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マニュアルページ セクション 8: システム管理コマンド

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更新: 2018年8月8日
 
 

tcpstat(8)

名前

tcpstat - TCP および UDP トラフィックに関する統計情報の報告

形式

tcpstat [-cegkLmnrt] [-a 
address[,address...]] [-A 
address[,address...]]
	    [-d d|u] [-E all|event[,event...]] [-i interface[,interface...]]
[-i pid[,pid]] [-l nlines]
	    [-p port[,port...]] [-P port[
,port...]] [-s key | -S key] 
	[-T protocol[,protocol...]]
	    [-u R|K|M|G|T|P] [-x opt[
=val][,opt[=val]...]]
	    [-z zonename[,zonename...
]] [interval [count]]

説明

tcpstat ユーティリティーは、TCP および UDP トラフィック、エラーイベント、および MIB イベントに関する統計情報を収集し、選択された出力モードとソート順序に基づいて報告します。tcpstat には、指定した発信元または宛先のアドレス、インタフェース、プロセス ID、発信元または宛先のポート、およびゾーン名に関する統計情報のみを収集して報告するためのオプションが用意されています。

オプション

サポートしているオプションは、次のとおりです。

–a address[,address...]

発信元アドレスをフィルタ処理します。

–A address[,address...]

宛先アドレスをフィルタ処理します。

–c

前のレポートに重ねて出力するのではなく、前のレポートの下に新しいレポートを出力します。

–d d|u

各レポートのタイムスタンプを標準日付形式 (-d d) または epoch からの秒数 (つまり、UNIX 時間 (-d u)) で出力します。

–e

パケットエラーイベントを表示します。

–E all|event[,event...]

TCP および UDP MIB イベントまたはこれらのすべてのイベントのコンマ区切りのリストを表示します。イベント名では大文字と小文字は区別されません。使用可能なイベントの完全なセットについては、tcpstat -L コマンドを実行してください。

–g

トラフィックフロー別にグループ化します。

–i pid[,pid...]

PID でフィルタ処理します。

–k

統計情報をパケット数で表示します。

–l nlines

レポートごとに出力するデータの行数。

–L

使用可能なすべてのプロトコルイベントを一覧表示します。

–m

マシン解析可能な出力を生成します。

–n

ネットワークアドレスを数値で表示します。IP アドレスをホスト名に解決しません。

–p port[,port...]

発信元ポート名でフィルタ処理します。

–P

宛先ポート名でフィルタ処理します。

–r

受信されているパケットのデータのみを表示します。

–s key | –S key

キーの昇順 (–S) または降順 (–s) でソートします。キーは次のとおりです。

  • zone - ゾーン名

  • pid - プロセス ID

  • proto - トランスポート層プロトコル

  • source - 送信元 IP アドレス

  • sport - 発信元ポート

  • dest - 宛先 IP アドレス

  • dport - 宛先ポート

  • bytes - データ量

デフォルトでは、プロトコルトラフィックのデータはバイト数で降順にソートされます。プロトコルイベントまたはエラーイベントのデータは、フロータプル別に降順でグループ化されます。

–t

送信されているパケットのデータのみを表示します。

–u R|K|M|G|T|P

使用した場合、すべての統計情報の表示単位を選択できます (たとえば、R: 生カウント、K: キロビット、M: メガビット、T: テラビット、P: ペタビット)。使用しない場合、必要に応じて異なる単位が使用され、xy.zU 形式で統計情報が表示されます (x、y、および z は数値、U は該当する単位です)。

–T protocol[ ,protocol...]

表示するトランスポート層プロトコルを指定します。指定できるオプションは、tcp または udp です。デフォルトでは、サポートされているすべてのトランスポート層プロトコルのデータが表示されます。

–x opt=val[,opt=val]

DTrace の実行時オプションまたは D コンパイラオプションを有効化または変更します。オプションの完全なリストについては、dtrace(8) を参照してください。このユーティリティーでは、aggsize オプションと aggrate オプションがもっとも役立ちます。これらのオプションのいずれかを変更する必要がある場合、このユーティリティーは次のようなエラーメッセージを表示します。

Data dropped.  Consider using '-x aggsize=8k' option.

aggsize のデフォルトは 512K です。aggrate のデフォルトは 1 Hz です。

–z zonename[ ,zonename...]

