マニュアルページセク ション 1M: システム管理コマンド

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更新: 2014 年 7 月
 
 

fmadm(1M)

名前

fmadm - 障害管理構成ツール

形式

fmadm [-q] [subcommand [arguments]]

説明

fmadm ユーティリティーは、管理者とサービス担当者が Solaris Fault Manager (fmd(1M)) によって管理されているシステム構成パラメータを表示および変更するために使用できます。 fmd は、システムソフトウェアが検出した問題に関する遠隔測定情報を受け取り、問題を診断し、障害のあるコンポーネントの無効化などの予測的自己修復操作を開始します。

fmadm を使って次の操作を実行できます。

  • 障害管理に現在関与している一連の診断エンジンおよびエージェントの表示

  • 障害があると診断されたシステムコンポーネントのリストの表示

  • 前述のエンティティーに関連する管理タスクの実行

Fault Manager ができるだけ多くの操作を自動化しようとするため、通常は fmadm を使用する必要はありません。Fault Manager が管理者、サービス修復技術者、または Oracle の助けを必要とする場合は、その必要性を示すメッセージが生成されます。また、Sun の Web サイトのナレッジ記事が参照先として示されます。この Web サイトでは、fmadm またはほかの障害管理ユーティリティーを使った詳細情報の収集や追加タスクの実行を求められることがあります。fmd(1M)fmdump(1M)、および fmstat(1M) の各ドキュメントには、障害管理操作を監視するツールに関する詳しい説明があります。

Fault Manager が行う処理の 1 つに、コンポーネントの位置の追跡があります。シャーシレベルでは、fmadm *-alias サブコマンドはシャーシの chassis-name.chassis-serial から alias-id へのマッピングを管理します。管理された alias-id は、なんらかの意味のある方法でシャーシの物理的な位置を記述するためのものです。

fmadm ユーティリティーを使用するユーザーは、SYS_CONFIG 特権を持っている必要があります。Solaris 特権を構成する方法の詳細は、Oracle Solaris 11.2 でのシステムおよび接続されたデバイスのセキュリティー保護 を参照してください。fmadm load サブコマンドを使用するユーザーは、すべての特権を持っている必要があります。

サブコマンド

fmadm で使用できるサブコマンドは、次のとおりです。一部のサブコマンドは追加のオプションやオペランドを受け入れるか、または追加のオプションやオペランドが必要です。loadunloadreset、および rotate は、トレーニングを受けた技術担当者向けのサブコマンドです。これらのサブコマンドを使用する際には、ナレッジベース記事などの具体的な指針に従うことをお勧めします。

fmadm acquit fmri | label [uuid]

Fault Manager に、指定したリソースが uuid で識別される障害イベントで、または UUID が指定されていない場合は、検出されたどの障害でも疑わしいとは見なされないことを通知します。fmadm acquit サブコマンドは、Sun のドキュメントに記載されている修復手順で指示された場合にのみ使用してください。管理者は、以前に障害が発生したリソースを再度有効にするために、追加のコマンドを適用しなければならない場合があります。

fmadm acquit uuid

Fault Manager に、uuid で識別された障害イベントを安全に無視できることを通知します。fmadm acquit サブコマンドは、Sun のドキュメントに記載されている修復手順で指示された場合にのみ使用してください。管理者は、以前に障害が発生したリソースを再度有効にするために、追加のコマンドを適用しなければならない場合があります。

fmadm config

Fault Manager 自体の構成を表示します。これには、各コンポーネントモジュールのモジュール名、バージョン、および説明が含まれます。Fault Manager のモジュールは、システムに存在するハードウェアおよびソフトウェアに対して自動診断、自己修復、メッセージ配信などのサービスを提供します。

fmadm faulty [–afgiprsv] [–n max] [–u uid]

Fault Manager で現在障害があると見なされているリソースのステータス情報を表示します。

サポートしているオプションは、次のとおりです。

–a

すべての障害を表示します。 fmadm faulty コマンドのデフォルトでは、現時点で存在し、障害のあるリソースに関する出力が一覧表示されます。–a オプションを指定すると、自動的に修正された障害や、復旧操作を必要としない障害も含め、Fault Manager によってキャッシュされたすべてのリソース情報が表示されます。この一覧表示には、システムにすでに存在しない可能性があるリソースの情報も含まれます。

