マニュアルページセク ション 1M: システム管理コマンド

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更新: 2014 年 7 月
 
 

fsstat(1M)

名前

fsstat - ファイルシステムの統計情報の報告

形式

fsstat [-A|a|f|i|n|v|Z] [-T d|u] [[-z zone]...]
     {-F | {fstype|path}...} [interval [count]]

説明

fsstat は、カーネルファイル操作のアクティビティーをファイルシステムタイプ (fstype) またはパス名 (これがマウントポイントに変換されます) ごとに報告します。出力の最初の一連の行は、次の時点以降のすべてのアクティビティーを報告します。

  • ファイルシステムモジュールがロードされた時点 (fstype の場合)

  • ファイルシステムがマウントされた時点 (マウントポイントの場合)

統計情報は、fstype とマウントポイントのどちらのレベルでも、ファイルシステムに依存しない層で収集されます。ただし、統計情報の収集で、すべてのファイルシステムタイプが表されるわけではありません。(このマニュアルページの「注意事項」のセクションを参照)。

fsstat の出力は、リクエストされたモード (オプション) に依存します。すべての統計情報フィールドが、最大 5 文字に収まる人間が読める形式に単位を自動的にスケールする「スマートナンバー」を使用して表示されます。例:

100

を 100 として表示

2048

を 2K として表示

3000000

を 2.86M として表示

単位修飾子は、K (K バイト)、M (M バイト)、G (G バイト)、T (T バイト)、P (ペタバイト)、および E (エクサバイト) です。

fsstat の実行中に、システムの状態が変化する場合があります。関連する場合は、次のいずれかの形式の状態変更メッセージが fsstat の出力に含まれます。

<<mount point no longer available: {path}>>
<<file system module no longer loaded: {fstype}>>
<<zone no longer active: {zonename}>>
<<zone now active: {zonename}>>

状態変更メッセージが表示されたあと、fsstat は、引き続き指示どおりに統計情報を表示します。fsstat の報告対象のすべての fstypes およびマウントポイントが使用できなくなった場合、fsstat は終了します。

ユーザーは、–F オプション (使用可能なすべてのファイルシステムタイプ) か、あるいは 1 つ以上の fstypes またはマウントポイント、あるいはその両方のリストを指定する必要があります。

デフォルトのレポートは、一般的なファイルシステムアクティビティーを表示します。この表示では、類似した操作が、次のような一般的なカテゴリに結合されます。

new file

ファイルシステムオブジェクト (ファイル、ディレクトリ、シンボリックリンクなど) の作成操作の数

name remov

名前の削除操作の数

name chng

名前の変更操作の数

attr get

オブジェクト属性の取得操作の数

attr set

オブジェクト属性の変更操作の数

lookup ops

オブジェクトの検索操作の数

rddir ops

ディレクトリの読み取り操作の数

read ops

データの読み取り操作の数

read bytes

データの読み取り操作によって転送されたバイト数

write ops

データの書き込み操作の数

write bytes

データの書き込み操作によって転送されたバイト数

(fstype またはマウントポイント) に関して報告されるエンティティーは、最後の列に表示されます。

オプション

サポートしているオプションは、次のとおりです。

–A

すべてのゾーンにまたがる指定された fstype の集計アクティビティーを報告します。これは、–z–Z も指定されていない場合のデフォルトの動作です。

–z または –Z と組み合わせて使用された場合、–A オプションはさらに、すべてのゾーンにまたがる指定された fstype の集計を個別の行に報告します。

–a

カーネル属性操作のアクティビティーを報告します。次の統計情報が報告されます。

getattr

ファイル属性の取得呼び出しの数

setattr

ファイル属性の変更呼び出しの数

getsec

ファイルセキュリティー属性の取得呼び出しの数

setsec

ファイルセキュリティー属性の変更呼び出しの数

(fstype またはマウントポイント) に関して報告されるエンティティーは、最後の列に表示されます。

–F

使用可能なすべてのファイルシステムタイプに関して報告します。

–f

すべてのカーネルファイル操作の完全なアクティビティーを報告します。各ファイル操作は、左の列に表示されます。操作ごとに、次の統計情報が報告されます。

#ops

この操作の呼び出しの数

bytes

バイト単位の平均転送サイズ (read、write、readdir にのみ適用されます)