ゾーン名でフィルタします。

出力

次に、tcpstat レポートの列見出しとその意味を示します。

ZONE

このネットワークトラフィックに関連付けられたゾーンの名前。

PID

このネットワークトラフィックに関連付けられたプロセス ID。

PROTO

このネットワークトラフィックに関連付けられたプロトコル。

SADDR

このネットワークトラフィックに関連付けられた発信元 IP アドレスまたはホスト名。

SPORT

このネットワークトラフィックに関連付けられた発信元ポート。

DADDR

このネットワークトラフィックに関連付けられた宛先 IP アドレスまたはホスト名。

DPORT

このネットワークトラフィックに関連付けられた宛先ポート。

RATE

サンプリング間隔あたりのネットワークトラフィックまたはパケットエラーイベントのレート。レートはバイト数で表示されますが、–k を使用してパケット数に変更できます。解析不可モードでは、必要に応じてレートが拡大縮小され (オプションで –u オプションごとに調整され)、K、M、G、T、または P 接尾辞付きで表示されます。解析可能モードでは、拡大縮小されていないレートが常に表示されます。

EVENT

プロトコルイベントの名前。

ERR-BYTES

サンプリング間隔あたりのパケットエラーイベントのレート。通常の出力では、レートは 1 秒あたりのバイト数 (接尾辞なし)、K バイト数 (K)、M バイト数 (M)、G バイト数 (G)、T バイト数 (T)、または P バイト数 (P) で報告されます。マシン解析可能な出力では、秒あたりのバイト数でレートが出力されます。–u オプションを使用すると、この数値に対して固定の単位を指定できます。

PKTS

サンプリング間隔あたりのパケット内のネットワークトラフィックのレート。通常の出力では、レートは、秒あたりのパケット数 (接尾辞なし)、秒あたりの K パケット数 (K)、秒あたりの M パケット数 (M)、秒あたりの G パケット数 (G)、秒あたりの T パケット数 (T)、秒あたりの P パケット数 (P) で報告されます。マシン解析可能な出力では、秒あたりのパケット数でレートが出力されます。–u オプションを使用すると、この数値に対して固定の単位を指定できます。

ERR-PKTS

サンプリング間隔あたりのパケット内のパケットエラーイベントのレート。通常の出力では、レートは、秒あたりのパケット数 (接尾辞なし)、秒あたりの K パケット数 (K)、秒あたりの M パケット数 (M)、秒あたりの G パケット数 (G)、秒あたりの T パケット数 (T)、秒あたりの P パケット数 (P) で報告されます。マシン解析可能な出力では、秒あたりのパケット数でレートが出力されます。–u オプションを使用すると、この数値に対して固定の単位を指定できます。

EVENT

プロトコルイベントの名前。

オペランド

次のオペランドがサポートされています。

count

統計を繰り返す回数を指定します。デフォルトでは、tcpstat は終了シグナルを受信するまで統計情報を報告します。

interval

サンプリング間隔を秒単位で指定します。デフォルトの間隔は5秒です。

終了ステータス

次の終了ステータスが返されます。

0

正常終了。

1

エラーが発生しました。

使用例 1 もっともアクティブな 5 つのトラフィックフローの報告

次のコマンドは、もっともアクティブな 5 つのトラフィックフローを報告します。

$ ./tcpstat -l 5
ZONE            PID PROTO  SADDR            SPORT DADDR            DPORT   BYTES
global        28919 TCP    duff.cs.uni.edu  65398 adc-twvpn-1.orac   443   33.0 
zone1          6940 TCP    duff-dry.cs.uni.  6868 duff.cs.uni.edu  61318    8.0 
zone1          6940 TCP    duff.cs.uni.edu  61318 duff-dry.cs.uni.  6868    8.0 
global         8350 TCP    duff-dry.cs.uni.  6868 duff.cs.uni.edu  61318    8.0 
global         8350 TCP    duff.cs.uni.edu  61318 duff-dry.cs.uni.  6868    8.0 
Total: bytes in: 16.0  bytes out: 49.0 

使用例 2 タイムスタンプの表示

次のコマンドは、最上位のネットワークトラフィックを標準日付形式のタイムスタンプとともに報告します。前のレポートの下に新しいレポートが出力され、間隔が 10 秒に設定されます。

$ ./tcpstat -d d -c 10
Saturday, March 31, 2012 07:48:05 AM EDT
ZONE            PID PROTO  SADDR            SPORT DADDR            DPORT   BYTES
global         2372 TCP    heineken.splat.u 58094 rmdc-proxy.oracl    80   37.0 
zone1          6940 TCP    duff-dry.cs.uni.  6868 duff.cs.uni.edu  61318    8.0 
zone1          6940 TCP    duff.cs.uni.edu  61318 duff-dry.cs.uni.  6868    8.0 
global         8350 TCP    duff-dry.cs.uni.  6868 duff.cs.uni.edu  61318    8.0 
global         8350 TCP    duff.cs.uni.edu  61318 duff-dry.cs.uni.  6868    8.0 
Total: bytes in: 16.0  bytes out: 53.0
使用例 3 DTrace の実行時オプションの指定

次のコマンドは、DTrace の実行時オプション aggsize を 1K に設定します。これは収集されるデータに対して小さすぎるため、データがドロップされたことを示すエラーが表示されます。

