仮想ネットワークデバイスとは、仮想スイッチに接続されたドメイン内で定義されている仮想デバイスのことです。仮想ネットワークデバイスは、仮想ネットワークドライバによって管理され、論理ドメインチャネル (LDC) を使用するハイパーバイザを介して仮想ネットワークに接続されます。
仮想ネットワークデバイスは、vnetn という名前のネットワークインタフェースとして使用でき、通常のネットワークインタフェースと同様に使用して、Oracle Solaris 10 ifconfig コマンドまたは Oracle Solaris 11 ipadm コマンドで構成できます。
仮想ネットワークデバイスのドメインへの追加、既存の仮想ネットワークデバイスへのオプション設定、仮想ネットワークデバイスの削除には、それぞれ ldm add-vnet コマンド、ldm set-vnet コマンド、および ldm rm-vnet コマンドを使用できます。ldm(1M) マニュアルページを参照してください。
Figure 12–2 とFigure 12–1 にある、それぞれ Oracle Solaris 10 と Oracle Solaris 11 での Oracle VM Server for SPARC のネットワークに関する情報を参照してください。
デフォルトで、Logical Domains Manager は、次の方法で LDC チャネルを割り当てます。
LDC チャネルは、仮想ネットワークデバイスと仮想スイッチデバイス間に割り当てられます。
LCD チャネルは、同じ仮想スイッチデバイス (inter-vnet) に接続される仮想ネットワークデバイスの組み合わせごとに割り当てられます。
inter-vnet LDC チャネルは、ゲスト間に高度な通信パフォーマンスを確立するために、仮想ネットワークデバイスが直接通信するように構成されます。ただし、仮想スイッチデバイス内の仮想ネットワークデバイスの数が増えるにつれて、vnet 間通信に必要な LDC チャネルの数は 2 次関数的に増加します。
指定の仮想スイッチデバイスに接続されたすべての仮想ネットワークデバイスに対して、inter-vnet LDC チャネルの割り当てを有効または無効にすることを選択できます。この割り当てを無効にすると、数が限られている LDC チャネルの消費量を削減できます。
この割り当てを無効にすることは、次のような状況で役立ちます。
ゲスト間の通信パフォーマンスが最優先の重要事項ではない
1 台の仮想スイッチデバイスに多数の仮想ネットワークデバイスが必要である
inter-vnet チャネルを割り当てないことで、仮想 I/O デバイスをゲストドメインに追加するために、より多くの LDC チャネルが利用可能になります。
ldm add-vsw および ldm set-vsw コマンドを使用すると、inter-vnet-link プロパティーに on または off の値を指定できます。
次の図は、3 つの仮想ネットワークデバイスを保有する一般的な仮想スイッチを表します。inter-vnet-link プロパティーが on に設定されていると、inter-vnet LDC チャネルが割り当てられていることを意味します。vnet1 および vnet2 間でのゲスト間通信は、仮想スイッチを経由せずに直接実行されます。
図 12-3 Inter-Vnet チャネルを使用する仮想スイッチの構成
次の図では、同じ仮想スイッチ構成の inter-vnet-link プロパティーが off に設定されています。Inter - vnet LDC チャネルは割り当てられていません。inter-vnet-link プロパティーが on に設定された場合よりも少ない LDC チャネルが使用されます。 この構成では、vnet1 および vnet2 間のゲスト間通信は vsw1 を経由する必要があります。
図 12-4 Inter-Vnet チャネルを使用しない仮想スイッチの構成