Oracle VM Server for SPARC では、論理ドメインチャネル (LDC) を使用して、すべての通信 (コンソール、仮想 I/O、制御トラフィックなど) を実装します。LDC は、2 つのエンドポイント間の通信を可能にするために使用される方法です。通常、各エンドポイントは異なるドメインにありますが、それらのエンドポイントを同じドメインに配置してループバック通信を可能にすることができます。
このソフトウェアおよびシステムファームウェアによって、制御ドメインやゲストドメインに使用できる LDC エンドポイントの大きなプールが提供されます。この LDC エンドポイントプールは、SPARC T4 サーバー、SPARC T5 サーバー、SPARC T7 シリーズサーバー、SPARC M5 サーバー、SPARC M6 サーバー、SPARC M7 シリーズサーバー、SPARC S7 シリーズサーバー、および Fujitsu M10 サーバーでのみ使用できます。
LDC エンドポイントプールをサポートするために必要なシステムファームウェアは、SPARC T4 サーバーの場合は 8.5.2、SPARC T5 サーバー、SPARC M5 サーバー、および SPARC M6 サーバーの場合は 9.2.1、SPARC T7 シリーズサーバーおよび SPARC M7 シリーズサーバーの場合は 9.4.3、SPARC S7 シリーズサーバーの場合はリリースされたバージョン、Fujitsu M10 サーバーの場合は XCP2240 です。
サポートされるプラットフォームや UltraSPARC T2、UltraSPARC T2 Plus、または SPARC T3 プラットフォーム上で古いバージョンのシステムファームウェアを実行している場合は、次の LDC エンドポイントの制限が引き続き適用されます。
UltraSPARC T2 サーバー – 512 個の LDC エンドポイント
UltraSPARC T2 Plus サーバー – 768 個の LDC エンドポイント
SPARC T3 サーバー – 768 個の LDC エンドポイント
SPARC T4 サーバー – 768 個の LDC エンドポイント
SPARC T5 サーバー – 768 個の LDC エンドポイント
SPARC T7 シリーズサーバー – 768 個の LDC エンドポイント
SPARC M5 サーバー – 768 個の LDC エンドポイント
SPARC M6 サーバー – 768 個の LDC エンドポイント
SPARC M7 シリーズサーバー – 768 個の LDC エンドポイント
Fujitsu M10 サーバー – 768 個の LDC エンドポイント
この制限は制御ドメインで問題になることがあります。これは、仮想 I/O データ通信と、Logical Domains Manager によるほかのドメイン制御の両方に多数の LDC エンドポイントが使用される可能性があるからです。
サービスの追加やドメインのバインドを試みたために、LDC エンドポイントの数が 1 つのドメインでの制限を超えてしまった場合、その操作は失敗して、次のようなエラーメッセージが表示されます。
13 additional LDCs are required on guest primary to meet this request, but only 9 LDCs are available
次のガイドラインを使用すると、LDC エンドポイントの使用計画を正しく立てたり、制御ドメインで LDC 機能のオーバーフローが発生する可能性のある原因を説明したりできます。
制御ドメインでは、構成されているほかのドメインの数に関係なく、ハイパーバイザ、障害管理アーキテクチャー (FMA)、およびシステムプロセッサ (SP) とのさまざまな通信目的で、約 15 個の LDC エンドポイントを使用します。制御ドメインによって使用される LDC エンドポイントの数は、プラットフォーム、および使用されているソフトウェアのバージョンによって異なります。
Logical Domains Manager は、ドメイン (自身を含む) ごとに制御トラフィック用の LDC エンドポイントを制御ドメインに 1 つ割り当てます。
制御ドメインの各仮想 I/O サービスは、そのサービスに接続されているクライアントごとに LDC エンドポイントを 1 つ使用します。各ドメインには、仮想ネットワーク、仮想ディスク、および仮想コンソールが少なくとも 1 つずつ必要です。
次の式では、これらのガイドラインを取り入れて、制御ドメインで必要とされる LDC エンドポイントの数を算出します。
15 + number-of-domains + (number-of-domains x number-of-virtual-services) = total-LDC-endpoints
number-of-domains は制御ドメインを含むドメインの総数であり、number-of-virtual-services はこのドメインによって処理される仮想 I/O デバイスの総数です。