–f

障害のある FRU (現場交換可能ユニット) を表示します。

–g

FRU、クラス、および障害メッセージが同じ障害をグループ化します。

–i

Fault Manager 内の各リソースの永続的キャッシュ識別子を表示します。

–n max

障害またはリソースが –a または –g オプションでグループ化されている場合は、出力を max 個のエントリに制限します。

–p

各障害の間にフォームフィードを挿入して出力をページャーを介してパイプします。

–r

障害管理リソースを識別子 (FMRI) と障害管理状態とともに表示します。

–s

障害イベントごとに 1 行の障害サマリーを表示します。

–u uid

指定された uid の障害のみを表示します。

–v

完全な出力を表示します。

障害に対して複数の原因 (異なるクラスまたは異なる fru) が考えられる場合は、その確度が表示されます。同じ fru 上に複数のリソースがあり、障害がその fru に関連していることが 100% 確実でない場合は、その fru 上の考えられる原因の最大確度が表示されます。

Fault Manager は、受け取った遠隔測定情報を持つすべてのリソースに次の状態を割り当てます。

ok

リソースが存在し、使用中であり、Fault Manager に関するかぎり既知の問題はありません。

unknown

リソースが存在しないか、または使用不能ですが、既知の問題はありません。これは、管理者によってリソースが無効化または構成解除されたことを示している場合があります。詳細については、適切な管理ツールを参照してください。

faulted

リソースは存在しますが、Fault Manager の診断によって 1 つ以上の問題が見つかったため、使用不能です。システムにこれ以上の損害を与えないように、このリソースは無効化されています。

degraded

リソースが存在し、使用できますが、Fault Manager の診断によってこのリソースに 1 つ以上の問題が見つかりました。

影響を受けるすべてのリソースが同じ状態にある場合は、これがリストの最後にあるメッセージに反映されます。それ以外の場合は、影響を受ける各リソースのあとに状態が表示されます。

fmadm flush fmri

Fault Manager によってキャッシュされたリソースの情報を FMRI で指定してフラッシュします。このサブコマンドは、Sun のドキュメントに記載されている修復手順で指示された場合にのみ使用してください。Fault Manager がキャッシュを自動的に最新の状態に維持するため、通常はこのコマンドを使用する必要はありません。キャッシュから障害のあるリソースをフラッシュした場合、管理者は指定したリソースを有効にするために追加のコマンドを適用しなければならないことがあります。

fmadm load path

指定された Fault Manager モジュールを読み込みます。path は、絶対パスで指定し、モジュール用に定義されたいずれかのディレクトリに存在するモジュールを参照する必要があります。Fault Manager が Solaris の初期ブート時や必要な場合に自動的にモジュールを読み込むため、通常はこのコマンドを使用する必要はありません。

fmadm unload module

指定された Fault Manager モジュールを読み込み解除します。module は、fmadm config の出力に表示されたベース名を使って指定します。Fault Manager がシステム構成に基づいて自動的にモジュールの読み込みと読み込み解除を行うため、通常はこのコマンドを使用する必要はありません。

fmadm repaired fmri | label

Fault Manager に、指定したリソースに対して修復手順が実行されたことを通知します。fmadm repaired サブコマンドは、Sun のドキュメントに記載されている修復手順で指示された場合にのみ使用してください。管理者は、以前に障害が発生したリソースを再度有効にするために、追加のコマンドを適用しなければならない場合があります。

fmadm replaced fmri | label

Fault Manager に、指定したリソースが交換されたことを通知します。このコマンドは、Fault Manager が交換を自動的に検出できない場合に使用してください。fmadm replaced サブコマンドは、Sun のドキュメントに記載されている修復手順で指示された場合にのみ使用してください。管理者は、以前に障害が発生したリソースを再度有効にするために、追加のコマンドを適用しなければならない場合があります。

