Oracle® Solaris 11.2 での ZFS ファイルシステムの管理

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更新: 2014 年 12 月
 
 

RAID-Z ストレージプール構成

ZFS は、ミラー化ストレージプール構成のほかに、シングルパリティー、ダブルパリティー、またはトリプルパリティーの耐障害性を備えた RAID-Z 構成も提供します。シングルパリティーの RAID-Z (raidz または raidz1) は RAID-5 に似ています。ダブルパリティー RAID-Z (raidz2) は RAID-6 と同様です。

RAIDZ-3 (raidz3) については、次のブログを参照してください。

http://blogs.oracle.com/ahl/entry/triple_parity_raid_z

従来の RAID-5 に似たすべてのアルゴリズム (RAID-4、RAID-6、RDP、EVEN-ODD など) では、「RAID-5 書き込みホール」と呼ばれる問題が発生する可能性があります。RAID-5 ストライプが書き込まれている途中に電源が切断され、すべてのブロックがディスクにまだ書き込まれていない場合、パリティーとデータが同期されないままになり、あとでストライプ全体を書き込んで上書きしない限り、永久に使用できない状態になります。RAID-Z では、可変幅の RAID ストライプを使用して、すべての書き込みがストライプ全体を書き込むようになっています。ZFS では、ファイルシステムとデバイス管理を統合して、可変幅の RAID ストライプの処理に必要な基本となるデータ冗長モデルの情報をファイルシステムのメタデータに十分に取り込むことによって、この設計を実現しています。RAID-Z は、RAID-5 書き込みホールをソフトウェアだけで解決する、世界初のソリューションです。

RAID-Z 構成はサイズ X のディスク N 基とパリティーディスク P 基で構成されているので、約 (N-P)*X バイトを保管することができ、P 個のデバイスで障害が発生してもデータの完全性が低下することがありません。シングルパリティーの RAID-Z 構成には 2 基以上のディスク、ダブルパリティーの RAID-Z 構成には 3 基以上のディスク (以下同様) が必要になります。たとえば、3 つのディスクで構成されるシングルパリティー RAID-Z 構成の場合には、パリティーデータが占有するディスク領域は 3 つのディスクのいずれかです。それ以外の点では、RAID-Z 構成を作成するために特別なハードウェアは必要ありません。

3 つのディスクを使用する RAID-Z 構成の概念は、次のようになります。

raidz c1t0d0 c2t0d0 c3t0d0

概念的により複雑な RAID-Z 構成は、次のようになります。

raidz c1t0d0 c2t0d0 c3t0d0 c4t0d0 c5t0d0 c6t0d0 c7t0d0
raidz c8t0d0 c9t0d0 c10t0d0 c11t0d0c12t0d0 c13t0d0 c14t0d0

多数のディスクを使用する RAID-Z 構成を作成している場合は、複数のグループにディスクを分割することを検討してください。たとえば、14 台のディスクを使用する RAID-Z 構成は、ディスク 7 台ずつの 2 つのグループに分割するほうが適切です。RAID-Z 構成をディスクグループに分割する場合には、その数を 1 桁にすると、パフォーマンスが向上します。

RAID-Z ストレージプールの作成方法については、RAID-Z ストレージプールを作成するを参照してください。

パフォーマンスやディスク容量を考慮したうえでミラー化構成または RAID-Z 構成のどちらを選択するかについての詳細は、次のブログエントリを参照してください。

http://blogs.oracle.com/roch/entry/when_to_and_not_to

RAID-Z ストレージプールの推奨事項の詳細については、Chapter 11, 推奨の Oracle Solaris ZFS プラクティスを参照してください。