仮想ネットワーク上の仮想 NIC の使用
Oracle Solaris 11 OS を使用すると、仮想ネットワークインタフェースカード (VNIC)、仮想スイッチ、および etherstub で構成される仮想ネットワークを定義できます。Oracle Solaris ゾーン はオペレーティングシステムサービスを仮想化し、ある論理ドメインの同じ Oracle Solaris OS インスタンス内で実行中の複数のアプリケーションのために、隔離されたセキュアな複数の環境を提供します。
Oracle Solaris 11 では、各ゾーンが大域ゾーンからネットワークプロパティーを継承し、独自のネットワークアドレスやその他のプロパティーを設定できない Oracle Solaris 10 の「共有 IP」ゾーンモデルが改良されています。現在では、仮想ネットワークデバイスを含むゾーンを使用して、複数の分離された仮想 NIC を構成したり、ゾーンを各仮想ネットワークに関連付けたり、分離、接続、およびサービスの品質 (QoS) のための規則を確立したりできます。
詳細は、Oracle Solaris 11.3 Information Library (http://docs.oracle.com/cd/E53394_01/) にあるネットワークに関する本を参照してください。
論理ドメイン内の仮想ネットワークデバイスは、複数の Oracle Solaris 11 仮想 NIC をサポートできます。仮想ネットワークデバイスは、それがサポートする仮想 NIC ごとに 1 つずつの複数の MAC アドレスをサポートするように構成されている必要があります。論理ドメイン内の Oracle Solaris ゾーンは仮想 NIC に接続します。
図 25 は、Oracle Solaris OS に vnet1 という名前の 1 つの仮想ネットワークデバイスを提供する論理ドメイン domain1 を示しています。この仮想ネットワークデバイスは、それぞれ独自の MAC アドレスを持ち、ゾーンに個別に割り当て可能な複数の Oracle Solaris 11 仮想ネットワークデバイスをホストできます。
domain1 ドメイン内には、zone1 および zone2 という Oracle Solaris 11 ゾーンがあります。各ゾーンは、vnet1 仮想ネットワークデバイスに基づいて、仮想 NIC によってネットワークに接続されます。
図 25 仮想ネットワークデバイス上の仮想 NIC
次のセクションでは、仮想ネットワークデバイス上の仮想 NIC の構成、および仮想 NIC によるドメイン内のゾーンの作成について説明します。
Ethernet SR-IOV 仮想機能での仮想 NIC の使用については、次のセクションを参照してください。
仮想ネットワークデバイス上の仮想 NIC の構成
仮想ネットワークデバイス上の仮想 NIC を構成するには、制御ドメインは Oracle Solaris 11.1 SRU 4 OS 以上を実行し、ゲストドメインは Oracle Solaris 11.1 OS 以上を実行している必要があります。
複数の MAC アドレスをホストするように仮想ネットワークデバイスを構成するには、ldm add-vnet または ldm set-vnet コマンドを使用して、alt-mac-addrs プロパティーにコンマで区切られた 1 つ以上の値を指定します。有効な値は、オクテット MAC アドレスおよび auto です。auto 値は、システムが MAC アドレスを生成することを示します。
ldm add-vnet コマンドを使用します。次の ldm add-vnet コマンドは、domain1 ドメイン上に vnet1 仮想ネットワークデバイスを作成し、システムで生成された 3 つの MAC アドレスをそのデバイスで使用できるようにします。
primary# ldm add-vnet alt-mac-addrs=auto,auto,auto vnet1 primary-vsw0 domain1
ldm add-vnet および ldm set-vnet コマンドの組み合わせを使用します。次の ldm add-vnet および ldm set-vnet コマンドは、仮想ネットワークデバイスを作成したあと、既存の仮想ネットワークデバイスにさらに多くの MAC アドレスを割り当てる方法を示しています。
最初のコマンドは、ldm add-vnet コマンドを使用して、domain1 ドメイン上に vnet1 仮想ネットワークデバイスを作成します。2 番目のコマンドは、ldm set-vnet コマンドを使用して、システムで生成された 3 つの MAC アドレスを vnet1 仮想ネットワークデバイスで使用できるようにします。
primary# ldm add-vnet vnet1 primary-vsw0 domain1 primary# ldm set-vnet alt-mac-addrs=auto,auto,auto vnet1 domain1
たとえば、次の方法のいずれかで、仮想ネットワークデバイス用にシステムで生成された 3 つの代替 MAC アドレスを指定できます。
ドメイン内での Oracle Solaris 11 ゾーンの作成
仮想ネットワークデバイス上の仮想 NIC の構成で仮想 NIC を作成したら、使用可能な MAC アドレスに関連付けられたゾーンを作成します。Oracle Solaris ゾーン についての情報は、Creating and Using Oracle Solaris Zonesを参照してください。
ゾーンに使用する MAC アドレスを指定するには、zonecfg コマンドを使用します。
zonecfg:zone-name> set mac-address=[MAC-address,auto]
使用可能な MAC アドレスのいずれかを自動的に選択するために値 auto を指定するか、または ldm set-vnet コマンドで作成した特定の代替 MAC アドレスを指定します。