次の例は、制御ドメインが 1 つ、追加のドメインが 8 つある場合に、式を使用して LDC エンドポイントの数を算出する方法を示しています。
15 + 9 + (8 x 3) = 48 LDC エンドポイント
次の例では、ゲストドメインが 45 あり、各ドメインに 5 つの仮想ディスク、2 つの仮想ネットワーク、および 1 つの仮想コンソールがあります。計算によって次の結果が得られます。
15 + 46 + 45 x 8 = 421 LDC エンドポイント
使用しているプラットフォームでサポートされている LDC エンドポイントの数に応じて、Logical Domains Manager が構成を受け入れるか拒否するかが決まります。
制御ドメインで LDC エンドポイントを使い果たした場合は、サービスドメインまたは I/O ドメインを作成して仮想 I/O サービスをゲストドメインに提供することを検討してください。このアクションを実行すると、制御ドメインではなく、I/O ドメインとサービスドメインに LDC エンドポイントを作成できます。
ゲストドメインでも、LDC エンドポイントを使い果たす可能性があります。このような状況は、inter-vnet-link プロパティーが on に設定されることで、相互に直接接続するゲストドメインに追加の LDC エンドポイントが割り当てられるために起こることがあります。
次の式では、inter-vnet-link=off のときにゲストドメインで必要とされる LDC エンドポイントの数を算出します。
2 + number-of-vnets + number-of-vdisks = total-LDC-endpoints
2 は仮想コンソールと制御トラフィックを表し、number-of-vnets はゲストドメインに割り当てられている仮想ネットワークデバイスの総数、number-of-vdisks はゲストドメインに割り当てられている仮想ディスクの総数です。
次の例は、inter-vnet-link=off で、仮想ディスクと仮想ネットワークが 2 つずつある場合に、式を使用して 1 ゲストドメインあたりの LDC エンドポイント数を算出する方法を示しています。
2 + 2 + 2 = 6 LDC エンドポイント
次の式では、inter-vnet-link=on のときにゲストドメインで必要とされる LDC エンドポイントの数を算出します。
2 + [[(number-of-vnets-from-vswX x number-of-vnets-in-vswX)] ...] + number-of-vdisks = total-LDC-endpoints
2 は仮想コンソールと制御トラフィックを表し、number-of-vnets-from-vswX は vswX 仮想スイッチからゲストドメインに割り当てられている仮想ネットワークデバイスの総数、number-of-vnets-in-vswX は vswX 仮想スイッチ上の仮想ネットワークデバイスの総数、number-of-virtual-disks はゲストドメインに割り当てられている仮想ディスクの総数です。
次の例は、inter-vnet-link=on で、仮想ディスクと仮想スイッチが 2 つずつある場合に、式を使用して 1 ゲストドメインあたりの LDC エンドポイント数を算出する方法を示しています。最初の仮想スイッチには 8 つの仮想ネットワークがあり、そのうちの 4 つがドメインに割り当てられます。2 つめの仮想スイッチは、8 つすべての仮想ネットワークをドメインに割り当てます。
2 + (4 x 8) + (8 x 8) + 2 = 100 LDC エンドポイント
Oracle VM Server for SPARC 3.4 ソフトウェアを使用して作成する仮想ネットワークデバイスは、デフォルトで inter-vnet-link=auto が設定されています。この機能では、数がこのしきい値を超えたときに inter-vnet を自動的にオフにします。ただし、LDC チャネルの数を削減するには、inter-vnet-link=on で作成した仮想ネットワークデバイスは inter-vnet-link=off に明示的に変更する必要があります。詳細については、Inter-Vnet LDC チャネルを参照してください。
引き続き inter-vnet-link=off を設定して、そのドメイン、または仮想ネットワークデバイスが存在するドメインの LDC エンドポイントの数を減らすことができます。ただし、off プロパティー値は、仮想スイッチを含むサービスドメインには影響しません (サービスドメインでは各仮想ネットワークデバイスへの LDC 接続を引き続き必要とするため)。このプロパティーが off に設定されていると、LDC チャネルは inter-vnet 通信に使用されません。代わりに、LDC チャネルは仮想ネットワークデバイスと仮想スイッチデバイス間の通信のみに割り当てられます。ldm(1M) マニュアルページを参照してください。