(fstype またはマウントポイント) に関して報告されるエンティティーは、最初の行に表示されます。

–i

カーネル I/O 操作のアクティビティーを報告します。次の統計情報が報告されます。

read ops

データの読み取り呼び出しの数

read bytes

読み取られたバイト数

write ops

データの書き込み呼び出しの数

write bytes

書き込まれたバイト数

rddir ops

ディレクトリの読み取り呼び出しの数

rddir bytes

ディレクトリを読み取ることによって読み取られたバイト数

rwlock ops

内部ファイルシステムのロック操作の数

rwulock ops

内部ファイルシステムのロック解除操作の数

(fstype またはマウントポイント) に関して報告されるエンティティーは、最後の列に表示されます。

–n

カーネルネーミング操作のアクティビティーを報告します。次の統計情報が報告されます。

lookup

ファイル名の取得呼び出しの数

creat

ファイルの作成呼び出しの数

remov

ファイルの削除呼び出しの数

link

リンク呼び出しの数

renam

ファイルの名前変更呼び出しの数

mkdir

ディレクトリの作成呼び出しの数

rmdir

ディレクトリの削除呼び出しの数

rddir

ディレクトリの読み取り呼び出しの数

symlink

シンボリックリンクの作成呼び出しの数

rdlink

シンボリックリンクの読み取り呼び出しの数

(fstype またはマウントポイント) に関して報告されるエンティティーは、最後の列に表示されます。

–v

仮想メモリー操作の呼び出しのアクティビティーを報告します。次の統計情報が報告されます。

map

ファイルのマッピング呼び出しの数

addmap

マップされたファイルへの追加のマッピングの設定呼び出しの数

delmap

ファイルへのマッピングの削除呼び出しの数

getpag

ファイルからのデータのページの取得呼び出しの数

putpag

ファイルへのデータのページの書き込み呼び出しの数

pagio

ファイルシステムのスワップファイル内のページ転送呼び出しの数

(fstype またはマウントポイント) に関して報告されるエンティティーは、最後の列に表示されます。

–T u|d

タイムスタンプを表示します。

時間の内部表現の出力表現には、u を指定します (time(2) を参照)。標準の日付の形式には、d を指定します。(date(1) を参照)。タイムスタンプは、間隔が設定されている場合にのみ使用されます。

–Z

各ゾーンのゾーンごとのアクティビティーを報告します。

–Z の指定は、–z と組み合わせて使用されると効果がありません。

–z [zonename]

指定されたゾーン内のアクティビティーに関して報告します。複数の –z オプションを指定すると、複数のゾーンをモニターできます。–z が指定されている場合、ユーザーには、明示的に指定されたゾーンの状態の変更のみが通知されます。

オペランド

次のオペランドがサポートされています。

count

count 回のみ報告します。

fstype

報告されるファイルシステムタイプを明示的に指定します。そのファイルシステムモジュールをロードする必要があります。

interval

interval 秒ごとに報告します。

path

報告されるマウントポイントのパスを指定します。パスがマウントポイントでない場合は、パスを含むマウントポイントが特定され、出力に表示されます。

intervalcount も指定されていない場合は、1 つのレポートが出力され、fsstat は終了します。interval は指定されているが、count が指定されていない場合、fsstat は、コマンドが中断されるまで interval 秒ごとに無期限にレポートを出力します。

いくつかの例では、fsstat の出力が 80–文字表示の幅を超えています。

使用例 1 一般的なアクティビティーの表示

次の例では、すべてのファイルシステムタイプの一般的なアクティビティーを表示します。

$ fsstat -F
 new  name   name  attr   attr lookup rddir  read read  write write
 file remov  chng   get    set    ops   ops   ops bytes   ops bytes
  313K  214K 38.5K 2.16M 56.2K  8.36M 52.8K 19.7M 39.9G 18.8M 39.1G ufs
     0     0     0 2.95K     0  3.81K   282 2.52K  466K     0     0 proc
     0     0     0     0     0      0     0     0     0     0     0 nfs
    10     8     2    86     9     98    15   413  103M 8.43K 1.05G zfs
    13    14     4    98    16    125    10 1.01K  258M 15.9K  127M lofs
8.73K 3.29K 5.25K 55.3K    37  1.20M    44 37.9K 38.3M 47.2K 35.9M tmpfs
     0     0     0 4.93K     0      0     0 1.08K  913K     0     0 mntfs
     3     2     1   503     3    897    13   122 25.8K   128  272K nfs3
    10     8     0   615    10  10.1K    18    61 45.6K   292 2.26M nfs4

