Oracle® VM Server for SPARC 3.3 管理ガイド

印刷ビューの終了

更新: 2015 年 10 月
 
 

ハイパーバイザと Logical Domains

このセクションでは、論理ドメインをサポートしているSPARCハイパーバイザの概要を説明します。

SPARC ハイパーバイザは、小さなファームウェア層で、オペレーティングシステムを記述できる安定した仮想化マシンアーキテクチャーを提供します。ハイパーバイザを使用する SPARC サーバーでは、論理オペレーティングシステムの動作をハイパーバイザが制御できるようにするためのハードウェア機能が用意されています。

論理ドメインは、リソースの個別の論理グループで構成される仮想マシンです。論理ドメインは、単一のコンピュータシステム内で独自のオペレーティングシステムおよび ID を持っています。各論理ドメインは、サーバーの電源の再投入を実行する必要なしに、作成、削除、再構成、およびリブートを単独で行うことができます。異なる論理ドメインでさまざまなアプリケーションソフトウェアを実行できます。また、パフォーマンスおよび安全性の目的から、これらを独立した状態にしておくことができます。

    各論理ドメインは、ハイパーバイザがそのドメインに対して利用可能にしたサーバーリソースに対してのみ、監視および対話が許可されています。Logical Domains Manager により、制御ドメイン経由でハイパーバイザが行う動作を指定できます。つまり、ハイパーバイザは、サーバーのリソースをパーティションに分割し、限定的なサブセットを複数のオペレーティングシステム環境に提供します。このパーティションの分割と提供は、論理ドメインを作成する場合の基本的なメカニズムです。次の図に、2 つの論理ドメインをサポートするハイパーバイザを示します。また、Oracle VM Server for SPARC の機能を構成する次の層についても示します。

  • ユーザー/サービス (アプリケーション)

  • カーネル (オペレーティングシステム)

  • ファームウェア (ハイパーバイザ)

  • ハードウェア (CPU、メモリー、I/O など)

図 1-1  2 つのドメインをサポートするハイパーバイザ

image:この図は、Oracle VM Server for SPARC 機能を構成する層を示しています。

特定の SPARC ハイパーバイザがサポートする各論理ドメインの数と機能は、サーバーによって異なります。ハイパーバイザは、サーバー全体の CPU、メモリー、および I/O リソースのサブセットを特定の論理ドメインに割り当てることができます。この機能により、それぞれが独自の論理ドメイン内にある複数のオペレーティングシステムを同時にサポートすることができます。リソースは、任意に細分化して個々の論路ドメイン間で再配置できます。たとえば、CPU は CPU スレッド単位で論理ドメインに割り当てることができます。

    各論理ドメインは、次のような独自のリソースを使用して、完全に独立したマシンとして管理できます。

  • カーネル、パッチ、およびチューニングパラメータ

  • ユーザーアカウントおよび管理者

  • ディスク

  • ネットワークインタフェース、MAC アドレス、および IP アドレス

各論理ドメインは、サーバーの電源再投入を実行しなくても、互いに独立して停止、起動、およびリブートできます。

ハイパーバイザソフトウェアは、論理ドメイン間の分離を維持する役割を果たします。ハイパーバイザソフトウェアは、論理ドメインが相互に通信できるように論理ドメインチャネル (LDC) も提供します。LDC を使用することで、ドメインはネットワークサービスやディスクサービスなどのサービスを相互に提供できます。

サービスプロセッサ (SP) はシステムコントローラ (SC) とも呼ばれ、 物理マシンのモニタリングと実行を行いますが、論理ドメインの管理は行いません。Logical Domains Manager が、論理ドメインの管理を行います

Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアの管理には、ldm コマンドに加えて、Oracle VM Manager も使用できるようになりました。

Oracle VM Manager は、Oracle VM 環境を管理する際に使用可能な Web ベースのユーザーインタフェースです。このユーザーインタフェースの以前のバージョンでは Oracle VM Server x86 ソフトウェアしか管理されませんでしたが、Oracle VM Manager 3.2 および Oracle VM Server for SPARC 3.0 以降のバージョンでは、Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアも管理できます。Oracle VM Manager の詳細は、Oracle VM Documentation を参照してください。