Oracle® Solaris 11.2 での ZFS ファイルシステムの管理

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更新: 2014 年 12 月
 
 

ZFS ファイルシステムに予約を設定する

ZFS の「予約」とは、データセットが使用できることを保証された、プールから割り当てられたディスク領域のことです。つまり、プールで現在使用できないディスク容量をデータセットのディスク容量として予約することはできません。未処理の使用されていない予約の合計容量が、プールで消費されていないディスク容量を超えることはできません。ZFS の予約は、zfs set および zfs get コマンドを使用して設定および表示できます。例:

# zfs set reservation=5G tank/home/bill
# zfs get reservation tank/home/bill
NAME            PROPERTY     VALUE   SOURCE
tank/home/bill  reservation  5G      local

予約を設定すると、zfs list コマンドの出力が変化する可能性があります。例:

# zfs list -r tank/home
NAME                USED  AVAIL  REFER  MOUNTPOINT
tank/home          5.00G  61.9G    37K  /tank/home
tank/home/bill       31K  66.9G    31K  /tank/home/bill
tank/home/jeff      337K  10.0G   306K  /tank/home/jeff
tank/home/lori      547K  61.9G   547K  /tank/home/lori
tank/home/mark       31K  61.9G    31K  /tank/home/mark

tank/home は 5G バイトのディスク容量を使用していますが、tank/home とそのすべての子孫が参照しているディスク容量の合計は 5G バイト未満です。使用される容量には、tank/home/bill に予約されている容量が反映されます。予約は、親データセットが使用しているディスク容量の計算時に計上されるので、親ファイルシステムの割り当て制限または予約、あるいはその両方を減らすことになります。

# zfs set quota=5G pool/filesystem
# zfs set reservation=10G pool/filesystem/user1
cannot set reservation for 'pool/filesystem/user1': size is greater than
available space

データセットは、予約より多くのディスク容量を使用できます。ただし、プールの中で予約されていない領域があり、データセットが現在使用している容量が割り当て制限に達していないことが条件です。データセットは、別のデータセットに予約されているディスク容量を使用することはできません。

予約は加算されません。つまり、zfs set をもう一度呼び出して予約を設定しても、既存の予約に新しい予約が追加されることはありません。代わりに、既存の予約が 2 番目の予約で置き換えられます。例:

# zfs set reservation=10G tank/home/bill
# zfs set reservation=5G tank/home/bill
# zfs get reservation tank/home/bill
NAME            PROPERTY     VALUE   SOURCE
tank/home/bill  reservation  5G      local

refreservation 予約を設定すると、スナップショットとクローンで消費されるディスク容量は含めずに、データセットのディスク容量を保証することができます。この予約は、親データセットの使用済み容量の計算時に計上されるので、親データセットの割り当て制限と予約を減らすことになります。例:

# zfs set refreservation=10g profs/prof1
# zfs list
NAME                      USED  AVAIL  REFER  MOUNTPOINT
profs                    10.0G  23.2G    19K  /profs
profs/prof1                10G  33.2G    18K  /profs/prof1

同じデータセットに予約を設定して、データセットの容量とスナップショットの容量を確保することもできます。例:

# zfs set reservation=20g profs/prof1
# zfs list
NAME                      USED  AVAIL  REFER  MOUNTPOINT
profs                    20.0G  13.2G    19K  /profs
profs/prof1                10G  33.2G    18K  /profs/prof1

通常の予約は、親の使用済み容量の計算時に計上されます。

上の例では、2 つの割り当て制限 (10G バイトと 20G バイト) の小さいほうが、zfs list 出力に表示されています。両方の割り当て制限を表示するには、zfs get コマンドを使用します。例:

# zfs get reservation,refreserv profs/prof1
NAME         PROPERTY        VALUE        SOURCE
profs/prof1  reservation     20G          local
profs/prof1  refreservation  10G          local

refreservation を設定すると、スナップショットを作成できるのは、データセットの referenced の現在のバイト数を格納できるだけの未予約プール領域が、この予約容量のほかに存在する場合だけになります。