マニュアルページセク ション 1: ユーザーコマンド

印刷ビューの終了

更新: 2014 年 7 月
 
 

tip(1)

名前

tip - リモートシステムへ接続する

形式

 tip [-v] [-speed-entry] {hostname | phone-number | device} 

説明

tip ユーティリティーはリモートホストに対し、全二重端末接続を確立します。いったん接続が確立されると、tip を使用したリモートセッションはローカル端末での対話型セッションのように振舞います。

remote ファイルは tip が使用するリモートシステムと回線速度のことを記述したエントリを含みます。

各ホストは接続に対してデフォルトのボーレートを持っています。特定のスピードを設定する場合は、speed-entry コマンド行の引数として指定します。

phone-number が指定されると、tipremote ファイルに次の形式のエントリを探します:

tip -speed-entry

tip がこのようなエントリを見つけた場合は、それに従って接続速度を設定します。そのようなエントリを見つからない場合はtip は、speed-entry をシステム名のように解釈し、エラーメッセージを出します。

speed-entry を省略した場合、tiptip0 エントリを使用して接続速度を設定します。

device が指定されると、tip はそのデバイスを開こうとします。しかしその際、tip の通常アクセス特権 (setuid uucp) ではなく、ユーザー特権でアクセスします。そのユーザーはそのデバイスへの読み取り/書込み権限がなければなりません。tip ユーティリティーはどんなキャラクタ文字列でもスラッシュ文字 ( / ) で始まるものをデバイス名として解釈します。

接続を確立すると、tip は接続メッセージをリモートシステムへ送信します。メッセージのデフォルト値は remote ファイルにあります。

リモートシステムに接続を試みる際、tipは、exclusive-open ioctl(2) 呼び出しで関連デバイスをオープンします。このように、一度に一ユーザーのみがデバイスにアクセスできます。これは端末回線をマルチプロセスがサンプリングすることを回避するためです。さらに、tipuucp(1C) の使用するロッキングプロトコルを尊重します。

tip が起動すると、それはファイル .tiprc からユーザーのホームディレクトリへコマンドを読み込みます。

オプション

–v

実行に従い、.tiprc ファイルからコマンドを表示します。

使用法

入力した文字列は通常エコーされることなく直接リモートマシンへ転送されます。

tip がプロンプトを表示する場合 (たとえば、ファイル転送の設定中に)、入力した行は標準の削除および kill 文字で編集できます。プロンプトに対して空行を入力したり、中断を実行したりすると、対話が終了してリモートマシンへ戻ります。

コマンド

行の最初にあるチルダ (~) はエスケープ信号で、tip に何か特別の動作をさせます。tip は次のエスケープシーケンスを理解します:

~^D
~.

接続を破棄し終了する (ユーザーはまだリモートマシンにログイン中)。注意: rlogin した上でリモートホスト上で tip を実行中の場合、 tip セッションを終了するために ~~. (チルダチルダドット) を入力しなければなりません。~. (チルダドット)を入力すると、rlogin を終了してしまいます。

~c [name]

ディレクトリを name に変えます。何の引数も与えなければ自分のホームディレクトリへ移ります。

~!

ローカルマシンで対話型シェルにエスケープします。シェルから抜けると tip へ戻ります。

~>

ローカルからリモートへファイルをコピーします。

~<

リモートからローカルへファイルをコピーします。

~p from [ to ]

UNIX システムを実行しているリモートホストへファイルを送ります。put コマンドを使用すると、リモートシステムはコマンド文字列を実行します。

cat > to

tip がそれを from ファイルへ送ります。to ファイルを指定していなければ、from ファイル名が使用されます。このコマンドは実際 UNIX システム固有バージョンの `~>' コマンドです。

~t from [ to ]

UNIX システムを実行しているリモートホストからファイルを取得します。put コマンドにおける to ファイルのようにファイル名を指定しなければ from ファイル名が標準になります。リモートホストは以下のコマンド行を実行して

cat from ;  echo ^A

ファイルを tip へ送ります。

~|

リモートコマンドの出力をローカルプロセスへパイプします。ローカルシステムへ送られたコマンド文字列はシェルで処理されます。

~C

プログラムをリモートマシンへ接続します。プログラムへ送られたコマンド文字列はシェルで処理されます。プログラムはファイル記述子 0 をリモート入力行、 1 をリモート出力行、 2 を tty 標準エラーとして継承します。

