SPARC T5 サーバー、SPARC T7 シリーズサーバー、SPARC M5 サーバー、SPARC M6 サーバー、SPARC M7 シリーズサーバー、または Fujitsu M10 サーバーが電源投入時に障害のあるリソースや欠落しているリソースを検出した場合、Logical Domains Manager は、残りの使用可能なリソースを使用して構成済みドメインを回復しようとします。回復が実行されている間、システム (または SPARC M5、SPARC M6、および SPARC M7 シリーズサーバー上の物理ドメイン) は回復モードにあると呼ばれます。回復モードは、デフォルトで有効になっています。回復モードの制御を参照してください。
電源投入時に、次のような状況のために前回選択された電源投入構成がブートできない場合、システムファームウェアは factory-default 構成に戻されます。
構成で各 PCIe スイッチ内の I/O トポロジが前回選択された電源投入構成の I/O トポロジと一致しません
前回選択された電源投入構成の CPU リソースまたはメモリーリソースがシステムにすでに存在しません。
回復モードが有効になっている場合、Logical Domains Manager は、すべてのアクティブなドメインおよびバインドされたドメインを最後に選択された電源投入構成から回復します。その結果得られる実行中の構成は、縮退構成と呼ばれます。縮退構成は、SP に保存され、新しい SP 構成が保存されるか物理ドメインが電源再投入されるまで、アクティブな構成のままとなります。
物理ドメインが電源投入されると、システムファームウェアは最初に前回のオリジナルの電源投入構成をブートしようとします。つまり、見つからないハードウェアや障害のあるハードウェアがその間に交換された場合、システムはオリジナルの通常構成をブートできます。前回選択された電源投入構成がブート可能ではなく、関連する縮退構成が存在する場合、ファームウェアはその縮退構成をブートしようとします。縮退構成がブート可能ではないか存在しない場合、factory-default 構成がブートされ、復旧モードが呼び出されます。
復旧操作は、次の順序で行われます。
制御ドメイン。Logical Domains Manager は、制御ドメインを復旧するために、CPU、メモリー、I/O 構成、および I/O サービスを復元します。
復旧可能なすべてのドメインに必要となる CPU またはメモリーの量が使用可能な残りの量よりも大きい場合は、CPU またはコアの数がその他のドメインのサイズに比例して削減されます。たとえば、各ドメインに CPU とメモリーが 25% ずつ割り当てられた 4 ドメインシステムの場合、得られる縮退構成でも CPU とメモリーが各ドメインに 25% ずつ割り当てられます。primary ドメインにもともと最大で 2 つのコア (16 個の仮想 CPU) と 8G バイトのメモリーが搭載されていた場合、制御ドメインのサイズは縮小されません。
その他のドメインに割り当てられているルートコンプレックスおよび PCIe デバイスは、制御ドメインから削除されます。制御ドメインによって所有されているルートコンプレックス上の仮想機能は、再作成されます。制御ドメインに割り当てられていて見つからないルートコンプレックス、PCIe デバイス、物理機能、または仮想機能は、縮退としてマークされます。その後、Logical Domains Manager は制御ドメインをリブートして変更をアクティブにします。
ルートドメイン。制御ドメインがリブートしたら、Logical Domains Manager はルートドメインを復旧します。必要に応じて、CPU およびメモリーの量はその他の復旧可能なドメインに比例して削減されます。ルートコンプレックスは、システムに物理的に存在しなくなった場合に退避としてマークされます。復旧操作中、このルートコンプレックスはドメインに構成されません。ルートドメインは、ルートドメインに割り当てられているルートコンプレックスが少なくとも 1 つ使用可能であれば、復旧されます。使用可能なルートコンプレックスがない場合、ルートドメインは復旧されません。Logical Domains Manager は、ルートドメインをブートし、ルートドメインによって所有されている物理機能上に仮想機能を再作成します。また、ルートドメインによって貸し出されている PCIe スロットを削除します。見つからない PCIe スロット、物理機能、および仮想機能は、退避としてマークされます。ドメインによって提供される仮想 I/O サービスは、可能な場合は再作成されます。
I/O ドメイン。 Logical Domains Manager は I/O ドメインを復旧します。システムで見つからない PCIe スロットおよび仮想機能は、退避としてマークされます。必要な I/O デバイスがどれも存在しない場合、ドメインは復旧されず、そのドメインの CPU およびメモリーのリソースはその他のドメインが使用できます。ドメインによって提供される仮想 I/O サービスは、可能な場合は再作成されます。
ゲストドメイン。ゲストドメインは、そのドメインを提供するサービスドメインが少なくとも 1 つ復旧された場合のみ、復旧されます。ゲストドメインを復旧できない場合、その CPU およびメモリーのリソースはその他のゲストドメインが使用できます。
