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更新: 2014 年 7 月
 
 

cfgadm_sata(1M)

名前

cfgadm_sata - cfgadm の SATA ハードウェア固有のコマンド

形式

/usr/sbin/cfgadm [-f] [-y | -n] [-v] [-o hardware_options]
     -c function ap_id...
/usr/sbin/cfgadm [-f] [-y | -n] [-v] [-o hardware_options]
     -x hardware_function ap_id...
/usr/sbin/cfgadm [-v] [-a] [-s listing_options] 
     [-o hardware_options] [-l [ap_id | ap_type]...]
/usr/sbin/cfgadm [-v] [-o harware_options] -t ap_id...
/usr/sbin/cfgadm [-v] [-o hardware_options] -h [ap_id]...

説明

SATA ハードウェア固有のライブラリ /usr/lib/cfgadm/sata.so.1 は、cfgadm コマンドによる SATA ホットプラグ操作のための機能を提供します。cfgadm は、接続点で実行されます。接続点とは、ハードウェアリソースを動的に再構成できるシステム上の場所です。接続点については、cfgadm(1M) を参照してください。

各 SATA コントローラおよびポートマルチプライヤのデバイスポートは、デバイスツリー上で接続点によって表されます。システム上で接続および構成されている SATA デバイスは、接続点の名前の拡張として表されます。次の説明では、「接続点」および「SATA ポート」という用語は同じ意味で使用されます。

接続点には、ap_id によって名前が付けられます。すべての SATA 接続点 ap_id は、次の形式の文字列から構成されます。

sataX/P[.M][::dsk/cXtYd0]

各情報の意味は次のとおりです。

X

SATA コントローラ番号です。

P

SATA コントローラのデバイスポート番号 (0 - 31) です。

M

ポートマルチプライヤのデバイスポート番号 (0 - 14)、ポートマルチプライヤのホストポート番号 (15) です。ポートマルチプライヤが SATA コントローラのデバイスポートに接続されている場合にのみ使用されます。

dev/cXtYd0

接続された SATA デバイスを識別します。

Y

ターゲット番号です。

一般的に、デバイスの識別子は、/dev 内のデバイスの対応する論理リンクから生成されます。SATA デバイスでは 1 つの LUN (LUN 0) しかサポートされないため、デバイス文字列の「d」コンポーネントは常に数値 0 (ゼロ) になります。

たとえば、SATA コントローラ 2 のデバイスポート 5 に接続されたポートマルチプライヤのデバイスポート 4 の論理 ap_id は次のとおりです。

sata2/5.4

この接続点に SATA ディスクまたは CD/DVD デバイスが接続されていて、デバイスが構成されている場合、ap_id は次のようになります。

sata2/5.4::dsk/c2t645d0

デバイスを識別する cXtYd0 文字列は、デバイスの接続点と 1 対 1 で対応します。

システム上の接続点の単純な一覧には、すべての SATA デバイスポートおよび接続されているデバイスが含まれます。例:

#cfgadm -l
Ap_Id                     Type        Receptacle   Occupant     Condition
  sata0/0::dev/c0t0d0     disk        connected    configured   ok
  sata0/1::dev/c0t1d0     disk        connected    configured   ok
  sata0/2::dev/c0t2d0     cd-dvd      connected    configured   ok
  sata0/3                 sata-port   empty        unconfigured ok
  sata1/0                 sata-port   disconnected unconfigured unknown
  sata1/1                 sata port   disconnected unconfigured unknown
  sata1/2                 sata port   empty        unconfigured ok
  sata1/3.15              sata-pmult  connected    configured   ok
  sata1/3.0::dev/c0t512d0 disk        connected    configured   ok
  sata1/3.1               sata-port   empty        unconfigured ok
  sata1/3.2               sata-port   empty        unconfigured ok
  sata1/3.3               sata-port   empty        unconfigured ok
  usb0/1                  unknown     empty        unconfigured ok
  usb0/2                  unknown     empty        unconfigured ok