~$

ローカルプロセスの出力をリモートホストへパイプします。ローカルシステムへ送られたコマンド文字列はシェルで処理されます。

~#

BREAK をリモートシステムへ送ります。

~s

変数を設定します(下記参照)。

~^Z

tip を終了します。C シェルのようにジョブ制御をサポートするシェルの元で実行した場合にのみ使用可能です。

~^Y

tip の "local side" のみを停止し ま す。C シェルのようにジョブ制御をサポートするシェルの元で実行した場合にのみ使用可能です。tip の "remote side"、すなわち、リモートホストからの出力を表示する側面は実行し続けるということです。

~?

チルダエスケープのサマリーを取得します。

ファイルのコピーにはリモートホストの協力をいくらか必要とします。ファイルを送るために ~> または ~< エスケープを使用する場合、tip は (送信または受信する) ファイル名を求めます。そしてリモートホストからファイルを受信する場合、リモートホストへコマンドが送信されます。tip がファイルを転送中、転送行数はスクリーンに表示され続けます。ファイル転送は割り込みによって中断されます。

Auto-call ユニット

tip は、多くの auto-call ユニット (ACU) を使用したリモートホストへのダイアルアップに使用することができます。リモートシステムの説明が du 機能を含んでいれば、tip は提供された call ユニット (cu)、ACU タイプ (at)、電話番号 (pn) を使用します。通常、tip ダイアル中に詳細なメッセージを表示します。

接続の確立に使用した auto-dialer の種類によっては、接続時に、リモートホストに文字化けした内容が送信されているかもしれません。別ホストに向けて最初に入力した文字が必ず最初に届くとは限りません。推奨されるやり方は接続確立したところでただちに kill 文字を入力することです。(ほとんどの UNIX システムは @ か Control-U を初期 kill 文字としてサポートしています)。

tip は今のところ Ventel MD-212+ モデムと DC Hayes 互換モデムをサポートしています。

tip がダイアルするために Hayes 互換モデムを初期化すると、 それはモデムを auto-answer に設定します。通常、通信が終了すると、tip はDTR を落としモデムを "hang up" させます。

ほとんどのモデムは DTR が落ちたとき、自分でプログラム以前の状態に再初期化するよう、構成できます。必要な場合は、この方法でモデムをリセットし auto-answer を無効にできます。

さらに、電話番号をヘイズの S コマンドで開始して、モデムをダイアル前に構成することができます。たとえば、auto-answer を無効にするには、pn=S0=0DT5551212 のようにして全電話番号を /etc/remote の中に設定できます。S0=0 は auto-answer を無効にします。

リモートホストの説明

リモートホストの説明は通常 system-wide ファイル /etc/remote の中に あります。 しかし、ユーザーは個人的な説明のファイル(と電話番号を) シェル変数 REMOTE に定義してエクスポートすることもできます。remotetip によって読み取り可能でなければなりません。しかし電話番号を記述したセカンダリファイルはユー ザーによってのみ読み取り可能でも構いません。このセカンダリ電話番号ファイルはシェル変数 PHONES が定義されエクスポートされない限り /etc/phones です。電話番号ファイルは以下の書式に従った行を含みます:

system-name phone-number

システムのための各電話番号は接続を確立するかファイルの終わりに到達するまで試されます。電話番号は `0123456789−=*' で構成されます。`=' と `*' は第二発信音を (ACU に応じて) 待つべきであるということを示すために使用されます。

tip の内部変数

tip は通常の操作に使用する変数のセットを持っています。これらの変数のいくつかは一般ユーザーには読み取り専用です。(root ユーザーは何でも変更することができます)。変数は ~s エスケープ で表示、設定できます。変数の構文は vi(1)mail(1) にならって作られています。all~s エスケープの引数として与えることでユーザーが読むことの出来るすべての値が表示されます。 その代わりに、? ユーザーは最後に ? をつけることで指定の値を表示するよう要求できます。たとえば、`~s escape?' は現在のエスケープ文字を表示します。

値は数値 (num)、文字列 (str)、文字型 (char)またははブール (bool) 値です。ブール値は単に名前を特定するためにのみ設定されます。それらは名前の先頭に ! を追加することでリセットされるかもしれません。他の変数は = と値を後ろに付けることで設定します。全割り当てに空白があってはいけません。1 セットのコマンドで値の数値を調べたり設定したりできます。

