マニュアルページセク ション 1M: システム管理コマンド

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更新: 2014 年 7 月
 
 

ntfsclone(1M)

名前

ntfsclone - NTFS のクローン作成、イメージ作成、復元、またはレスキュー

形式

ntfsclone [options] source
ntfsclone --save-image [options] source
ntfsclone --resotore-image [options] source
ntfsclone --metadata [options] source

説明

ntfsclone ユーティリティーは効率的に、疎ファイル、イメージ、デバイス (パーティション)、または標準出力に、NTFS ファイルシステムのクローンを作成したり (コピー、保存、バックアップ、復元操作を含む)、NTFS ファイルシステムをレスキューしたりします。ディスクセクターレベルで機能し、書き込まれたデータだけ (つまり、空の領域以外) をコピーします。未使用のディスク領域は、0 になるか (疎ファイルにクローンを作成する場合)、制御コードで符号化されるか (特殊イメージ形式で保存する場合)、変更されずに残されるか (ディスク/パーティションにクローンを作成する場合)、または 0 で埋められます (標準出力にクローンを作成する場合)。

ntfsclone は、バックアップを作成 (NTFS ファイルシステムの正確なスナップショットを取得) して、あとから復元する場合に役立ちます。また、NTFS 読み取り/書き込み機能をテストする場合にも使用できます。トラブルシューティングにクローンを使用すれば、元のファイルシステムを破壊する心配がありません。

特殊イメージ形式 (後述の同名のセクションを参照) を使用しない場合、クローンは、元の NTFS ファイルシステムをセクターレベルで正確にコピーしたものになります。したがって、元の NTFS ファイルシステムとまったく同様にマウントすることもできます。たとえば、ファイルにクローンを作成し、カーネルがループバックデバイスおよび NTFS をサポートしている場合、そのファイルは、次のコマンドを使用してマウントできます。

# mount -t ntfs -o loop ntfsclone.img

Windows のクローン作成

システムまたはブートパーティションを、別のコンピュータまたは異なるディスクやパーティションに (たとえば /dev/dsk/c0d0p1 から /dev/dsk/c0d0p2 へ、/dev/dsk/c0d0p1 から /dev/dsk/c0d1p1 へ、または別のディスクセクターオフセットへ)、コピー、移動、または復元する場合は、十分に注意する必要があります。

ほとんどの環境では、Windows をブートするために、次の特性が元のパーティションおよびディスクと同じであるパーティションに、NTFS をコピー、移動、または復元する必要があります。

  • 開始セクターが同じ

  • ディスクのタイプが同じ

  • BIOS レガシーシリンダ設定が同じ

ntfsclone ユーティリティーは、NTFS の正確なコピーを保証しますが、ブートの問題には対処しません。これは仕様です。ntfsclone はシステムユーティリティーではなくファイルシステムユーティリティーです。NTFS のクローン作成だけを目的としており、Windows のクローン作成は目的としていません。このため、ntfsclone は、Windows のクローン作成用の非常に高速で信頼性の高い基本要素として使用できますが、完璧な解決策にはなりません。

疎ファイル

未割り当てブロック (穴) が含まれるファイルは「疎ファイル」と呼ばれます。このようなファイルは常に、報告されるサイズが、実際に消費しているディスク容量よりも大きくなります。du(1) コマンドは、疎ファイルが使用する実際のディスク容量を報告します。穴は常に 0 として読み取られます。ext2ext3reiserfsReiser4、JFS、XFS などの主要な Linux ファイルシステムはすべて、疎ファイルをサポートしています。ただし、ISO 9600 CD-ROM ファイルシステムなど、サポートしていないものもあります。

特殊イメージ形式

NTFS ファイルシステムは、特殊イメージ形式で保存することをお勧めします。未割り当てブロックは穴として表されず、制御コードを使用して符号化されます。したがって、疎ファイルをサポートしていなくても、イメージに領域が保存されます。このイメージ形式は、ファイルシステムイメージをネットワークでストリーミングする場合に最適です。特殊イメージ形式のデメリットは、イメージを直接マウントできないという点です。最初に復元しておく必要があります。

特殊イメージ形式を使用してイメージを保存するには、–s または –-save-image オプションを使用します。イメージを復元するには、–r または –-restore-image オプションを使用します。ソースファイルとしてハイフン (-) を使用すると、標準入力からイメージを復元できます。

メタデータのみのクローン作成

–m または –-metadata オプションを使用すると、ntfsclone は NTFS メタデータのみを保存することができ、クローンを引き続きマウントできます。この使用法では、メタデータ以外のファイル内容がすべて失われ、データを読み戻すと、すべてが 0 になります。

メタデータのみのイメージは高い圧縮率で圧縮できます。通常、1 - 8M バイトの範囲のサイズに圧縮されます。このことは、このようなイメージを調査やトラブルシューティングのために転送する場合に役立ちます。

メタデータのみのモードでは、ntfsclone は、メタデータに埋め込まれた常駐ユーザーデータなど、一切のユーザーデータを保存しません。すべて 0 で埋められます。さらに、すべてのファイルタイムスタンプと、メタデータ内の削除済み領域および未使用領域が、0 で埋められます。したがってこのモードは、フォレンジック分析などには適していません。

ファイル名は削除されません。ファイル名には機密情報が含まれる場合があるので、メタデータのみのイメージを送信する前に、セキュリティーまたはプライバシーの侵害の可能性を考慮してください。

