Oracle® VM Server for SPARC 3.3 管理ガイド

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更新: 2015 年 10 月
 
 

仮想 SCSI HBA の管理

このセクションに示されているコマンドの詳細は、ldm(1M) のマニュアルページを参照してください。

物理 SCSI HBA に関する情報の取得

仮想 SCSI HBA を構成する前に、サービスドメインに接続されている物理 SCSI HBA に関する情報を取得する必要があります。I/O ドメインでの HBA カードの構成の詳細は、Chapter 5, I/O ドメインの構成を参照してください。


注 - primary ドメイン内に少なくとも Oracle Solaris 11.3 OS がインストールされている場合は、サービスドメインを制御ドメインにできます。

ldm list-hba コマンドは、指定されたアクティブなドメインの物理 SCSI HBA イニシエータポートを一覧表示します。論理ドメインの SCSI HBA イニシエータポートを識別したら、ldm add-vsan コマンド行で特定のイニシエータポートを指定して仮想 SAN を作成できます。

ldm list-hba [-d] [-l] [-p] [-t] domain-name

次の例は、svcdom サービスドメインに接続されている SCSI HBA のイニシエータポートを示しています。–l オプションは、詳細情報を表示します。

primary# ldm list-hba -l svcdom
NAME                                                 VSAN
----                                                 ----
/SYS/MB/SASHBA0/HBA0/PORT1
[/pci@300/pci@1/pci@0/pci@2/scsi@0/iport@1]
/SYS/MB/SASHBA0/HBA0/PORT2
[/pci@300/pci@1/pci@0/pci@2/scsi@0/iport@2]
/SYS/MB/SASHBA0/HBA0/PORT4
[/pci@300/pci@1/pci@0/pci@2/scsi@0/iport@4]
/SYS/MB/SASHBA0/HBA0/PORT8
[/pci@300/pci@1/pci@0/pci@2/scsi@0/iport@8]
/SYS/MB/PCIE1/HBA0/PORT0,0
[/pci@300/pci@1/pci@0/pci@4/SUNW,emlxs@0/fp@0,0]
/SYS/MB/PCIE1/HBA0,1/PORT0,0
[/pci@300/pci@1/pci@0/pci@4/SUNW,emlxs@0,1/fp@0,0]

イニシエータポートに対して表示されると予測した LUN が ldm list-hba の出力に表示されていない場合は、参照されたイニシエータポートの参照されたサービスドメインでマルチパスが無効になっていることを確認してください。Managing SAN Devices and Multipathing in Oracle Solaris 11.3 を参照してください。

バインドされたサービスドメインに仮想 SAN を追加すると、ゲストドメインへの接続が確立されない場合があります。次の現象が現れることがあります。

  • 仮想 SCSI HBA からのディスクが format の出力に表示されない

  • 仮想 LUN からブートすると、LDC エラーが表示される

この問題を解決するには、/etc/driver/drv/vsan.conf ファイルに ddi-no-autodetach="yes" という行を追加してから、サービスドメインをリブートします。

仮想ストレージエリアネットワークの作成

物理 SCSI HBA のイニシエータポートを取得したあと、サービスドメイン上に仮想ストレージエリアネットワーク (SAN) を作成する必要があります。仮想 SAN は、指定された SCSI HBA イニシエータポートから到達可能なすべての SCSI デバイスを管理します。

ldm add-vsan [-q] iport-path vSAN-name domain-name

vSAN 名は、指定されたドメイン名ではなく、制御ドメインに対して一意です。このドメイン名は、SCSI HBA イニシエータポートが構成されているドメインを識別します。同じイニシエータポートパスを参照する複数の仮想 SAN を作成できます。

ldm add-vsan コマンドを使用して、イニシエータポートパスを 1 つまたは複数の仮想 SAN に構成できます。この構成により、制御ドメイン内の複数のサービスドメインが同じイニシエータポートパスを使用できるようになります。


注 - サービスドメイン上で Oracle Solaris 11.3 OS が実行されている場合、ldm add-vsan コマンドは、イニシエータポートパスが有効なデバイスパスであることを検証します。ldm add-vsan コマンドを実行したときに、指定されたサービスドメインがアクティブでない場合、そのサービスドメインでは指定されたイニシエータポートパスを検証できません。イニシエータポートパスが、サービスドメインの一部であるインストールされている物理 SCSI HBA イニシエータポートに対応していない場合は、そのサービスドメインがアクティブになったあとに、サービスドメインのシステムログに警告メッセージが書き込まれます。

