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Oracle® VM Server for SPARC 3.4 管理ガイド

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更新: 2016 年 8 月
 
 

仮想 SCSI ホストバスアダプタの概要

仮想 SCSI ホストバスアダプタ (HBA) は、ゲストドメイン内の仮想 HBA とサービスドメイン内の仮想ストレージエリアネットワーク (SAN) という 2 つのコンポーネントで構成されます。仮想 HBA と仮想 SAN インスタンスは連携して、ゲストドメイン内で実行される SCSI ターゲットドライバのための SCSI HBA インタフェースを実装します。vSAN サービスは、SCSI I/O 要求をサービスドメイン内で実行される物理 SCSI HBA ドライバに渡す vsan ドライバによって実装されます。vhba ドライバは、ハイパーバイザで管理される論理ドメインチャネル (LDC) を使用して I/O 要求を vsan に送信します。

vHBA インスタンスは、特定の vSAN インスタンスから到達可能なすべての SCSI デバイスへのアクセスを提供します。vHBA は、ディスク、CD、DVD、テープなどのすべての SCSI デバイスタイプを認識できます。一連の到達可能な SCSI デバイスは、仮想 SAN に関連付けられた物理 HBA ドライバから現在認識可能な一連の物理 SCSI デバイスに基づいて変化します。特定の vHBA から認識可能な SCSI デバイスの識別情報や数は実行時まで不明ですが、これは物理 HBA ドライバでも同様に起こります。

vHBA にはその子デバイスとして仮想 LUN (vLUN) が存在し、これらは物理 LUN と同じ方法で動作します。たとえば、vHBA インスタンスとその vLUN で Oracle Solaris I/O マルチパスソリューションを使用できます。vLUN のデバイスパスは、完全な cXtYdZsN 表記法である /dev/[r]dsk/cXtYdZsN を使用します。このデバイス名の tY の部分は、SCSI ターゲットデバイスを示します。

仮想 SAN と仮想 SCSI HBA を構成したら、format コマンドを使用して、OpenBoot プロンプトからの仮想 LUN のブートや、すべての仮想 LUN の表示などの操作を実行できます。

図 8  Oracle VM Server for SPARC での仮想 SCSI HBA

image:この図は、仮想 SCSI HBA の要素 (ゲストおよびサービスドメイン内のコンポーネントを含む) が論理ドメインチャネル経由でどのように通信するかを示しています。

仮想 SAN がサービスドメイン内に存在し、vsan カーネルモジュールによって実装されるのに対して、仮想 SCSI HBA はゲストドメイン内に存在し、vhba モジュールによって実装されます。仮想 SAN が特定の物理 SCSI HBA イニシエータポートに関連付けられているのに対して、仮想 SCSI HBA は特定の仮想 SAN に関連付けられています。

vhba モジュールは、SCSA 準拠のすべての SCSI ターゲットドライバからの I/O 要求を受信するために、SCSA 準拠のインタフェースをエクスポートします。vhba モジュールは I/O 要求を、LDC 経由でサービスドメインに送信される仮想 I/O プロトコルメッセージに変換します。

vsan モジュールは、vhba によって送信された仮想 I/O メッセージを I/O 要求に変換します。これらの要求は、SCSA 準拠の物理 SCSI HBA ドライバに送信されます。vsan モジュールは、I/O ペイロードとステータスを LDC 経由で vhba に返します。最後に、vhba は、この I/O 応答を I/O 要求の発信元に転送します。