このセクションでは、ブート環境 (BE)、共有ゾーン、ゾーンの代替ルート、および孤立したゾーンについて説明します。
beadm コマンドは、ブート環境 (BE と呼ばれる) の管理に使用されます。beadm コマンドは、ルートデータセットおよびルートデータセットの下にネストされたすべてのデータセットを含むブート環境構造に対してタスクを実行します。
beadm コマンドは非大域ゾーン内でサポートされています。beadm コマンドは、ゾーンの情報を表示しません。ブート環境のゾーンの変更内容を確認するには、大域ゾーンから zoneadm コマンドを使用してください。たとえば、システム上の現在のゾーンのリストを表示するには、zoneadm list コマンドを使用します。詳細は、beadm(8) のマニュアルページを参照してください。
大域ゾーンと非大域ゾーンの両方にブート環境が含まれています。非大域ゾーン内の各ブート環境は、大域ゾーン内の親ブート環境に関連付けられています。大域ゾーンブート環境はそれぞれ、インストールされている各 solaris ゾーン内の 1 つまたは複数のゾーンブート環境 (ZBE) に関連付けられています。ゾーンが切り離された場合、大域ゾーンへの参照は残ります。これにより、大域ゾーンブート環境と非大域ゾーンブート環境の間の関連付けを維持しながら、ゾーンを同じ大域ゾーンに再接続できます。
大域ゾーンブート環境が非アクティブの場合、関連する非大域ゾーンブート環境はブート不可能です。ただし、大域ゾーンのその親ブート環境からブートすると、関連する非大域ゾーンのブート環境はブート可能になります。
ゾーンを接続または移行するとき、システムで適切な ZBE を選択できるようにするために、–z オプションを使用して接続する ZBE を名前で指定するか、またはいくつかの –x オプションの 1 つを使用できます。これらのオプションについては、zones(7) のマニュアルページを参照してください。
このオプションは、ゾーンブート環境 (ZBE) のクローンを拒否し、ZBE を更新してアクティブなブート環境としてマウントします。
デフォルトでは、次のいずれかが当てはまる場合は、選択されたゾーンブート環境がクローニングされ、そのクローンが接続されます。元のゾーンブート環境は引き続き存在します。
選択されたゾーンブート環境が別の大域ゾーンブート環境に関連付けられている。
選択されたゾーンブート環境が、いずれの大域ゾーンブート環境にも関連付けられていない孤立したブート環境である。
solaris ゾーンの接続時または移行時に -x deny-zbe-clone オプションを使用すると、クローニングは行われず、選択されたゾーンブート環境がインプレースで更新され、アクティブなブート環境としてマウントされます。
attach または migrate 操作時に、このオプションは、既存のどの大域ゾーンにも関連付けられていないすべてのゾーンブート環境を破棄します。現在接続している孤立したブート環境は、クローンされ更新されたあとで破棄されます。
このオプションは、選択されたゾーンブート環境 (ZBE) をクローンし、クローン ZBE をアクティブなブート環境として接続します。元の ZBE は残ります。
ゾーンを接続するとき、デフォルトでは、現在アクティブな大域ゾーンブート環境に関連付けられているゾーンブート環境が選択されます。このオプションは、この動作をオーバーライドして、別の大域ゾーンブート環境を選択します。
ゾーンの状態はホストシステムのすべてのブート環境 (BE) 間で共有されます。ゾーンの状態が変更された場合、現在ブートされている BE のみでなく、すべての BE に影響します。また、ゾーン状態を installed から configured に変更することも含め、すべての状態に影響します。ゾーンは、アンインストールされた場合、すべての BE からアンインストールされます。アンインストールされたゾーンを回復する唯一の方法は、既存のバックアップデータから回復することです。
代替ルート (ブート環境) を指定するには、zoneadm コマンドと –R root オプションを使用します。このオプションは、list および mark サブコマンドとの組み合わせでのみ使用できます。詳細は、zoneadm(8) のマニュアルページを参照してください。
別のホストに移行された非大域ゾーンには、既存の大域ゾーンに関連付けられていないゾーンブート環境が集積されることがあります。大域ゾーンに関連付けられていない非大域ゾーンブート環境は、孤立したブート環境と呼ばれます。
孤立したゾーンブート環境が役立つのは、そのゾーンを元のソースシステムで再接続する予定がある場合のみです。以前に接続されていた大域ゾーンに戻す予定がない場合、孤立したゾーンブート環境は破棄してかまいません。
孤立したブート環境をゾーンに接続するように選択すると、孤立したブート環境はクローンされます。このクローニングされたブート環境が更新され、その親はアクティブな大域ブート環境に再設定されます。デフォルトでは、元の孤立したブート環境は引き続き存在します。オプションを指定すると、ブート環境を異なる方法で処理できます。
孤立したブート環境は、beadm list の出力で、Active 列の O フラグによって示されます。次の出力例では、solaris-0、solaris-1、および solaris-2 ブート環境が孤立しています。
$ beadm list BE Active Mountpoint Space Policy Created -- ------ ---------- ----- ------ ------- solaris-0 !RO - 3.40M static 2014-01-17 15:04 solaris-1 !RO - 3.85M static 2014-02-09 18:11 solaris-2 !RO - 39.0K static 2014-02-10 04:54 solaris-3 !R - 2.19G static 2014-02-12 16:56 solaris-4 !R - 3.0K static 2014-02-19 19:18 solaris-5 NR / 2.43G static 2014-03-20 04:38
孤立しているとして示されているブート環境は、beadm destroy コマンドで破棄できます。孤立したすべてのブート環境を破棄するには、–O オプションを含めます。
ブート環境の詳細は、Oracle Solaris 12 ブート環境の作成と管理および beadm(8) のマニュアルページを参照してください。
次の –x オプションは、ゾーンの zoneadm attach 中にゾーンブート環境 (ZBE) を管理するために使用されます。zoneadm migrate コマンドでも同じオプションが同様に使用され、移行時にターゲットシステムで接続を実行するときに適用されます。
destroy-orphan-zbes
force-zbe-clone
deny-zbe-clone
オプション attach-last-booted-zbe および destroy-orphan-zbes は、force-zbe-clone オプションまたは deny-zbe-clone オプションとともに使用できます。