この例では、svcdom サービスドメイン上の /SYS/MB/PCIE1/HBA0,1/PORT0,0 イニシエータポートを仮想 SAN に関連付けます。仮想 SAN の名前を選択できます。この例では、port0 が仮想 SAN の名前です。

primary# ldm add-vsan /SYS/MB/PCIE1/HBA0,1/PORT0,0 port0 svcdom
/SYS/MB/PCIE1/HBA0,1/PORT0,0 resolved to device:
/pci@300/pci@1/pci@0/pci@4/SUNW,emlxs@0,1/fp@0,0

仮想 SCSI ホストバスアダプタの作成

仮想 SAN が定義されたら、ldm add-vhba コマンドを使用して、ゲストドメイン内に仮想 SCSI HBA を作成できます。仮想 SCSI HBA は、I/O 要求を仮想 SAN 内の物理 SCSI デバイスに送信します。

ldm add-vhba [id=vHBA-ID] vHBA-name vSAN-name domain-name

この例では、port0 仮想 SAN と通信する gdom ゲストドメイン上に port0_vhba 仮想 SCSI HBA を作成します。

primary# ldm add-vhba port0_vhba port0 gdom

仮想 SCSI HBA の存在の確認

サービスドメインおよびゲストドメイン上に新しく作成された仮想 SCSI HBA と仮想 SAN デバイスの存在を確認するには、ldm list コマンドを使用します。

ldm list -o san,hba [domain-name ...]

この例では、仮想 SAN を含むサービスドメインが svcdom であり、仮想 SCSI HBA を含むゲストドメインが gdom です。gdom ドメインはまだバインドされていないため、この例では仮想 HBA の識別子が割り当てられていないことに注意してください。

primary# ldm list -o san,hba svcdom gdom
NAME
svcdom

VSAN
    NAME             TYPE   DEVICE IPORT
    port0            VSAN [/pci@300/pci@1/pci@0/pci@4/SUNW,emlxs@0,1/fp@0,0]

------------------------------------------------------------------------------
NAME
gdom

VHBA
    NAME             VSAN                        DEVICE TOUT SERVER
    port0_vhba       port0                              0    svcdom

仮想 SCSI HBA のタイムアウトオプションの設定

ldm set-vhba コマンドでは、指定された論理ドメイン上の仮想 SCSI HBA のタイムアウト値を指定できます。timeout プロパティーは、指定された仮想 SCSI HBA インスタンスが仮想 SAN との LDC 接続を確立できないことを宣言する前に待機する時間 (秒単位) を指定します。仮想 SCSI HBA のタイムアウトを参照してください。

のデフォルトのタイムアウト値 0 を指定すると、vhba は、仮想 SAN との LDC 接続を作成するために無期限に待機します。

ldm set-vhba [timeout=seconds] vHBA-name domain-name

この例では、gdom ゲストドメイン上の port0_vhba 仮想 SCSI HBA に対して 90 セクションのタイムアウトを設定します。

primary# ldm set-vhba timeout=90 port0_vhba gdom

仮想 SCSI ホストバスアダプタの削除

ldm remove-vhba コマンドを使用すると、指定されたゲストドメインから仮想 SCSI HBA を削除できます。

削除を試行する前に、その仮想 SCSI HBA が OS とアプリケーションのどちらからもアクティブに使用されていないことを確認してください。その仮想 SCSI HBA が使用中の場合、ldm remove-vhba コマンドは失敗します。

ldm remove-vhba vHBA-name domain-name

この例では、gdom ゲストドメインから port0_vhba 仮想 SCSI HBA を削除します。

primary# ldm remove-vhba port0_vhba gdom

仮想ストレージエリアネットワークの削除

ldm remove-vsan コマンドを使用すると、仮想 SAN を削除できます。

まず、その仮想 SAN に関連付けられた仮想 SCSI HBA を削除します。次に、ldm remove-vsan コマンドを使用して仮想 SAN を削除します。

ldm remove-vsan vSAN-name

この例では、port0 仮想 SAN を削除します。

primary# ldm remove-vsan port0

LUN の追加または削除

仮想 SCSI HBA から直接仮想 LUN を追加または削除することはできません。まず物理 LUN を追加または削除し、次に ldm rescan-vhba コマンドを実行して、仮想 SCSI HBA および仮想 SAN によって認識される一連の SCSI デバイスを同期する必要があります。物理 LUN を追加または削除するためのコマンドは、仮想 SAN に関連付けられたイニシエータポートのトポロジによって異なります。たとえば、イニシエータポートが物理 SAN と通信する場合は、SAN 管理コマンドを使用して SAN 要素に LUN を追加するか、または SAN 要素から LUN を削除する必要があります。

ldm rescan-vhba vHBA-name domain-name

たとえば、次のコマンドは、gdom ドメイン上の port0_vhba 仮想 SCSI HBA の SCSI デバイスを同期します。

primary# ldm rescan-vhba port0_vhba gdom