接続点の一覧表示については、cfgadm(1M) を参照してください。

SATA ポートにおける接続点の受容体の状態は、次のような意味を持ちます。

empty

SATA ポートが電源投入され、有効になっています。このポートでは、デバイスの存在が検出されませんでした。

disconnected

SATA ポートが有効になっていない、SATA デバイスの存在は検出されたがデバイスとの通信が確立されてない、またはポートで障害が発生している、のいずれかです。

connected

ポートで SATA デバイスが検出され、デバイスとの通信が確立されています。

占有装置 (SATA ポートに接続されたデバイス)の状態は、次のような意味を持ちます。

configured

接続されている SATA デバイスは構成されており、オペレーティングシステムが使用できる状態です。

unconfigured

デバイスが接続されていないか、SATA ポートに接続されている SATA デバイスがまだ構成されていません。構成するには、コマンド「cfgadm -c configure ap_id」を実行します。

接続点 (SATA ポート) の状況は、次の意味を持ちます。

ok

SATA ポートが電源投入され、有効になっていて、使用できます。

failed

SATA ポートに障害が発生しました。システムにより無効になっているか電源が切断されている可能性があります。使用不可能であり、その状況は不明です。差し込まれているデバイスが原因である可能性があります。

unknown

SATA ポートが無効になっており、その状況は不明です。

「状態テーブル」は、接続点の受容体の状態、占有装置の状態、および接続点 (SATA ポート) の状況を組み合わせたものです。有効な状態は次のとおりです。

empty/unconfigured/ok

SATA ポートが有効になっており、アクティブです。デバイスの存在が検出されませんでした。

disconnected/unconfigured/ok

SATA ポートが有効になっていて、デバイスの存在が検出されましたが、デバイスとの通信は確立されませんでした。

disconnected/unconfigured/unknown

SATA ポートが無効になっており、その状況は不明です。

disconnected/unconfigured/failed

SATA ポートが無効になっており、使用不可です。システムで検出された障害が原因で、ポートはシステムで無効になりました。

connected/unconfigured/ok

SATA ポートが有効になっており、アクティブです。デバイスの存在が検出され、デバイスとの通信が確立されました。デバイスは OS で使用されるように構成されていません。

connected/configured/ok

デバイスは存在し、構成されており、OS が使用できる状態です。

オプション

cfgadm では、一覧表示 (–l) のほかに数種類の操作が定義されています。これらの操作には、テスト (–t)、構成状態の変更の開始 (–c)、ハードウェア固有の関数の実行 (–x)、および構成管理のヘルプメッセージの表示 (–h) が含まれます。

–c function

次の汎用の関数は、SATA ハードウェア固有のライブラリに定義されています。SATA ポート接続点では、次の構成状態の変更操作がサポートされています。

connect

SATA ポートを有効 (アクティブ) にして、接続されたデバイスとの通信を確立します。この操作により、必要に応じてポートの電源が投入されます。

disconnect

接続されたデバイスがまだ構成解除されていない場合は構成解除し、SATA ポートを無効化 (非アクティブ化) します。その後に「connect」コマンドを使用した場合、SATA ポート操作は有効になりますが、デバイスは「configured」状態にはなりません。

SATA ポートに接続された SATA デバイスでは、次の状態の変更操作がサポートされています。

configure

新しいデバイスがまだ構成されていない場合に、オペレーティングシステムが使用できるように構成します。このコマンドは、必要に応じて接続操作も実行することを意味しています。

unconfigure

SATA ポートに接続されたデバイスがまだ構成解除されていない場合は、構成解除します。

configure および unconfigure 操作は、ポートパルチプライヤが接続された接続点では使用できません。ポートパルチプライヤは、システムで自動的に構成および構成解除されません。ただし、configure および unconfigure 操作は、ポートパルチプライヤのデバイスポートに接続されたすべての SATA デバイスに適用されます。

–f

サポートされていません。

–h ap_id

ヘルプオプションと任意の SATA 接続点を組み合わせて使用すると、SATA 固有のヘルプを取得できます。

–l [–v]

–l オプションは、cfgadm(1M) で説明されているように機能します。–v オプションと組み合わせて使用すると、「Information」フィールドに次の SATA 固有の情報が表示されます。

