Oracle® VM Server for SPARC 3.3 管理ガイド

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更新: 2015 年 10 月
 
 

Oracle VM Server for SPARC 環境でのボリュームマネージャーの使用

このセクションでは、Oracle VM Server for SPARC 環境でのボリュームマネージャーの使用法について説明します。

ボリュームマネージャーによる仮想ディスクの使用

ZFS、Solaris Volume Manager、または Veritas Volume Manager (VxVM) ボリュームは、サービスドメインからゲストドメインに仮想ディスクとしてエクスポートできます。ボリュームは、1 つのスライスディスク (slice オプションが ldm add-vdsdev コマンドで指定されている場合) またはフルディスクのいずれかとしてエクスポートできます。


注 - このセクションの残りの部分では、例として Solaris Volume Manager ボリュームを使用します。ただし、説明は ZFS および VxVM ボリュームにも適用されます。

次の例は、ボリュームを 1 つのスライスディスクとしてエクスポートする方法を示しています。

ゲストドメインの仮想ディスク (たとえば /dev/dsk/c0d2s0) は関連付けられたボリューム (たとえば /dev/md/dsk/d0) に直接割り当てられ、ゲストドメインからの仮想ディスクに格納されたデータは、メタデータを追加せずに関連付けられたボリュームに直接格納されます。そのためゲストドメインからの仮想ディスクに格納されたデータは、関連付けられたボリュームを介してサービスドメインから直接アクセスすることもできます。

  • Solaris Volume Manager ボリューム d0primary ドメインから domain1 にエクスポートされる場合、domain1 の構成にはいくつかの追加の手順が必要になります。

    primary# metainit d0 3 1 c2t70d0s6 1 c2t80d0s6 1 c2t90d0s6
    primary# ldm add-vdsdev options=slice /dev/md/dsk/d0 vol3@primary-vds0
    primary# ldm add-vdisk vdisk3 vol3@primary-vds0 domain1
  • domain1 がバインドされて起動されると、エクスポートされたボリュームが /dev/dsk/c0d2s0 のように表示され、そのボリュームが使用可能になります。

    domain1# newfs /dev/rdsk/c0d2s0
    domain1# mount /dev/dsk/c0d2s0 /mnt
    domain1# echo test-domain1 > /mnt/file
  • domain1 が停止してバインドが解除されると、domain1 から仮想ディスクに格納されたデータは、Solaris Volume Manager ボリューム d0 を介して primary ドメインから直接アクセスできます。

    primary# mount /dev/md/dsk/d0 /mnt
    primary# cat /mnt/file
    test-domain1

Solaris ボリュームマネージャーによる仮想ディスクの使用

RAID またはミラー Solaris Volume Manager ボリュームが別のドメインで仮想ディスクとして使用される場合は、排他 (excl) オプションを設定せずにエクスポートする必要があります。このようにしないと、Solaris Volume Manager ボリュームのいずれかのコンポーネントで障害が発生したときに、metareplace コマンドまたはホットスペアを使用した Solaris Volume Manager ボリュームの復旧が開始されません。metastat コマンドはそのボリュームを再同期化中と判断しますが、再同期化は進行していません。

たとえば、/dev/md/dsk/d0excl オプションを使用して別のドメインに仮想ディスクとしてエクスポートされた RAID Solaris Volume Manager ボリュームであり、d0 にはいくつかのホットスペアデバイスが構成されているとします。d0 のコンポーネントに障害が発生すると、Solaris Volume Manager は障害の発生したコンポーネントをホットスペアに交換して、Solaris Volume Manager ボリュームとの再同期化を行います。ただし、再同期化は開始されません。ボリュームは再同期化中として報告されますが、再同期化は進行していません。

primary# metastat d0
d0: RAID
    State: Resyncing
    Hot spare pool: hsp000
    Interlace: 32 blocks
    Size: 20097600 blocks (9.6 GB)
Original device:
    Size: 20100992 blocks (9.6 GB)
Device                                     Start Block  Dbase   State Reloc
c2t2d0s1                                           330  No       Okay  Yes
c4t12d0s1                                          330  No       Okay  Yes
/dev/dsk/c10t600C0FF0000000000015153295A4B100d0s1  330  No  Resyncing  Yes

このような状況で再同期化を完了するには、Solaris Volume Manager ボリュームを仮想ディスクとして使用しているドメインを停止して、バインドを解除する必要があります。そのあと、metasync コマンドを使用して、Solaris Volume Manager ボリュームを再同期化できます。

# metasync d0

VxVM のインストール時の仮想ディスクの使用

システムに VxVM がインストールされていて、仮想ディスクとしてエクスポートする物理ディスクまたはパーティションで Veritas Dynamic Multipathing (DMP) が有効な場合は、excl オプション (デフォルトではない) を設定せずにそのディスクまたはパーティションをエクスポートする必要があります。そうしない場合、このようなディスクを使用するドメインをバインドする間に /var/adm/messages にエラーが出力されます。

vd_setup_vd():  ldi_open_by_name(/dev/dsk/c4t12d0s2) = errno 16
vds_add_vd():  Failed to add vdisk ID 0

vxdisk list 出力のマルチパス化情報を調べると、Veritas DMP が有効であるかどうかを確認できます。たとえば、次のように表示されます。

# vxdisk list Disk_3
Device:    Disk_3
devicetag: Disk_3
type:      auto
info:      format=none
flags:     online ready private autoconfig invalid
pubpaths:  block=/dev/vx/dmp/Disk_3s2 char=/dev/vx/rdmp/Disk_3s2
guid:      -
udid:      SEAGATE%5FST336753LSUN36G%5FDISKS%5F3032333948303144304E0000
site:      -
Multipathing information:
numpaths:  1
c4t12d0s2  state=enabled

また、excl オプションを設定して仮想ディスクとしてエクスポートするディスクまたはスライスで Veritas DMP が有効になっている場合は、vxdmpadm コマンドを使用して DMP を無効にすることもできます。たとえば、次のように表示されます。

# vxdmpadm -f disable path=/dev/dsk/c4t12d0s2

仮想ディスクでのボリュームマネージャーの使用

このセクションでは、仮想ディスクでのボリュームマネージャーの使用法について説明します。

仮想ディスクと ZFS の使用

仮想ディスクは ZFS とともに使用できます。ZFS ストレージプール (zpool) は、この zpool の一部であるすべてのストレージデバイスを認識する任意のドメインにインポートできます。ドメインが、これらのすべてのデバイスを仮想デバイスまたは実デバイスのどちらで認識するかは関係ありません。

仮想ディスクでの Solaris ボリュームマネージャーの使用

Solaris Volume Manager ローカルディスクセットでは、すべての仮想ディスクを使用できます。たとえば、仮想ディスクは、ローカルディスクセットの Solaris Volume Manager メタデバイス状態データベース metadb の格納、またはローカルディスクセットでの Solaris Volume Manager ボリュームの作成に使用できます。

バックエンドが SCSI ディスクである仮想ディスクは、Solaris Volume Manager 共有ディスクセット metaset で使用できます。バックエンドが SCSI ディスクでない仮想ディスクは、Solaris Volume Manager 共有ディスクセットに追加できません。バックエンドが SCSI ディスクでない仮想ディスクを Solaris Volume Manager 共有ディスクセットに追加しようとすると、次のようなエラーが表示されて失敗します。

# metaset -s test -a c2d2
metaset: domain1: test: failed to reserve any drives

仮想ディスクでの VxVM の使用

ゲストドメインでの VxVM サポートについては、Symantec 社の VxVM ドキュメントを参照してください。