Oracle® VM Server for SPARC 3.3 管理ガイド

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更新: 2015 年 10 月
 
 

Oracle VM Server for SPARC P2V ツールの概要

    Oracle VM Server for SPARC Physical-to-Virtual (P2V) 変換ツールは、既存の物理システムを、チップマルチスレッディング (CMT) システム上の論理ドメインでOracle Solaris 10 OS を実行する仮想システムに自動的に変換します。Oracle Solaris 11 OS を実行している制御ドメインから ldmp2v コマンドを実行して、次のソースシステムのいずれかを論理ドメインに変換できます。

  • Solaris 8、Solaris 9、または Oracle Solaris 10 OS を実行している、任意の sun4u SPARC ベースのシステム

  • Oracle Solaris 10 OS を実行しているが、論理ドメインでは実行していない sun4v システム


注 - ldmp2v コマンドは、ZFS ルートがある Oracle Solaris 10 OS または Oracle Solaris 11 OS を実行する SPARC ベースのシステムをサポートしません。

    物理システムから仮想システムへの変換は、次のフェーズで実行されます。

  • 収集フェーズ。物理ソースシステムで実行します。収集フェーズでは、ソースシステムについて収集された構成情報に基づいて、ソースシステムのファイルシステムイメージが作成されます。

  • 準備フェーズ。ターゲットシステムの制御ドメイン上で実行されます。準備フェーズでは、収集フェーズで収集された構成情報に基づいて、ターゲットシステムに論理ドメインが作成されます。ファイルシステムイメージは、1 つ以上の仮想ディスクに復元されます。P2V ツールを使用して、プレーンファイルまたは ZFS ボリュームに仮想ディスクを作成できます。また、物理ディスクや LUN、または作成したボリュームマネージャーのボリュームに仮想ディスクを作成することもできます。このイメージは、論理ドメインとして動作できるように変更されます。

  • 変換フェーズ。ターゲットシステムの制御ドメイン上で実行されます。convert フェーズで、標準の Oracle Solaris アップグレードプロセスを使用することにより、作成された論理ドメインが、Oracle Solaris 10 OS を実行する論理ドメインに変換されます。

P2V ツールについては、ldmp2v(1M) のマニュアルページを参照してください。

次のセクションからは、物理システムから仮想システムへの変換が実行される方法について説明します。

収集フェーズ

収集フェーズは、変換対象のシステムで実行されます。一貫性のあるファイルシステムイメージを作成するには、システムの動作を最小限に抑えて、すべてのアプリケーションを停止する必要があります。論理ドメインに移動されるすべてのファイルシステムが確実にマウントされるようにするため、ldmp2v コマンドにより、すべてのマウント済み UFS ファイルシステムのバックアップが作成されます。移動する必要がないマウント済みファイルシステム (SAN ストレージ上のファイルシステムや、他の手段で移動するファイルシステムなど) は除外することができます。そのようなファイルシステムを除外するには、–x オプションを使用します。–x オプションにより除外されたファイルシステムは、ゲストドメイン上に再作成されません。–O オプションを使用して、ファイルとディレクトリを除外できます。

ソースシステムでの変更は不要です。唯一の条件は、制御ドメイン上に ldmp2v スクリプトがインストールされていることです。ソースシステムに flarcreate ユーティリティーが存在していることを確認してください。

準備フェーズ

準備フェーズでは、収集フェーズで収集されたデータを使用して、ソースシステムに相当する論理ドメインを作成します。

    次のいずれかの方法で ldmp2v prepare コマンドを使用できます。

  • 自動モード。このモードは自動的に仮想ディスクを作成し、ファイルシステムデータを復元します。

    • ソースシステム上にあるものと同じサイズで、論理ドメインと必要な仮想ディスクを作成します。

    • ディスクをパーティションに分割し、ファイルシステムを復元します。

      //usr、および /var ファイルシステムの合計サイズが 10 ギガバイト未満であれば、Oracle Solaris 10 OS の大容量ディスクに関する要件を満たすように、これらのファイルシステムのサイズが自動的に調整されます。–x no-auto-adjust-fs オプションを使用するか、–m オプションを使用してファイルシステムのサイズを手動で変更することで、自動サイズ変更を無効にできます。

    • 論理ドメインの OS イメージを変更して、物理ハードウェアへのすべての参照を、論理ドメインに適したバージョンに置き換えます。これにより、通常の Oracle Solaris アップグレードプロセスを使用して、システムを Oracle Solaris 10 OS にアップグレードできます。変更には、/etc/vfstab ファイルを更新して新しいディスク名を記述することが含まれます。Oracle Solaris Volume Manager または Veritas Volume Manager (VxVM) によりカプセル化されているすべてのブートディスクは、このプロセス中に自動的にカプセル化を解除されます。カプセル化が解除されたディスクは、プレーンディスクスライスに変換されます。VxVM がソースシステムにインストールされている場合、P2V プロセスにより、作成されたゲストドメイン上で VxVM が無効になります。

  • 非自動モード。手動で仮想ディスクを作成し、ファイルシステムデータを復元する必要があります。このモードでは、ディスクのサイズと数、パーティション分割、およびファイルシステムの配置を変更できます。このモードの準備フェーズでは、論理ドメインの作成と、OS イメージの変更手順のみをファイルシステム上で実行します。

  • クリーンアップモード。ldmp2v によって作成された論理ドメインとその下のすべてのバックエンドデバイスを削除します。

変換フェーズ

変換フェーズでは、論理ドメインは Oracle Solaris アップグレードプロセスを使用して Oracle Solaris 10 OS にアップグレードされます。アップグレード処理は、既存のすべてのパッケージを削除し、Oracle Solaris 10 sun4v パッケージをインストールします。これにより、sun4u から sun4v への変換は自動的に実行されます。convert フェーズでは、Oracle Solaris DVD ISO イメージ、またはネットワークインストールイメージを使用できます。Oracle Solaris 10 システムでは、Oracle Solaris JumpStart 機能を使用して、完全に自動化されたアップグレード処理を実行することもできます。