  • Mfg: 製造元文字列

  • Product: 製品文字列

  • No: 製品シリアル番号

–ohardware_options

現在定義されているハードウェア固有のオプションはありません。

–slisting_options

select サブオプションを使用すると、クラス SATA の接続点を一覧表示できます。cfgadm(1M) を参照してください。

–t ap_id

SATA コントローラでサポートされている場合、SATA ポートのセルフテストを実行します。セルフテスト操作が SATA コントローラでサポートされていない場合は、エラーメッセージが表示されます。

–xhardware_function

ハードウェア固有の関数を実行します。

前述のとおりに、SATA ポートまたは SATA コントローラの次のコマンドの一部では、接続されている SATA デバイスが影響を受ける可能性があります。前述のとおりに、ap_id は SATA ポートまたは SATA コントローラ全体を指します。操作にデバイスの構成解除が含まれていても構成解除できない場合 (つまり、デバイスにマウント済みのファイルシステムが含まれる場合)、エラーメッセージが表示され、操作は実行されません。SATA コントローラで指定された操作がサポートされていない場合も、エラーメッセージが表示されます。

sata_reset_device ap_id

ap_id SATA ポートに接続された SATA デバイスをリセットします。SATA ポートの状態は変更されません。

sata_reset_port ap_id

ap_id で指定された SATA ポートをリセットします。ポートに SATA デバイスが接続されている場合は、そのデバイスもリセットされます。この操作は、ポートマルチプライヤが接続されているポートでも実行される場合があります。ポートマルチプライヤが SATA コントローラポートに接続されている場合、ポートマルチプライヤに接続された SATA デバイスがリセットされない可能性があります。

sata_reset_all ap_id

ap_id のコントローラ番号部分で指定された SATA コントローラおよび接続されたすべてのデバイスをリセットし、接続されたすべてのデバイス (ポートマルチプライヤやポートマルチプライヤのデバイスポートに接続されたデバイスなど) を再列挙します。

この操作により、操作前に接続されたすべてのデバイスが接続解除されます。新しく列挙されたデバイスは構成解除されたままです。

sata_port_deactivate ap_id

ほかのすべてに失敗した場合に、ポートを強制的に無効にします。これは、緊急時の手順として使用します。注意して使用してください。

sata_port_activate ap_id

ポートを強制的に有効にします。これは、エラーから回復するために無効にされたポート上で緊急状況時に使用されます。

sata_port_self_test ap_id

SATA コントローラでセルフテスト操作を実行します。この操作により、すべてのデバイスが構成解除され、SATA コントローラがリセットされます。

–v

詳細モードで実行します。

次の「遷移」テーブルは、–c 操作およびホットプラグ処理の結果生じた状態遷移を報告します。

current state     operation       possible new state
-------------     ---------       ------------------
empty/
unconfigured/ok   device plug-in  connected/unconfigured/ok, or
                                  disconnected/unconfigured/ok, or
                                  disconnected/unconfigured/failed

empty/
unconfigured/ok   -c unconfigure  error message, no state change

empty/
unconfigured/ok   -c configure    error message, no state change

empty/
unconfigured/ok   -c connect      error message, no state change

empty/
unconfigured/ok   -c disconnect   disconnected/unconfigured/unknown, or
                                  disconnected/unconfigured/failed

disconnected/
unconfigured/ok   device unplug   no state change

disconnected/
unconfigured/ok   -c unconfigure  error message, no state change

disconnected/
unconfigured/ok   -c configure    error message, no state change

disconnected/
unconfigured/ok   -c connect      error message, no state change

disconnected/
unconfigured/ok   -c disconnect   error message, no state change

disconnected/
unconfigured/
unknown 
(no disk plugged) -c configure    error message, state change to
                                  empty/unconfigured/ok, or
                                  disconnected/unconfigured/failed
       
disconnected/
unconfigured/
unknown           -c configure    state change to 
(disk plugged)                    connected/configured/ok or,
                                  connected/unconfigured/ok, or
                                  disconnected/unconfigured/failed and
                                  possible error message
       
disconnected/
unconfigured/
unknown           -c connect      empty/unconfigured/ok, or
                                  connected/unconfigured/ok, or
                                  disconnected/unconfigured/ok, or
                                  disconnected/unconfigured/unknown, or
                                  disconnected/unconfigured/failed

disconnected/
unconfigured/
unknown           -c disconnect   error message, no state change