fmadm reset [–s serd] module

指定された Fault Manager モジュールまたはモジュールのサブコンポーネントをリセットします。–s オプションを指定すると、モジュール内部の指定した Soft Error Rate Discrimination (SERD) エンジンがリセットされます。–s オプションを指定しないと、モジュール全体がリセットされ、モジュールに関連付けられたすべての永続状態が削除されます。fmadm reset サブコマンドは、Sun のドキュメントに記載されている修復手順で指示された場合にのみ使用してください。Fault Manager がモジュールを自動的に管理するため、通常はこのコマンドを使用する必要はありません。

fmadm rotate errlog | fltlog | infolog | infolog_hival

rotate サブコマンドは、logadm が有効なログファイルを正しくローテーションできるようにするための、logadm(1M) のヘルパーコマンドです。これは、直接呼び出すようには設計されていません (直接呼び出すとログ履歴が失われる可能性が高くなります)。現在のログファイルのサイズが 0 でない場合に、適切なログファイルがローテーションされるようにするには、次のいずれかのコマンドを使用します。

# logadm -p now -s 1b /var/fm/fmd/errlog
# logadm -p now -s 1b /var/fm/fmd/fltlog
# logadm -p now -s 1b /var/fm/fmd/infolog
# logadm -p now -s 1b /var/fm/fmd/infolog_hival
fmadm add-alias chassis-name.chassis-serial alias-id ['comment']

add-alias サブコマンドは、alias-idchassis-name.chassis-serial シャーシの管理された別名として確立するために使用されます。管理された別名が定義されているときは、シャーシの /dev/chassis devchassis(7FS)名前空間表現では、chassis-name. chassis-serial ではなく、より意味のある alias-id が使用されます。

# fmadm add-alias SUN-Storage-J4410.1039QAQ007 RACK29.U25-28

上記のコマンドでは、新しいマッピングが既存のマッピングと競合しないことを検証します。競合する場合は、マッピングの変更は行われません。このサブコマンドは、関連付けられた名前空間の更新が完了したときに完了します。更新された名前空間が新しい alias-id を使用しない場合、警告が出力されますが、マッピングは更新されます。名前空間の更新に時間がかかりすぎる場合、警告が出力されます。

省略可能な注釈を指定した場合、注釈は保持され、後続の lookup-alias または list-alias コマンドによって表示されます。

fmadm remove-alias alias-id | chassis-name.chassis-serial

remove-alias サブコマンドは、chassis-name.chassis-serial から alias-id へのマッピングを削除するために使用します。

# fmadm remove-alias RACK29.U25-28

上記のサブコマンドは、関連付けられた名前空間の更新が完了したときに完了します。

fmadm lookup-alias alias-id | chassis-name.chassis-serial

lookup-alias サブコマンドは、現在のマッピングの内容を確認するために使用できます。コマンドの例を次に示します。

# fmadm lookup-alias SUN-Storage-J4410.1039QAQ007
fmadm list-alias

list-alias サブコマンドは、すべての注釈とマッピングを表示するために使用します。

fmadm sync-alias

sync-alias サブコマンドは、一連のマッピングを一括で手動インポートするために使用します。現在のマッピングは 2 つのコピーが保持されます。

  • /etc/dev/chassis_aliases

  • /etc/dev/.chassis_aliase

一連のマッピングを一括でインポートするには、/etc/dev/chassis_aliases ファイルを更新してから、sync-alias を実行します。

オプション

サポートしているオプションは、次のとおりです。

–q

非出力モードを設定します。操作が成功したときに、fmadm は標準出力に結果メッセージを出力しません。

オペランド

次のオペランドがサポートされています。

cmd

「サブコマンド」に示されているサブコマンドの名前。

args

選択したサブコマンドに対応する 1 つ以上のオプションまたは引数 (「サブコマンド」に示されているもの)。これらの引数としては、fmriuuidlabel などが挙げられます。これらは、fmadm サブコマンドの対象となるリソースを識別します。ある対象リソースの fmriuuid、および label を取得するには、fmadm faulty を使用します。「使用例」を参照してください。一般に、これらのオペランドの中でもっともユーザーにとってわかりやすいのは、label です。