使用例 2 ネーミングアクティビティーの表示

次の例では、ufs、nfs、nfs3、nfs4、および tmpfs のネーミングアクティビティーを表示します。

$ fsstat -n ufs nfs nfs3 nfs4 tmpfs


lookup creat remov  link renam mkdir rmdir rddir symlnk rdlnk
3.57M  3.10K   586     6    24   115   100 30.2K      5  330K ufs
    0      0     0     0     0     0     0     0      0     0 nfs
18.3K      3     5     0     0     0     0 1.03K      2   346 nfs3
  535      0     0     0     0     0     0    46      0     4 nfs4
  146     24    15     0     0     4     0     4      0     0 tmpfs


使用例 3 属性アクティビティーの表示

次の例では、FS タイプ ufs とマウントされたファイルシステム "/" および "/export/home" の属性アクティビティーを 3 回の繰り返しに 1 回、3 秒ごとに表示します。

# fsstat -a ufs / /export/home 3 3
getattr setattr getsec setsec
  378K    91.9K  11.8K      0 ufs
  367K    82.3K  11.6K      0 /
 11.3K     9.6K    198      0 /export/home
 4.97K    2.27K    163      0 ufs
 3.94K    1.36K    162      0 /
 1.03K      927      1      0 /export/home
 2.30K    1.06K     73      0 ufs
 1.95K      766     71      0 /
   361      317      2      0 /export/home
 2.33K    1.06K     78      0 ufs
 1.64K      451     77      0 /
   711      631      1      0 /export/home

使用例 4 ファイル操作の統計情報の表示

次の例では、「/」の各ファイル操作の統計情報を (–f オプションを使用して) 表示します。

$ fsstat -f /
Mountpoint: /
 operation  #ops  bytes
      open 8.54K
     close  9.8K
      read 43.6K  65.9M
     write 1.57K  2.99M
     ioctl 2.06K
     setfl     4
   getattr 40.3K
   setattr    38
    access 9.19K
    lookup  203K
    create   595
    remove    56
      link     0
    rename     9
     mkdir    19
     rmdir     0
   readdir 2.02K  2.27M
   symlink     4
  readlink 8.31K
     fsync   199
  inactive 2.96K
       fid     0
    rwlock 47.2K
  rwunlock 47.2K
      seek 29.1K
       cmp 42.9K
    frlock 4.45K
     space     8
    realvp 3.25K
   getpage  104K
   putpage 2.69K
       map 13.2K
    addmap 34.4K
    delmap 33.4K
      poll   287
      dump     0
  pathconf    54
    pageio     0
   dumpctl     0
   dispose 23.8K
getsecattr   697
setsecattr     0
   shrlock     0
   vnevent     0

使用例 5 すべてのゾーンのゾーンごとの統計情報の表示

次の例では、システム上の各ゾーンのゾーンごとの統計情報のほか、fstype tmpfs および zfs のシステム全体の集計を表示します。

$ fsstat -A -Z tmpfs zfs
new  name   name  attr  attr lookup rddir  read read  write write
file remov  chng   get   set    ops   ops   ops bytes   ops bytes
125K  116K 8.92K  846K 1.25K  1.36M   252 1013K  913M 1.52M 1.55G tmpfs
98.9K 89.8K 8.87K 600K 1.19K  1.33M   226  394K  253M 1.04M 1.07G tmpfs:global
2.49K 2.42K 32    20.5K  45   3.82K    26 56.8K 85.8M 43.9K 69.5M tmpfs:zone1
23.3K 23.3K 13    226K   13   24.1K     0  562K  574M  452K  425M tmpfs:zone2
82.7K 232K  77.6K 4.72M 73.6K 22.7M  464K 2.88M 6.17G  828K 8.19G zfs
82.1K 231K  77.3K 4.46M 73.5K 21.8M  444K 2.53M 5.71G  809K 8.12G zfs:global
102    88   28    83.3K    68  326K 3.16K  238K  307M 10.5K 54.2M zfs:zone1
499   204   255   179K     34  599K 17.4K  125K  163M 8.85K 21.8M zfs:zone2
使用例 6 特定のゾーンのゾーンごとの統計情報の表示