disconnected/
unconfigured/
failed            any command     error message, no state change
                  other than
                  -x commands

connected/
unconfigured/ok   disk unplug     error message and state:
                                  empty/unconfigured/ok, or
                                  disconnected/unconfigured/failed

connected/
unconfigured/ok   -c configure    connected/unconfigured/ok, or
                                  connected/configured/ok, or
                                  disconnected/unconfigured/ok, or
                                  disconnected/unconfigured/failed

connected/
unconfigured/ok   -c unconfigure  error message, no state change

connected/
unconfigured/ok   -c connect      error message, no state change
       
connected/
unconfigured/ok   -c disconnect   disconnected/unconfigured/unknown, or
                                  disconnected/unconfigured/failed

connected/
configured/ok     disk unplug     error message and state:
                                  empty/unconfigured/ok, or
                                  disconnected/unconfigured/failed

connected/
configured/ok     -c configure    error message, no state change

connected/
configured/ok     -c unconfigure  error message, if device cannot be
                                  unconfigured, no state change, or
                                  connected/unconfigured/ok, or
                                  disconnected/unconfigured/ok, or
                                  disconnected/unconfigured/failed

connected/
configured/ok     -c connect      error message, no state change

connected/
configured/ok     -c disconnect   error message, if device cannot be
                                  unconfigured, no state change, or
                                  disconnected/unconfigured/unknown, or
                                  disconnected/unconfigured/failed

使用例 1 ディスクの構成

次のコマンドは、SATA コントローラ 0、ポート 0 に接続されているディスクを構成します。


example# cfgadm -c configure sata0/0

このコマンドは、SATA ポートにデバイスが接続されている場合にのみ発行してください。

使用例 2 ディスクの構成解除

次のコマンドは、SATA コントローラ 0、ポート 3 に接続されたディスクを構成解除します。

example# cfgadm -c unconfigure sata0/3

デバイスを識別する文字列は、接続点の受容体の状態が「connected」、占有装置の状態が「configured」のときに表示されます。

使用例 3 マウントされたファイルシステムがディスクの構成解除中に検出された場合

次のコマンドは、マウントされたファイルシステムがディスクの構成解除中に検出された場合を示しています。

example# cfgadm -c unconfigure sata1/5

システムは次のように応答します。

cfgadm: Component system is busy, try again: failed to offline:
/devices/pci@0,0/pci8086,244e@1e/pci1095,3124@1/sd@5,0
     Resource              Information
------------------  --------------------------
/dev/dsk/c1t5d0s0   mounted filesystem "/mnt"

ファイル

/usr/lib/cfgadm/sata.so.1

汎用的な SATA ホットプラグ操作のためのハードウェア固有ライブラリ

属性

属性についての詳細は、マニュアルページの attributes(5) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
system/library

関連項目

cfgadm(1M), config_admin(3CFGADM), libcfgadm(3LIB), attributes(5)

緊急時の「sata_port_deactivate」操作は、ルート (/)、/usr、swap、/var などの重要なパーティションを含むディスクが接続されたポートではサポートされていません。このようなポートでは、無効化操作を実行しないでください。使用法を誤ると、システムがハングアップし、リブートが必要になる場合があります。

ホットプラグ操作は、すべての SATA コントローラでサポートされているわけではありません。

SATA コネクタがホットプラグ対応のタイプであり、SATA コントローラでホットプラグがサポートされている場合は、いつでも SATA デバイスのホットプラグ操作が可能です。システムはイベントを検出して、デバイスとの通信を確立します。デバイスは、明示的に「cfgadm -c configure ap_id」コマンドで構成する必要があります。

SATA コネクタがホットプラグ対応のタイプであり、SATA コントローラでホットプラグがサポートされている場合、構成解除せずにデバイスを取り外すと、システムがハングアップしたり、データが損失したりする可能性があります。デバイスが構成解除されたが、受容体の状態が disconnected 状態ではない場合は、SATA ポートからデバイスを取り外すと、エラーメッセージが表示されます。

警告

一部の SATA デバイスのコネクタは、SATA ホットプラグの仕様に準拠していません。このようなデバイスでホットプラグ操作を実行すると、SATA コントローラまたは SATA デバイス (あるいはその両方) に障害を与える可能性があります。