファブリックに関連するすべてのサービスを提供します。ルートドメインは I/O ドメインでもあり、物理 I/O デバイスを所有し、それらに直接アクセスできます。

    保持できるルートドメインの数は、プラットフォームアーキテクチャーによって決まります。たとえば、8 ソケットの Oracle SPARC T5-8 サーバーを使用している場合は、最大 16 のルートドメインを保持できます。

    デフォルトのルートドメインは、primary ドメインです。primary 以外のドメインを使用して、ルートドメインとして機能させることができます。

  • ゲストドメイン。ゲストドメインは I/O を行わないドメインで、1 つ以上のサービスドメインにより提供される仮想デバイスサービスを使用します。ゲストドメインは、物理 I/O デバイスを持っておらず、仮想ディスクや仮想ネットワークインタフェースなどの仮想 I/O デバイスのみを持ちます。

まだ Oracle VM Server for SPARC が構成されていない既存のシステムに、Logical Domains Manager をインストールできます。この場合、OS の現在のインスタンスが制御ドメインになります。また、システムは 1 つのドメインである、制御ドメインによってのみ構成されます。制御ドメインを構成したあと、ドメインを追加してアプリケーションを制御ドメインから新しいドメインに移動することによって、システム全体をもっとも効率的に利用できるように、アプリケーションの負荷をほかのドメイン間で分散できます。

コマンド行インタフェース

Logical Domains Manager は、コマンド行インタフェース (Command-Line Interface、CLI) を使用して論理ドメインの作成と構成を行います。CLI には、単一のコマンド ldm があり、これは複数のサブコマンドを備えています。ldm(1M) のマニュアルページを参照してください。

Logical Domains Manager CLI を使用するには、Logical Domains Manager デーモン ldmd が実行されている必要があります。

仮想入出力

Oracle VM Server for SPARC 環境では、システムで最大 128 個 (Fujitsu M10 サーバー で最大 256 個) のドメインを構成できます。一部のサーバー、特に単一プロセッサと一部のデュアルプロセッサシステムでは、I/O バスおよび物理 I/O スロットの数に制限があります。そのため、これらのシステムのすべてのドメインに対して、物理ディスクおよびネットワークデバイスへの排他的なアクセスを提供できるとは限りません。物理デバイスへのアクセスを提供するため、ドメインに PCIe バスやエンドポイントデバイスを割り当てることができます。この解決方法は、すべてのドメインにデバイスへの排他的なアクセスを提供するには不十分です。直接アクセス可能な物理 I/O デバイス数の制限には、仮想 I/O モデルの実装により対処できます。I/O ドメインの構成を参照してください。

物理 I/O アクセスを行わない論理ドメインは、サービスドメインと通信する仮想 I/O デバイスを使用して構成されます。サービスドメインは、仮想デバイスサービスを実行して、物理デバイスまたはその機能にアクセスを提供します。このようなクライアントサーバーモデルで、仮想 I/O デバイスは、論理ドメインチャネル (LDC) と呼ばれるドメイン間通信チャネルを使用して、相互に、またはサービスの対象と通信します。仮想化 I/O 機能には、仮想ネットワーク、ストレージ、およびコンソールのサポートが含まれています。

仮想ネットワーク

Oracle VM Server for SPARC は、仮想ネットワークデバイスと仮想ネットワークスイッチデバイスを使用して、仮想ネットワークを実装します。仮想ネットワーク (vnet) デバイスは、Ethernet デバイスをエミュレートし、ポイントツーポイントチャネルを使用してシステム内のほかの vnet デバイスと通信します。仮想スイッチ (vsw) デバイスは、主に仮想ネットワークのすべての受信パケットおよび送信パケットのマルチプレクサとして機能します。vsw デバイスは、サービスドメインの物理ネットワークアダプタに直接接続し、仮想ネットワークの代わりにパケットを送受信します。vsw デバイスは、単純なレイヤー 2 スイッチとしても機能し、システム内で vsw デバイスに接続された vnet デバイス間でパケットをスイッチします。

仮想ストレージ

    仮想ストレージインフラストラクチャーは、クライアントサーバーモデルを使用して、論理ドメインに直接割り当てられていないブロックレベルのストレージに論理ドメインがアクセスできるようにします。このモデルは、次のコンポーネントを使用します。

  • ブロック型デバイスインタフェースをエクスポートする仮想ディスククライアント (vdc)

  • 仮想ディスクサービス (vds)は、仮想ディスククライアントの代わりにディスク要求を処理し、サービスドメインに存在するバックエンドのストレージへ発行します

クライアントドメインでは仮想ディスクは通常のディスクとして認識されますが、ほとんどのディスク操作は仮想ディスクサービスに転送され、サービスドメインで処理されます。

仮想コンソール

Oracle VM Server for SPARC 環境では、primary ドメインからのコンソール I/O はサービスプロセッサに送信されます。ほかのすべてのドメインからのコンソール I/O は、仮想コンソール端末集配信装置 (vcc) を実行しているサービスドメインにリダイレクトされます。通常、vcc を実行するドメインは、primary ドメインです。仮想コンソール端末集配信装置サービスは、すべてのドメインのコンソールトラフィックの端末集配信装置として機能します。また、仮想ネットワーク端末サーバーデーモン (vntsd) とのインタフェースを提供し、UNIX ソケットを使用して各コンソールへのアクセスを提供します。

リソースの構成

Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアを実行するシステムは、仮想 CPU、仮想 I/O デバイス、暗号化ユニット、メモリーなどのリソースを構成できます。一部のリソースは実行中のドメインで動的に構成可能ですが、他のリソースは停止中のドメインで構成する必要があります。制御ドメインでリソースを動的に構成できない場合は、まず遅延再構成を開始する必要があります。遅延再構成は、制御ドメインのリブートが完了するまで構成処理を延期します。詳細については、リソースの再構成を参照してください。

持続的な構成

ldm コマンドを使用して、論理ドメインの現在の構成をサービスプロセッサに格納できます。構成の追加、使用する構成の指定、構成の削除、および構成の表示を行うことができます。詳細については、ldm(1M) のマニュアルページを参照してください。サービスプロセッサでの Oracle VM Server for SPARC の使用で説明するように、SP からブートするように構成を指定することもできます

構成の管理については、ドメイン構成の管理を参照してください。