次の例では、ゾーン zone1 および zone2 のゾーンごとの統計情報のほか、fstype tmpfs および zfs のシステム全体の集計を表示します。

$ fsstat -A -Z zone1 -z zone2 tmpfs zfs
new  name   name  attr  attr lookup rddir  read read  write write
file remov  chng   get   set    ops   ops   ops bytes   ops bytes
125K  116K 8.92K  846K 1.25K  1.36M   252 1013K  913M 1.52M 1.55G tmpfs
2.49K 2.42K  32  20.5K   45   3.82K    26 56.8K 85.8M 43.9K 69.5M tmpfs:zone1
23.3K 23.3K  13   226K    13  24.1K     0  562K  574M  452K  425M tmpfs:zone2
82.7K 232K 77.6K 4.72M 73.6K  22.7M  464K 2.88M 6.17G  828K 8.19G zfs
102    88    28  83.3K   68    326K 3.16K  238K  307M 10.5K 54.2M zfs:zone1
499   204   255  179K    34    599K 17.4K  125K  163M 8.85K 21.8M zfs:zone2
使用例 7 例 7 大域ゾーンのみの統計情報の表示

次の例では、すべての fstype の大域ゾーンのアクティビティーのみを表示します。

$ fsstat -z global -F
new  name   name  attr  attr lookup rddir  read read  write write
file remov  chng   get   set    ops   ops   ops bytes   ops bytes
0     0     0     0     0      0     0     0     0     0     0 ufs:global
0     0     0     171K  0   289K   2.05K  628K  262M  230K 10.6M proc:global
0     0     0     0     0      0     0     0     0     0     0 nfs:global
82.1K 231K 77.3K 4.46M 73.5K  21.8M 444K 2.53M 5.71G  809K 8.12G zfs:global
0     0     0     357K  0      0     0     0     0     0     0 lofs:global
98.9K 89.8K 8.87K 600K 1.19K  1.33M 226  394K  253M 1.04M 1.07G tmpfs:global
0     0     0 15.4K     0      0     0   7.44K 1.03M   0     0 mntfs:global
0     0     0 9.34K     0  9.24K     0     0     0     0     0 autofs:global
0     0     0     0     0      0     0     0     0     0     0 nfs3:global
2     3     0 9.16K    12   104K     4    46   179K   12 43.0K nfs4:global

環境変数

fsstat の実行に影響を与える次の環境変数についての詳細は、environ(5) を参照してください。LANG、LC_ALL、LC_CTYPE、LC_MESSAGES、LC_TIME、および NLSPATH。

終了ステータス

次の終了ステータスが返されます。

0

正常終了。

1

致命的なエラーが発生しました。致命的エラーは、失敗したシステムコールまたは別の内部エラーである可能性があります。

2

無効なコマンド行オプションが指定されました。

属性

属性についての詳細は、マニュアルページの attributes(5) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
system/core-os
CSI
有効
インタフェースの安定性
下記を参照。

コマンド行オプションは「不確実」です。人間が読める形式の出力は、インタフェースとは見なされません。

関連項目

date(1), time(2), attributes(5)

すべての表示オプション (–a–f–i–n–v) は相互に排他的です。これらのオプションを複数入力すると、エラーになります。

fstype および path オペランドは、コマンド行でオプションのあとで、かつ interval または count の前に指定する必要があります。たとえば、「fsstat –a fstype interval」とします。設定は fstype に渡されるため、ユーザーが fstype (たとえば、ufs) と同じ名前を持つディレクトリの統計情報を表示する場合は、パスをあいまいさがないように (たとえば、./ufs と) 指定する必要があります。同様に、間隔またはカウントオペランドから数値の名前 (たとえば、「10」) を持つファイルを定義するには、それに応じて名前に接頭辞を付けるようにしてください (たとえば、./10)。

間隔が使用されている場合、ヘッダーは、12 行を超える統計情報が表示され、現在の間隔で表示される一連の行が完了したあとに繰り返されます。

すべての擬似ファイルシステムの統計情報は表示されません。–F オプションで表示された出力は、ロードされているファイルシステムタイプのうちのどれがサポートされているかを示します。

バンドルされていないファイルシステムは、fsstat によって認識されない可能性があります。

コマンド行オプションは「不確実」として分類され、変更される可能性があります。この出力は、インタフェースであるとは見なされません。fsstat のコマンド行オプションまたは出力のどちらかに依存した、より高レベルのソフトウェアツールの構築は推奨されていません。