変数は実行時に設定コマンドを(~s を前につけることなしに)ユーザーのホームディレクトリにある .tiprc ファイルに記述することで初期化できます。–v オプションは tip が設定されたとおりに表示します。# の印をつけたコメントを .tiprc ファイルの中に記述できます。

最後に、変数名は完全に指定するか省略形も指定できます。次に示すのは tip の理解できる変数です。

beautify

(bool) セッションが用意されると出力不可能な文字列を破棄します。 省略形 benb 能力がある場合は、beautify はまず off に設定されます。そうでない場合は、beautify はまず on に設定されます。

baudrate

(num) 接続確立時のボーレート。省略形は ba。ボーレートがコマンド行で指定された場合は、baudrate はまず指定した値に設定されます。または、br 能力がある場合は、baudrate はまずその能力に合わせて設定されます。そうでない場合は、baudrate は 300 ボーに設定されます。いったん tip が起動すると、baudrate はスーパーユーザーのみが変更できます。

dialtimeout

(num) 電話番号をダイヤルしているとき、接続が確立するまでに待つ時間(秒)。省略形は dialdialtimeout はまず 60 秒に設定され、スーパーユーザーのみが変更できます。

disconnect

(str) 切断するためにリモートホストへ送る文字列。省略形は didi 能力がある場合は、disconnect はまずその能力に合わせて設定されます。そうでない場合は、disconnect は NULL 文字列 ("")に設定されます。

echocheck

(bool) 転送された最終文字のエコーを待つことでファイル転送中にリモートホストと同期します。省略形は ecec 能力がある場合は、echocheck はまず on に設定されます。そうでない場合は、echocheck はまず off に設定されます。

eofread

(str) ファイル転送コマンド ~< の最中に転送終了を示す文字列。省略形は eofrie 能力がある場合は、eofread はまず値をその能力に設定します。そうでない場合は、eofread は NULL 文字列 ("") に設定されます。

eofwrite

(str) 文字列はファイル転送コマンド ~> の最中に転送終了を示す文字列。省略形は eofwoe 能力がある場合は、eofread はまず値をその能力に設定します。そうでない場合は、eofread は NULL 文字列 ("") に設定されます。

eol

(str) 行の終わりを示す文字列。tip は end-of-line の後でのみエスケープ文字を認識します。el 能力がある場合は、eol はまずその能力に合わせて設定されます。そうでない場合は、eol は NULL 文字列 ("")に設定されます。

escape

(char) (escape) 文字列を頭につけるコマンド。省略形は eses 能力がある場合は、escape はまずその能力に合わせて設定されます。そうでない場合、escape は ` ~ ' に設定されます。

etimeout

(num) echocheck が設定されているとき、tip がエコーチェックの応答を待たなければならない時間 (秒単位)。省略形は etet 能力がある場合は、etimeout はまずその能力に合わせて設定されます。そうでない場合は、etimeout は 10 秒に設定されます。

exceptions

(str) beautify スイッチによって破棄してはいけない文字列。省略形は exex 能力がある場合は、exceptions はまずその能力に合わせて値を設定します。そうでない場合は、exceptions は `\t\n\f\b' に設定されます。

force

(char) リテラルデータ転送を強制するための文字列。省略形は fofo 能力がある場合は、force はまず値をその能力に合わせて設定します。そうでない場合は、force\377 (使用不能)に設定されます。

framesize

(num) ファイル受信時にファイルシステム書込み間でバッファーするデータ量 (バイト単位)。省略形は frfs 能力がある場合は、framesize はまず値をその能力に合わせて設定します。そうでない場合は、framesize1024 に設定されます。

halfduplex

(bool) ホストが半二重なのでローカルエコーを行います。省略形は hdxhd 能力がある場合は、halfduplex はまず on に設定されます。そうでない場合は、halfduplex はまず off に設定されます。

hardwareflow

(bool) ハードウェアフロー制御を行います。省略形は hfhf 能力がある場合は、hardwareflow はまず on に設定されます。そうでない場合は、hardwareflowcontrol はまず off に設定されます。

host

(str) 接続したホストの名前。省略形は hohost はコマンド行上で与えられるか HOST 環境変数で設定した名前に恒久的に設定されます。

localecho

(bool) halfduplex と同義。省略形は le

log

(str) 外向けの電話かけに関するログ情報ファイルの名前。log はまず /var/adm/aculog に設定されます。それからスーパーユーザーのみが調査または変更できます。

