IP ネットワークマルチパス (IPMP) は、大域ゾーンと同じ方法で、排他的 IP ゾーン内に構成されます。IPMP を使用するためには、排他的 IP ゾーンに net リソースが少なくとも 2 つ必要です。IPMP は、これらのデータリンク上のゾーン内から構成されます。
1 つの IPMP グループに 1 つ以上の物理インタフェースを構成できます。IPMP を構成すると、IPMP グループのインタフェースに障害が発生していないかどうかをシステムが自動的にモニターします。グループのインタフェースに障害が発生した場合や、保守のためにインタフェースが削除された場合、IPMP は自動的に、そのインタフェースの IP アドレスを移行して処理を継続します。フェイルオーバーされたアドレスは、障害が発生したインタフェースの IPMP グループ内の機能中のインタフェースが受け取ります。
IPMP のフェイルオーバーコンポーネントは、接続を保持し、既存の接続の切断を防止します。さらに、IPMP は、ネットワークトラフィックを自動的に IPMP グループ内のインタフェースのセットに分散することによって、ネットワークパフォーマンス全体を向上させます。このプロセスは負荷分散と呼ばれます。
また、IPMP のサポートを大域ゾーンからその共有 IP ゾーンに拡張することもできます。
排他的 IP ゾーン向けに IPMP グループを構成するには、Administering TCP/IP Networks, IPMP, and IP Tunnels in Oracle Solaris 11.4 の Configuring IPMP Groupsの手順に従います。
共有 IP ゾーンについては、IP ネットワークマルチパス機能を共有 IP 非大域ゾーンに拡張する方法の手順に従います。
大域ゾーン内で IPMP を構成し、IPMP 機能を非大域ゾーンに拡張する場合に、ここで説明する手順を使用します。
ゾーンの構成時に、各アドレスつまり論理インタフェースを非大域ゾーンと関連付ける必要があります。手順については、Oracle Solaris Zones Configuration Resources の zonecfg and the Global Zoneおよび zonecfg ユーティリティーを使用してゾーンを構成する方法を参照してください。
この手順を実行すると、次のことが達成されます。
net0 カードと net1 カードは、インタフェースが ipmp0 である IPMP グループで一緒に構成されます。
ipmp0 のデータアドレス 192.0.2.0 が非大域ゾーン my-zone と関連付けられます。
net0 カードがゾーンの物理インタフェースとして設定されます。
稼働中のゾーンで、ipadm コマンドを使用して関連付けを行うことができます。詳細は、共有 IP ネットワークインタフェースおよび ipadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
詳細については、root 以外のユーザーへのゾーンを管理する権利の割り当てを参照してください。
Administering TCP/IP Networks, IPMP, and IP Tunnels in Oracle Solaris 11.4 の Configuring IPMP Groupsの手順に従います。
net リソースを構成するときに、アドレス 192.0.2.0 および物理インタフェース net0 をゾーン zonename に追加します。
zonecfg:my-zone> add net zonecfg:my-zone:net> set address=192.0.2.0 zonecfg:my-zone:net> set physical=net0 zonecfg:my-zone:net> end
非大域ゾーン my-zone 内に net0 のみが表示されるようになります。
192.0.2.0 が ipmp0 に割り当てられているので、net0 に連続して障害が発生した場合、このアドレスは引き続き net1 から利用できます。アドレスの可用性はまた、my-zone にも適用されます。ただし、net0 に障害が発生した場合、net1 が my-zone の可視インタフェースになります。