可能な場合、元の構成で指定された同量の CPU 数とメモリー量がドメインに割り当てられます。その CPU 数およびメモリー量が使用可能でない場合、それらのリソースは比例して削減され、残りの使用可能なリソースを消費します。
Logical Domains Manager は、バインドされたドメインおよびアクティブなドメインを復旧しようとします。バインドされていないドメインの既存のリソース構成は、そのままの状態で新しい構成にコピーされます。
復旧操作中に使用可能なリソースは、前にブートされた構成よりも少なくなることがあります。その結果、Logical Domains Manager が復旧できるのは、前に構成されたドメインのいくつかのみになることがあります。また、復旧されたドメインには、元の構成のすべてのリソースが含まれないことがあります。たとえば、バインドされたドメインを復旧すると、I/O リソースが前の構成よりも少なくなる可能性があります。ドメインの I/O デバイスが存在しなくなった場合や、親サービスドメインを復旧できなかった場合、そのドメインは復旧されない可能性があります。
復旧モードでは、その手順をLogical Domains Manager SMF ログ /var/svc/log/ldoms-ldmd:default.log に記録します。Logical Domains Manager が復旧を開始したとき、制御ドメインをリブートしたとき、復旧が完了したときに、メッセージがシステムコンソールに書き込まれます。
![]() | 注意 - 復旧されたドメインが完全に動作可能であることは保証されません。ドメインには、OS インスタンスやアプリケーションを実行するために不可欠なリソースが含まれないことがあります。たとえば、復旧されたドメインにはネットワークリソースのみがあり、ディスクリソースがない可能性があります。復旧されたドメインに、アプリケーションを実行するために必要なファイルシステムが見つからない可能性もあります。ドメインでマルチパス化された I/O を使用すると、I/O リソースが見つからない影響が軽減されます。 |
ハードウェア要件 – 回復モード機能は、SPARC T5 サーバー、SPARC T7 シリーズサーバー、SPARC M5 サーバー、SPARC M6 サーバー、SPARC M7 シリーズサーバー、および Fujitsu M10 サーバーでサポートされています。
ファームウェア要件 – SPARC T5 サーバー、SPARC M5 サーバー、および SPARC M6 サーバーでは、少なくともバージョン 9.1.0.a のシステムファームウェア。SPARC T7 シリーズサーバーおよび SPARC M7 シリーズサーバーでは、少なくともバージョン 9.4.3 のシステムファームウェア。Fujitsu M10 サーバーでは、少なくともバージョン XCP2230 のシステムファームウェア。
ソフトウェア要件 – PCIe スロットを貸し出す primary 以外のルートドメインは、少なくとも Oracle Solaris 10 1/13 OS または Oracle Solaris 11.2 OS を実行している必要があります。
物理ドメインごとに、SP に縮退構成を 1 つのみ保存することができます。縮退構成がすでに存在する場合、新しく作成される縮退構成と置換されます。
縮退構成を直接対話的操作することはできません。システムファームウェアは、必要に応じて、次の電源投入構成を縮退バージョンで透過的にブートします。このような透過性により、システムは見つからないリソースを再認識した電源再投入後に、元の構成をブートできます。アクティブな構成が縮退構成の場合は、ldm list-spconfig の出力で [degraded] とマークされます。
アクティブな構成が縮退構成の場合、自動保存機能は無効になります。縮退構成がアクティブなときに新しい構成を SP に保存すると、その新しい構成が通常の非縮退構成になります。
ldmd/recovery_mode SMF プロパティーは、復旧モードの動作を制御します。回復モードは、デフォルトで有効になっています。
ldmd/recovery_mode プロパティーが存在しないか、または auto に設定されている場合は、回復モードが有効になっています。
ldmd/recovery_mode プロパティーが never に設定されている場合、Logical Domains Manager は何もアクションを実行せずに回復モードを終了し、物理ドメインは出荷時のデフォルト構成を実行します。
primary# svccfg -s ldmd setprop ldmd/recovery_mode = astring: auto primary# svcadm refresh ldmd primary# svcadm restart ldmd
このシナリオでは、システムに対する変更がない場合のみ、つまりシステムが factory-default 構成のままである場合のみ、復旧モードがただちに開始されます。
回復モードを有効にすることに加えて、回復中のルートドメインのブートのタイムアウト値を指定できます。デフォルトでは、ldmd/recovery_mode_boot_timeout プロパティーの値は 30 分です。有効な値は 5 分以上です。