Oracle® Solaris 11.2 での ZFS ファイルシステムの管理

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更新: 2014 年 12 月
 
 

ZFS ストレージプールのプロパティーの管理

zpool get コマンドを使用して、プールのプロパティーの情報を表示できます。例:

# zpool get all zeepool
NAME     PROPERTY       VALUE                SOURCE
zeepool  allocated      6.29G                -
zeepool  altroot        -                    default
zeepool  autoexpand     off                  default
zeepool  autoreplace    off                  default
zeepool  bootfs         -                    default
zeepool  cachefile      -                    default
zeepool  capacity       1%                   -
zeepool  dedupditto     0                    default
zeepool  dedupratio     1.00x                -
zeepool  delegation     on                   default
zeepool  failmode       wait                 default
zeepool  free           550G                 -
zeepool  guid           7543986419840620672  -
zeepool  health         ONLINE               -
zeepool  listshares     off                  default
zeepool  listsnapshots  off                  default
zeepool  readonly       off                  -
zeepool  size           556G                 -
zeepool  version        34                   default

ストレージプールのプロパティーは zpool set コマンドで設定できます。例:

# zpool set autoreplace=on zeepool
# zpool get autoreplace zeepool
NAME     PROPERTY     VALUE    SOURCE
zeepool  autoreplace  on       local

使用率が 100% のプールにプールプロパティーを設定しようとすると、次のようなメッセージが表示されます。

# zpool set autoreplace=on tank
cannot set property for 'tank': out of space

プール容量の問題の回避方法については、Chapter 11, 推奨の Oracle Solaris ZFS プラクティスを参照してください。

表 3-1  ZFS プールのプロパティーの説明
プロパティー名
タイプ
デフォルト値
説明
allocated
文字列
N/A
物理的に割り当てられたプール内のストレージ容量を識別する読み取り専用の値。
altroot
文字列
off
代替ルートディレクトリを識別します。設定されている場合、プール内のすべてのマウントポイントの先頭にこのディレクトリが付加されます。このプロパティーは、不明なプールを調べるとき、マウントポイントが信頼できない場合、または通常のパスが有効でない代替ブート環境で使用できます。
autoreplace
ブール型
off
自動デバイス交換を制御します。オフに設定されている場合、zpool replace コマンドを使ってデバイスの置き換えを開始する必要があります。オンに設定されている場合、そのプールに以前属していたデバイスと物理的に同じ位置にある新しいデバイスは、いずれも自動的にフォーマットされ、置き換えられます。 このプロパティーの省略名は replace です。
bootfs
ブール型
N/A
ルートプールのデフォルトのブート可能なファイルシステムを識別します。このプロパティーは、通常、インストールプログラムによって設定されます。
cachefile
文字列
N/A
プール構成情報がキャッシュされる場所を制御します。システムのブート時に、キャッシュ内のすべてのプールが自動的にインポートされます。ただし、インストール環境とクラスタ化環境では、プールが自動的にインポートされないようにするために、この情報を別の場所にキャッシュすることが必要になる場合もあります。プール構成情報を別の場所にキャッシュするようにこのプロパティーを設定できます。この情報は、あとから zpool import – c コマンドを使ってインポートできます。ほとんどの ZFS 構成で、このプロパティーは使用されません。
capacity
数値
N/A
使用されるプール領域の割合を識別する読み取り専用の値。
このプロパティーの省略名は cap です。
dedupditto
文字列
N/A
しきい値を設定します。複製解除されたブロックの参照カウントがしきい値を上回った場合は、ブロックの別の ditto コピーが自動的に格納されます。
dedupratio
文字列
N/A
プールに対して達成された読み取り専用の複製解除比。倍率で表されます。
delegation
ブール型
on
特権のないユーザーにファイルシステムに対して定義されているアクセス権を許可できるかどうかを制御します。詳細は、Chapter 8, Oracle Solaris ZFS 委任管理を参照してください。
failmode
文字列
wait
破滅的なプール障害が発生した場合のシステム動作を制御します。通常は、配下の 1 台以上のストレージデバイスへの接続が失われた場合や、プール内のすべてのデバイスに障害が発生した場合に、このような状況になります。このようなイベントの動作は、次の値のいずれかによって決定されます。
  • wait – デバイスへの接続を復元し、zpool clear コマンドでエラーをクリアーするまで、プールに対するすべての入出力要求をブロックします。この状態では、プールに対する入出力操作はブロックされますが、読み取り操作は成功する場合があります。デバイスの問題が解決されるまで、プールの状態は wait のままです。

  • continue – 新しい書き込み入出力要求には EIO エラーを返しますが、正常な残りのデバイスに対する読み取りは許可します。まだディスクにコミットされていない書き込み要求はブロックされます。デバイスを再接続するか交換したあと、zpool clear コマンドでエラーを解決する必要があります。

  • panic – コンソールにメッセージを出力し、システムクラッシュダンプを生成します。

free
文字列
N/A
割り当てられていないプール内のブロック数を識別する読み取り専用の値。
guid
文字列
N/A
プールの一意識別子を識別する読み取り専用のプロパティー。
health
文字列
N/A
ONLINE、DEGRADED、SUSPENDED、REMOVED、または UNAVAIL としてプールの現在の健全性を識別する読み取り専用のプロパティー。
listshares
文字列
off
このプール内の共有情報が zfs list コマンドで表示されるかどうかを制御します。デフォルト値は off です。
listsnapshots
文字列
off
このプールと関連付けられているスナップショット情報が zfs list コマンドで表示されるかどうかを制御します。このプロパティーが無効になっている場合、スナップショット情報は、zfs list –t snapshot コマンドを使用して表示できます。
readonly
ブール型
off
プールを変更できるかどうかを指定します。このプロパティーは、読み取り専用モードでプールがインポートされた場合にのみ有効になります。有効になっている場合、プールを読み取り/書き込みモードで再インポートするまで、インテントログにのみ存在する同期データにはアクセスできなくなります。
size
数値
N/A
ストレージプールの合計サイズを識別する読み取り専用のプロパティー。
version
数値
N/A
プールの現在のディスク上のバージョンを識別します。プールを更新する方法としては zpool upgrade コマンドをお勧めしますが、下位互換性のために特定のバージョンが必要な場合には、このプロパティーを使用できます。このプロパティーには、1 から zpool upgrade –v コマンドによって報告される現在のバージョンまでの任意の数値を設定できます。