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マニュアルページ セクション 8: システム管理コマンド

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更新: 2018年8月8日
 
 

svc.zones(8)

名前

svc.zones - zones(7) 用の Solaris サービス管理機能の委任リスタータ

形式

/lib/svc/method/svc.zones
svc:/system/zones:default

説明

svc.zones は、zones(7) 用のサービス管理機能 (SMF) の委任リスタータです。各ゾーンは、ゾーンサービスのインスタンスによって表されます。

svc:/system/zones/zone

インスタンス名はゾーン名と一致します。

ゾーンの委任リスタータでは、zones(7) が機能するようにそのインフラストラクチャーを設定します。ゾーンのインフラストラクチャーの設定中に発生したエラーやアクティビティーは次に記録されます。

/var/log/zones/<zonename>.messages

特定のゾーンのインフラストラクチャーの設定中にエラーが発生すると、そのゾーンは保守状態になります。ゾーンの委任リスタータでは、インフラストラクチャーの設定に失敗したために保守状態にあるゾーンに対して svcadm(8) clear が実行されると、インフラストラクチャーの設定を再試行します。

ゾーンの委任リスタータでは、各ゾーンの autoboot プロパティーの設定に従って、起動時にゾーンの自動ブートを実行します。詳細は、zones(7) および zonecfg(8) のマニュアルページを参照してください。同様に、ゾーンの委任リスタータサービスでは、大域ゾーンの正常なシャットダウン時に、各ゾーンの autoshutdown プロパティーに応じてゾーンをシャットダウン、停止、または一時停止します。詳細は、zonecfg(8) のマニュアルページを参照してください。

ゾーンの自動ブートおよびシャットダウンは並行して実行され、同時に実行される操作の数を制限できます。詳細は、下記の「ゾーンの委任リスタータのプロパティー」を参照してください。

ゾーンの SMF 依存関係

ゾーンの依存関係を構成する一連の SMF FMRI は、新しい zonecfg(8) リソース依存関係によって定義されます。これは、グループプロパティーと FMRI プロパティーで構成されます。ゾーンの SMF 依存関係はすべて service タイプであり、restart_on 属性が none になっています。

次の zonecfg(8) コマンドでは、SMF 依存関係が作成されます。

  add smf-dependency
      set name=firewall
      set fmri=svc:/system/zones/zone:appfirewall
      set grouping=require_any
      end
  add smf-dependency
      set name=firewall
      set fmri=svc:/3rdparty/my-firewall:default
      end
  add smf-dependency
      set fmri=svc:/system/zones/zone:dataload
      set grouping=exclude_all
      end 

グループのデフォルトは require_all であるため、明示的に設定する必要はありません。FMRI の値は、libscf(3LIB) SCF_TYPE_FMRI に基づいて検証されます。

ゾーンのブート順序

ゾーンのブート順序を設定する方法は 2 つあります。

  1. ゾーンの SMF インスタンスの SMF 依存関係を決定する方法。

  2. 各ゾーンのブート優先度を割り当てる方法。

ゾーンの SMF 依存関係が満たされると、ゾーンはその優先度に従ってキューに入れられます。ゾーンのブート優先度を割り当てるには、zonecfg boot-priority プロパティーを使用します。boot-priority プロパティーの詳細は、zonecfg(8) のマニュアルページを参照してください。ゾーンのリスタータでは、キューに入っているゾーンをブート優先度の高い方から順にブートします。

set boot-priority={ high | default | low }

ゾーンの委任リスタータのプロパティー

config/track-zone-goals

このブール型プロパティーは、ゾーンの SMF インスタンスをオンライン状態にするタイミングをゾーンのリスタータに通知します。false に設定した場合、ゾーンのリスタータはゾーンがブートし始めてすぐに、ゾーンの SMF インスタンスをオンライン状態にします。true に設定した場合は、「サービスの状態」セクションに記載されているオンライン状態の説明に従って、ゾーンの SMF インスタンスのオンライン状態が判定されます。このプロパティーのデフォルト値は true です。

config/concurrent-boot-shutdown

ゾーンで同時に実行されるブートまたはシャットダウンの最大数。

config/concurrent-suspend-resume

ゾーンで同時に実行される suspend または resume 操作の最大数。

options/logging

ゾーンのリスタータで実行されるロギングのレベル。

有効な値:

quiet

最低限のロギングが実行され、エラーのみが報告されます。

verbose

詳細なロギングが実行されます。

debug

デバッグロギングが実行されます。

次の例に、上記のプロパティーの 1 つを設定する方法を示します。

# svccfg -s svc:/system/zones:default setprop \
  config/concurrent-boot-shutdown = 10
# svcadm refresh svc:/system/zones:default