使用例 1 faulty サブコマンドの呼び出し

次のコマンドは faulty サブコマンドを呼び出すことで、あるコンポーネントの uuidlabel、および fmri を表示しています。

# fmadm faulty
------------ ------------------------------------  ------------ ---------
TIME         EVENT-ID                              MSG-ID       SEVERITY
------------ ------------------------------------  ------------ ---------
Sep 09 16:15 96609fae-113c-e48c-b1cf-ebf4b0902d72  DISK-8000-3E Critical
                                                                
Problem Status  : solved [injected]
Diag Engine     : eft / 1.16 
System
   Manufacturer : Oracle-Corp.
   Name         : SUN-FIRE-X4170-SERVER
   Part Number  : unknown
   Serial Number: 0920XF508B

----------------------------------------
Suspect 1 of 1:
  Fault class: fault.io.scsi.cmd.disk.dev.rqs.derr
  Certainty  : 100% 
  Affects    : dev:///:devid=id1,sd@n5000c5000940edbb//scsi_vhci/disk@g\
                 5000c5000940edbb
  Status     : out of service, but associated components no longer faulty
  
   FRU  
      Status            : replaced
      Location          : DISK 11
      Manufacturer      : SEAGATE
      Name              : SEAGATE-ST330057SSUN300G
      Part Number       : SEAGATE-ST330057SSUN300G
      Revision          : 0205 
      Serial Number     : 000930G01CN4----3SJ01CN4
      Chassis
         Manufacturer   : Oracle-Corp.
         Name           : SUN-Storage-J4410
         Part Number    : 594-5329
         Serial Number  : 1037QAQ052
      ...
      ...

前述の出力で、uuidEVENT-ID 列の最初の項目 96609fae-113c-e48c-b1cf-ebf4b0902d72 です。label は、Location 行 DISK 11 内の FRU セクションにあります。

fmri は、fmdump –v で使用可能です:

# fmdump -v
Sep 09 16:15:36.9252 96609fae-113c-e48c-b1cf-ebf4b0902d72 DISK-8000-3E \
Diagnosed 100%  fault.io.scsi.cmd.disk.dev.rqs.derr

Problem in: hc://:scheme=:chassis-mfg=Oracle-Corp.:chassis-name=SUN-\ 
Storage-J4410:chassis-part=594-5329:chassis-serial=1037QAQ052/ses-\ 
enclosure=0/bay=11/disk=0

Affects: dev:///:devid=id1,sd@n5000c5000940edbb//\ 
scsi_vhci/disk@g5000c5000940edbb
FRU: hc://chassis-mfg=Oracle-Corp.:chassis-name=SUN-Storage-J4410\ 
:chassis-part=594-5329:chassis-serial=1037QAQ052:fru-mfg=SEAGATE\ 
:fru-name=SEAGATE-ST330057SSUN300G:fru-part=SEAGATE-ST330057SSUN300G\ 
:fru-revision=0205:fru-serial=000930G01CN4--------3SJ01CN4/\
ses-enclosure=0/bay=11/disk=0

Location: DISK 11

label がもっとも使用しやすい識別子です。

使用例 2 モジュール名の取得

次のコマンドは、各コンポーネントのモジュール名を表示しています。モジュール名は、fmadm unload コマンドの入力として指定します。

# fmadm config
MODULE                   VERSION STATUS  DESCRIPTION
cpumem-retire            1.1     active  CPU/Memory Retire Agent
disk-transport           1.0     active  Disk Transport Agent
eft                      1.16    active  eft diagnosis engine
..

終了ステータス

次の終了ステータスが返されます。

0

正常終了。

1

エラーが発生した。エラーには、fmd との通信の失敗や、要求された操作の実行に必要な特権の不足などが含まれます。

2

無効なコマンド行オプションが指定されました。

属性

属性についての詳細は、マニュアルページの attributes(5) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
system/fault-management
インタフェースの安定性
下記を参照。

コマンド行オプションは「確実」です。人間が読める形式の出力は非インタフェースです。

関連項目

fmd(1M), fmdump(1M), fmstat(1M), logadm(1M), syslogd(1M), attributes(5), devchassis(7FS)

Oracle Solaris 11 の管理の紹介