マニュアルページセク ション 1: ユーザーコマンド

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更新: 2014 年 7 月
 
 

mv(1)

名前

mv - ファイルの移動

形式

/usr/bin/mv [-fi] source target_file
/usr/bin/mv [-fi] source...  target_dir
/usr/xpg4/bin/mv [-fi] source target_file
/usr/xpg4/bin/mv [-fi] source...  target_dir

説明

第 1 の形式の mv ユーティリティーは、source オペランドが示すファイルを target_file が示す宛先に移動します。sourcetarget_file に同じ名前を指定することはできません。target_file が存在しない場合、mvtarget_file という名前のファイルを作成します。target_file が存在していれば、その内容は上書きされます。最終オペランドが既存のディレクトリを示していないとき、mv はこの第 1 形式であると見なします。

第 2 の形式の mv は、 source オペランドで指定された各ファイルを target_dir オペランドが示す既存ディレクトリ中のファイルに移動します。各 source 用の宛先パス名は、宛先ディレクトリ名のあとにスラッシュ (/) と source の最終パス名部分を付加したものとなります。オペランドが既存のディレクトリを示しているとき、mv はこの第 2 形式であると見なします。

mv は、target_file のモードが書き込み禁止であると判断すると、モードを表示し (chmod(2) を参照)、応答を要求して、標準入力を 1 行読み取ります。応答が肯定である場合、使用可能ならば mv が実行されます。 それ以外の場合、このコマンドは終了します。target が ACL に関連付けられている場合、モードはアクセス権を完全には表示しません。source の親ディレクトリが書き込み可能でスティッキ・ビットセットを持っている場合、次の条件のうち 1 つ以上が真である必要があります。

  • ユーザーはファイルを所有している必要がある

  • ユーザーはディレクトリを所有している必要がある

  • ファイルはユーザーが書き込み可能である必要がある

  • ユーザーは特権ユーザーである必要がある

source がファイルで target_file が複数のリンクを持っている別のファイルへのリンクで ある場合、ほかのリンクは残存し、target_file は新しいファイルになります。

sourcetarget_file/target_dir が異なるファイルシステム上にある場合、mv はソースファイルをコピーし、もとのファイルまたはディレクトリを削除します。ほかのファイルへのハードリンクはすべてなくなります。mv は、ソースファイルの特性 (ファイルの所有者 ID やグループ ID、アクセス権モード、修正時間やアクセス時間、および適用可能であれば ACL と拡張属性) も対象ファイルに引き継ごうとします。シンボリックリンクに対しては、mv はリンク自体の所有者 ID やグループ ID だけを保存します。

所有者 ID やグループ ID を保存できなかった場合、mv は対象ファイルの S_ISUID ビットと S_ISGID ビットをクリアします。これらのビットをクリアーできない場合、mv は標準エラー出力に診断メッセージを出力しますが、終了ステータスには影響を及ぼしません。ターゲットのファイルシステムが拡張属性をサポートしていない場合、mv は拡張属性を保持できません。/usr/xpg4/bin/mv が、ファイルの特性を引き継ごうとして失敗したその他すべてのエラーについて、標準エラー出力に診断メッセージを出力します。終了コードには影響しません。

ソースファイルの特性を保存するには、ユーザーが適切なファイルのアクセス権を持っている必要があります。つまり、スーパーユーザーになるか、あるいは対象ファイルと同じ所有者 ID を持つことが必要です。

オプション

サポートしているオプションは、次のとおりです。

–f

mv は、既存の target に書き込む場合でもプロンプトを出さずにファイルを移動します。標準入力が端末でない場合これがデフォルトになることに注意してください。

–i

mv は、移動により既存の target が上書きされる場合は、必ず、確認のプロンプトを出します。これは、入力が端末から送られているかどうかに関係なく実行されます。確認のプロンプトでエラーが発生した場合は、ユーザーによる否定応答と同等です。肯定を応答すれば、移動処理は続行されます。その他の応答では、mvtarget を上書きしません。

/usr/bin/mv

–f–i のオプションを両方指定してもエラーとは見なされません。–f オプションは、–i オプションよりも優先されます。

/usr/xpg4/bin/mv

–f–i のオプションを両方指定してもエラーとは見なされません。最後に指定したオプションが mv の動作を決定します。

オペランド

次のオペランドがサポートされています。

source

移動するファイルまたはディレクトリのパス名

target_file

移動するファイルまたはディレクトリの新たなパス名

target_dir

ファイルの移動先となる既存ディレクトリのパス名

使用法

ファイルが 2G バイト (231 バイト) 以上ある場合の mv の動作については、largefile(5) を参照してください。

環境変数

mv の実行に影響を与える次の環境変数についての詳細は、environ(5) を参照してください。LANG、 LC_ALL 、LC_COLLATE、LC_CTYPE、LC_MESSAGES、および NLSPATH。

肯定応答は、ユーザーのロケールの LC_MESSAGES カテゴリの yesexpr キーワードで定義されている拡張正規表現を使用して処理されます。LC_COLLATE カテゴリに指定されているロケールは、yesexpr に定義されている式に使用される範囲、同等クラス、および複数文字照合要素の動作を定義します。LC_CTYPE に指定されているロケールは、テキストデータのバイト列を文字として解釈するロケールや、yesexpr に定義されている式に使用される文字クラスの動作を定義します。locale(5) を参照してください。

終了ステータス

次の終了ステータスが返されます。

0

入力ファイルはすべて正常に移されました。

>0

エラーが発生した。

属性

属性についての詳細は、マニュアルページの attributes(5) を参照してください。

/usr/bin/mv

属性タイプ
属性値
使用条件
system/core-os
CSI
有効
インタフェースの安定性
確実

/usr/xpg4/bin/mv

属性タイプ
属性値
使用条件
system/xopen/xcu4
CSI
有効
インタフェースの安定性
標準

関連項目

cp(1), cpio(1), ln(1), rm(1), setfacl(1), chmod(2), attributes(5), environ(5), fsattr(5), largefile(5), standards(5)

-- によって、ユーザーはコマンド行オプションの終端を明示的にマーク付けできるので、mv- で始まるファイル名引数を認識できるようになります。BSD 移行のサポートとして、mv--- の同義語として受け入れます。この導入補助は、将来のリリースでは提供されない可能性があります。