ゾーンのリスタータでは、このプロパティーに値が設定されていない場合、またはこのプロパティーが指定されていない場合、同時に実行される操作の数に制限はありません。

ゾーンの SMF インスタンスがオンライン状態または保守状態に達すると、非大域ゾーンのブートプロセスは完了とみなされます。ゾーンの SMF 状態のセマンティクスに関する詳細は、下記の「サービスの状態」セクションを参照してください。

ゾーンコマンドとゾーンの委任リスタータとの対話

zoneadm(8) コマンドを使用すると、ゾーンの委任リスタータおよび SMF グラフエンジンをオーバーライドできます。

ゾーンの SMF 依存関係が満たされていない場合でも、管理者はゾーンをブートできます。この場合、ゾーンの SMF インスタンスは、下記の「サービスの状態」セクションに説明されているセマンティクスに従ってオンライン状態または保守状態になります。ゾーンのすべての SMF 依存関係では restart_on 属性が none に設定されているため、そのゾーンの SMF 依存関係がブート前に満たされないと、グラフエンジンは停止イベントをゾーンの SMF インスタンスに送信しません。

ゾーンがブート不可状態のために保守状態になっているゾーンの SMF インスタンスを無効にしても、SMF の保守状態はクリアされません。ゾーンの SMF インスタンスを無効にすると、管理アクションがないと満たすことのできないゾーンの milestone/goals 依存関係によって生じた保守状態のみがクリアされます。この場合、ゾーンの SMF インスタンスを無効すると、ゾーンがシャットダウンします。

ゾーンのブート優先度および同時実行のしきい値は、SMF グラフエンジンのイベントによって生じる操作にのみ適用されます。管理コマンドは、ブート優先度や同時実行のしきい値の影響を受けません。このため、ゾーンに低い優先度が割り当てられている場合、管理者は高い優先度のゾーンがブートされるまで待たなくても手動でそのゾーンをブートできます。

サービスの状態

svc.zones では、サービス管理業務の一環として、管理対象ゾーンの SMF インスタンスごとに状態マシンを実装します。このマシンの状態は、smf(7) の状態セットから成ります。これらの状態のセマンティクスは次のとおりです。

uninitialized

svc.zones はこのインスタンスをまだ処理していません。

online

ゾーンが実行中であり、milestone/goals に達しました。milestone/goals をサポートしていないゾーンでは、ゾーンがブートし始めるとすぐにオンライン状態に達します。milestone/goals の詳細は、smf(7) のマニュアルページを参照してください。

degraded

ゾーンの SMF インスタンスはオンライン状態に達しましたが、zoneadmd(8) は何度も失敗し、実行されていません。

offline

ゾーンの SMF インスタンスは有効ですが、その SMF 依存関係は満たされていません。

disabled

ゾーンは停止され、ゾーンの委任リスタータによってブートされません。

maintenance

次の理由で、ゾーンの SMF インスタンスはこの状態になっている可能性があります。

  • ブートの試行に失敗しました

  • ゾーンがブート不可の状態です

  • 管理アクションなしでゾーンの milestone/goals 依存関係を満たすことができません。

保守状態の原因を調べるには、svcs -vx コマンドの出力を使用するようにしてください。保守状態にあるゾーンの SMF インスタンスでは、無効になっているイベントの保守状態はクリアされません。

属性

属性についての詳細は、マニュアルページの attributes(7) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
system/zones
インタフェースの安定性
確実

関連項目

svcs(1), libscf(3LIB), attributes(7), smf(7), solaris-kz(7), zones(7), init(8), svcadm(8), zoneadm(8), zoneadmd(8), zonecfg(8)