$ ./tcpstat -x aggsize=1k -c 1
Please wait...
ZONE            PID PROTO  SADDR            SPORT DADDR            DPORT   BYTES
zone1          6940 TCP    duff.cs.uni.edu  61318 duff-dry.cs.uni.  6868    8.0 
global         8350 TCP    duff-dry.cs.uni.  6868 duff.cs.uni.edu  61318    8.0 
global         8350 TCP    duff.cs.uni.edu  61318 duff-dry.cs.uni.  6868    8.0 
Data dropped.  Consider using '-x aggsize=2k' option.
Total: bytes in:  0.0  bytes out:  0.0 
使用例 4 マシン解析可能な出力の生成

次のコマンドは、1 秒間のデータをマシン解析可能な形式で UNIX 形式のタイムスタンプとともに表示します。

$ ./tcpstat -d u -m 1
timestamp:1333144286
global:TCP:2372:adc-proxy.oracle.com:80:harp.blat.uni.edu:44403:21083
global:TCP:2372:adc-proxy.oracle.com:80:harp.blat.uni.edu:59012:3136
global:TCP:2372:adc-proxy.oracle.com:80:harp.blat.uni.edu:37122:925
global:TCP:2372:harp.blat.uni.edu:59012:adc-proxy.oracle.com:80:670
global:TCP:2372:adc-proxy.oracle.com:80:harp.blat.uni.edu:64848:478
global:TCP:2372:adc-proxy.oracle.com:80:harp.blat.uni.edu:43355:425
global:TCP:2372:harp.blat.uni.edu:37122:adc-proxy.oracle.com:80:414
global:TCP:2372:harp.blat.uni.edu:44403:adc-proxy.oracle.com:80:403
zone1:TCP:6940:duff-dry.cs.uni.edu:6868:duff.cs.uni.edu:61318:8
zone1:TCP:6940:duff.cs.uni.edu:61318:duff-dry.cs.uni.edu:6868:8
global:TCP:8350:duff-dry.cs.uni.edu:6868:duff.cs.uni.edu:61318:8
global:TCP:8350:duff.cs.uni.edu:61318:duff-dry.cs.uni.edu:6868:8
total:TCP:26063:1503
timestamp:1333144287
zone1:TCP:6940:duff-dry.cs.uni.edu:6868:duff.cs.uni.edu:61318:8
zone1:TCP:6940:duff.cs.uni.edu:61318:duff-dry.cs.uni.edu:6868:8
global:TCP:8350:duff-dry.cs.uni.edu:6868:duff.cs.uni.edu:61318:8
global:TCP:8350:duff.cs.uni.edu:61318:duff-dry.cs.uni.edu:6868:8
total:16:16
使用例 5 TCP 関連のパケットエラーイベントの報告

次のコマンドは、TCP パケットエラーのイベントを報告します。前のレポートの下に新しいレポートが出力され、間隔が 10 秒に設定されます。

$ ./tcpstat -e -T tcp -c 10
ZONE         PID PROTO  SADDR            SPORT DADDR  DPORT  ERR-PKTS           EVENT
global    100574 TCP    dhcp-santaclara1 59198 impel     22         1       tcpInErrs
global    100574 TCP    impel               22 agnew     22         1 tcpAttemptFails
Total packets: 2
使用例 6 すべての TCP および UDP イベントの報告

次のコマンドは、すべての TCP および UDP イベントのトラフィックフローを報告します。

$ ./tcpstat -E all
ZONE         PID PROTO  SADDR             SPORT DADDR             DPORT  PKTS           EVENT
global    100519 TCP    x4600m2-sfb-01.u  35688 impel                22     1    tcpRttUpdate
global    100519 TCP    x4600m2-sfb-01.u  35688 impel                22     1    tcpInAckSegs
global    100519 TCP    impel                22 x4600m2-sfb-01.u  35688     1  tcpOutDataSegs
global    100485 UDP    10.5.238.52       58711 10.255.255.255      111     1       udpInData
Total packets: 4
使用例 7 TCP 関連イベントの報告
$ ./tcpstat -E all -T udp -n
ZONE       PID PROTO SADDR          SPORT  DADDR          DPORT  PKTS            EVENT
global  100519 TCP   10.132.148.89  39443  10.134.71.92      22     5 tcpInInorderSegs
global  100519 TCP   10.132.148.89  39443  10.134.71.92      22     1     tcpInAckSegs
global  100519 TCP   10.132.148.89  39443  10.134.71.92      22     1     tcpRttUpdate
global  100519 TCP   10.134.71.92      22  10.132.148.8   39443     4        tcpOutAck
global  100519 TCP   10.134.71.92      22  10.132.148.89  39443     1   tcpOutDataSegs
Total packets: 12

属性

属性についての詳細は、マニュアルページの attributes(7) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
system/core-os

関連項目

dtrace(8), ipstat(8), netstat(8)

表示されるデータはサンプリングされたデータではありません。値はネットワークトラフィックの正確な数を表しています。データがドロップされた場合は、それを示すエラーメッセージが表示されます。