オプション

サポートされているオプションを次に示します。ほとんどのオプションには、単一文字と完全名の両方の形式があります。引数を取らない単一文字オプションは複数を組み合わせることができます。たとえば、–fv–f –v と同等です。完全名のオプションは、その名前の一意の接頭辞に短縮できます。

–f––force

整合性検査によりファイルシステムに「ダーティー」のマークが付けられている場合でも、ntfsclone を強制的に続行させます。

–h––help

それぞれの簡単な説明が付いたオプションのリストを表示します。

–i––ignore-fs-check

ファイルシステムの整合性検査の結果を無視します。このオプションは、–-meta-data オプションとのみ一緒に使用できます。不一致の原因となるすべてのクラスタが保存されます。

–m––metadata

メタデータのみのクローンを作成します。このオプションを指定する場合、ファイルにのみクローンを作成する必要があります。

–o––output file

存在しない file に NTFS のクローンを作成します。file がハイフン (-) の場合は、クローンは標準出力に作成されます。

–O––overwrite file

NTFS のクローンを file に作成します。file がすでに存在する場合はこれを上書きします。

––rescue

ディスク読み取りエラーを無視します。不良セクターが含まれるディスク (障害の発生したディスクなど) を、ディスクへの影響を最小限に抑えてレスキューできるようになります。このモードでは、ntfsclone は、より多くのデータをレスキューできるように最低のセクターレベルで動作します。読み取り不可能なセクターの内容は疑問符 (?) 文字で埋められます。このようなセクターの先頭には、BadSector という文字列のマークが付けられます。

–r––restore-image source

source で指定された特殊イメージ形式から復元します。source がハイフン (-) の場合は、イメージは標準入力から読み取られます。

–s––save-image

特殊イメージ形式で保存します。イメージを標準出力に作成する場合、領域の使用率および速度の点で、このオプションがもっとも効率的です。このオプションは、イメージの圧縮、暗号化、またはネットワークでのストリーミングに役立ちます。

使用例 1 上書きオプションを使用してクローンを作成する

次のコマンドは、––overwrite オプションを使用してクローンを作成します。

# ntfsclone --overwrite /dev/dsk/c0d2p1 /dev/dsk/c0d0p1
使用例 2 特殊イメージ形式で保存する

次のコマンドは、元のパーティションに特殊イメージ形式でクローンを作成します。

# ntfsclone --save-image --output backup.img /dev/dsk/c0d0p1
使用例 3 特殊イメージファイルから復元する

次のコマンドは、特殊イメージファイルから NTFS を復元します。

# ntfsclone --restore-image --overwrite /dev/dsk/c0d0p1 backup.img
使用例 4 圧縮イメージに保存する

次のコマンドは、圧縮イメージファイルに NTFS を保存します。

# ntfsclone --save-image -o - /dev/dsk/c0d0p1
使用例 5 圧縮イメージから復元する

次のコマンドは、圧縮イメージファイルから NTFS ボリュームを復元します。

# gunzip -c backup.img.gz | \
ntfsclone --restore-image --overwrite /dev/dsk/c0d0p1 -
使用例 6 ssh を使用してリモートホストにバックアップを作成する

次のコマンドは、ssh(1) を使用してリモートホストにバックアップを作成します。ssh にはパスワードが必要な場合があります。

# ntfsclone --save-image --output - /dev/dsk/c0d0p1 | \
gzip -c | ssh host `cat > backup.img.gz`
使用例 7 ssh を使用してリモートホストから復元する

次のコマンドは、ssh(1) を使用してリモートホストから復元します。ssh にはパスワードが必要な場合があります。

# ssh host `cat backup.img.gz` | gunzip -c  | \
ntfsclone --restore-image --overwrite /dev/dsk/c0d0p1 -
使用例 8 Web サーバーからイメージファイルをストリーミングする

次のコマンドは、Web サーバーからイメージファイルをストリーミングして、パーティションに復元します。

# wget -qO - http://server/backup.img | \
ntfsclone --restore-image --overwrite /dev/dsk/c0d0p1 -
使用例 9 新しいファイルにクローンを作成する

次のコマンドは、存在しないファイルに NTFS ボリュームのクローンを作成します。

# ntfsclone --output ntfs-clone.img /dev/dsk/c0d0p1
使用例 10 NTFS メタデータを圧縮する

次のコマンドは、NTFS メタデータをイメージファイルに圧縮します。bzip2gzip よりも時間がかかりますが、圧縮後のアーカイブのサイズは gzip に比べて最高で 10 分の 1 になります。

# ntfsclone --metadata --output ntfsmeta.img /dev/dsk/c0d0p1
bzip2 ntfsmeta.img
使用例 11 NTFS メタデータを展開する

次のコマンドは、NTFS メタデータを疎ファイルに展開します。

# bunzip2 -c ntfsmeta.img.bz2 | \
cp --sparse=always /proc/self/fd/0 ntfsmeta.img

終了ステータス

リターンコードは成功した場合は 0 に、失敗した場合は 0 以外になります。

属性

属性についての詳細は、マニュアルページの attributes(5) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
system/file-system/ntfsprogs
インタフェースの安定性
不確実

関連項目

du(1), ssh(1), ntfsresize(1M), ntfsundelete(1M), parted(1M), attributes(5)

著者

著者

ntfsclone は、Per Olofsson (特殊イメージ形式のサポート) と Anton Altaparmakov の協力の下、Szabolcs Szakacsits が作成しました。