仮想ディスクのバックエンドをエクスポートする際には、さまざまなオプションを指定できます。これらのオプションは、ldm add-vdsdev コマンドの options= 引数にコンマ区切りのリストとして指定します。有効なオプションは、ro、slice、および excl です。
読み取り専用 (ro) オプションは、バックエンドが読み取り専用デバイスとしてエクスポートされることを指定します。その場合、ゲストドメインに割り当てられるこの仮想ディスクに対しては読み取り操作のアクセスのみが可能で、仮想ディスクへの書き込み操作は失敗します。
排他 (excl) オプションは、サービスドメインのバックエンドを仮想ディスクとして別のドメインにエクスポートするときに、仮想ディスクサーバーによって排他的に開かれる必要があることを指定します。バックエンドが排他的に開かれると、サービスドメインのほかのアプリケーションがこのバックエンドにアクセスすることはできません。この制限によって、サービスドメインで動作するアプリケーションが、ゲストドメインでも使用されているバックエンドを誤って使用することはなくなります。
excl オプションによって、サービスドメインで動作中のアプリケーションが、ゲストドメインにエクスポートされるバックエンドにアクセスできなくなるため、次の場合は excl オプションを設定しないでください。
ゲストドメインの動作中に、format または luxadm などのコマンドを使用して物理ディスクを管理できるようにする場合は、excl オプションを指定してこれらのディスクをエクスポートしないでください。
RAID またはミラー化ボリュームなどの Solaris Volume Manager ボリュームをエクスポートする場合は、excl オプションを設定しないでください。このようにしないと、RAID またはミラー化ボリュームのコンポーネントに障害が発生した場合に、Solaris Volume Manager で一部の復旧処理の開始が妨げられる可能性があります。詳細については、Solaris ボリュームマネージャーによる仮想ディスクの使用を参照してください。
Veritas Volume Manager (VxVM) がサービスドメインにインストールされていて、Veritas Dynamic Multipathing (VxDMP) が物理ディスクに対して有効な場合は、excl オプション (デフォルトではない) を指定せずに物理ディスクをエクスポートする必要があります。このようにしないと、仮想ディスクサーバー (vds) が物理ディスクデバイスを開くことができないため、エクスポートは失敗します。詳細は、VxVM のインストール時の仮想ディスクの使用 を参照してください。
同じ仮想ディスクバックエンドを同じ仮想ディスクサービスから複数回エクスポートする場合の詳細については、仮想ディスクバックエンドを複数回エクスポートする方法を参照してください。
デフォルトでは、バックエンドは排他的ではない状態で開かれます。このため、バックエンドが別のドメインにエクスポートされている間でも、サービスドメインで動作中のアプリケーションはこのバックエンドを使用できます。
通常、バックエンドは、その種類に応じてフルディスクまたは 1 つのスライスディスクのいずれかとしてエクスポートされます。slice オプションを指定すると、バックエンドは強制的に 1 つのスライスディスクとしてエクスポートされます。
このオプションは、バックエンドの raw コンテンツをエクスポートする場合に便利です。たとえば、データを格納済みの ZFS または Solaris Volume Manager ボリュームがある場合に、ゲストドメインでこのデータにアクセスするには、slice オプションを使用して ZFS または Solaris Volume Manager ボリュームをエクスポートする必要があります。
このオプションの詳細については、仮想ディスクバックエンドを参照してください。