仮想 SCSI HBA と仮想 SAN の構成は非常に柔軟です。ldm add-vsan コマンドによって使用される物理 SCSI HBA イニシエータポートは、SCSI をサポートするあらゆるタイプのバス (ファイバチャネル、SAS、SATA など) を駆動できます。仮想 SCSI HBA と仮想 SAN は、同じドメイン内で実行できます。より一般的な構成には仮想 SCSI HBA が含まれていて、仮想 SAN はさまざまなドメインで実行され、そこでは、物理 HBA カードに直接アクセスできるサービスドメインで仮想 SAN が実行されます。
仮想 SAN は、概念的には物理 SAN に関連付けられますが、その関連付けは必要ありません。たとえば、マザーボード HBA から到達可能な一連のローカルストレージデバイスで構成される仮想 SAN を作成できます。
仮想 HBA サブシステムは、検出された物理 LUN ごとに、無条件で 1 つの仮想 LUN を作成します。そのため、仮想ディスクと同様に、競合するワークロードが同じ仮想 LUN にアクセスするようにはできません。
たとえば、イニシエータポートが 10 個の物理 SCSI デバイスに到達する場合、仮想 HBA サブシステムはゲストドメインに 10 個の仮想 LUN を作成します。ゲストオペレーティングシステムがそれらの仮想 LUN の 1 つからブートする場合は、ほかのゲストドメインが仮想 LUN にアクセスしないことと、物理 SCSI デバイスを所有するドメインが物理 LUN にアクセスしないことを確認する必要があります。
同様の注意が、ゲストドメインで使用される可能性のあるすべての仮想 LUN に当てはまります。アクセスが競合しないようにするには、そのようなほかのゲストドメイン上の仮想 LUN へのアクセスと、サービスドメイン上のベースとなる物理 LUN へのアクセスを、厳密に制御する必要があります。そのようなアクセスの競合によって、データが壊れる可能性があります。
最後に、仮想 SAN を構成する場合は、LUN 0 を持つ SCSI ターゲットデバイスの物理 LUN のみがゲストドメインに表示されることに注意してください。この制約は、ターゲットの LUN 0 が SCSI REPORT LUNS コマンドに応答することを要求する Oracle Solaris OS 実装によって課されます。