parity

(str) リモートホストに更新するときパリティーが生成されチェックされます。 省略形 par。指定できる値は次のとおりです。

none>
zero

入力ではパリティーはチェックされません。そして出力ではパリティーはゼロに設定されます。

one

入力ではパリティーはチェックされません。そして出力ではパリティービットが設定されます。

even

入力では偶数パリティーがチェックされ、出力では生成されます。

odd

入力では奇数パリティーがチェックされ、出力では生成されます。

pa 能力がある場合は、parity はまず値をその能力に設定します。 そうでない場合は、paritynone に設定されます。

phones

隠し電話番号を入れておくファイル。もし環境変数 PHONES が設定されていれば、phones は PHONES の値に設定されます。そうでない場合は、phones/etc/phones に設定されます。phones の値は tip から変更することはできません。

prompt

(char) リモートホストで「行の終端」を示す文字列。省略形 pr。この値はデータ転送中、同期を行うために使用されます。ファイル転送コマンド中の行数はこの文字列の受領によって確定します。pr 能力がある場合は、 prompt はまず値をその能力に合わせ ます。そうでない場合は、prompt\n に設定されます。

raise

(bool) 大文字マッピングモード。省略形は ra。このモードが有効化されていると、リモートマシンとの転送においてすべての文字は tip によって大文字に割り当てられます。ra 能力がある場合は、raise はまず on に設定されます。そうでない場合は、raise はまず off に設定されます。

raisechar

(char) 大文字マッピングモードを切り替える入力文字。省略形は rcrc 能力がある場合は、raisechar はまずその能力に合わせて設定されます。そうでない場合は、raisechar\377 (使用不能)に設定されます。

rawftp

(bool) ファイル転送中に全文字列を送信します。印刷不可能文字をフィルタせず、\n\r にのような変換を行わない。省略形は rawrw 能力がある場合は、rawftp はまず on に設定されます。そうでない場合は、rawftp はまず off に設定されます。

record

(str) セッションスクリプトが記録されるファイル名。省略形は recre 能力がある場合は、record はまずその能力に合わせて設定されます。そうでない場合は、recordtip.record に設定されます。

remote

リモートシステム説明を記載したファイル。環境変数 REMOTE が設定されていれる場合、remote は REMOTE の値に設定されます。そうでない場合は、remote/etc/remote に設定されます。 remote の値は tip で変更することはできません。

script

(bool) セッションスクリプトモード。省略形は scscripton の時、tip はリモートホストによって転送されたすべてを record の中に指定されたスクリプト記録ファイルに記録します。beautify スイッチが on の場合、ASCII 文字のみがスクリプトファイルに含まれます。(これらの文字は 040 と 0177 の間 です)。値 exceptions は通常の beautify ルールにはずれる文字を示すために使用します。sc 能力がある場合は、script はまず on に設定されます。そうでない場合は、 script はまず off に設定されます。

tabexpand

(bool) ファイル転送中 TAB 文字を SPACE 文字に展開します。 省略形 tabtabexpandon のとき、各 tab は 8 つの SPACE 文字に展開されます。tb 能力があればtabexpand はまず on に設定されます。そうでない場合は、tabexpand はまず off に設定されます。

tandem

(bool) リモートホストから送られるデータのレートを制限するために XON/XOFF フロー制御を使用します。省略形は tant 能力がある場合は、tandem はまず off に設定されます。そうでない場合は、tandem はまず on に設定されます。

verbose

(bool) 冗長モード。省略形は verb。冗長モードが有効な場合、tip はダイアル中にメッセージを、ファイル転送操作中に現在の電話番号を、さらに多くを表示します。nv 能力がある場合は、verbose はまず off に設定されます。そうでない場合は、verbose はまず on に設定されます。

SHELL

(str) ~! コマンドに使用されるシェル。標準値は /bin/sh です、そうでない場合は環境から取得されます。

HOME

(str) ~c コマンドの使用するホームディレクトリ。標準値は環境から取得されます。

使用例 1 tip コマンドを使う

ファイル転送に使用するダイアログの例は以下の通りです。

arpa% tip monet
[connected]
...(assume we are talking to a UNIX system)...
ucbmonet login: sam
Password:
monet% cat  sylvester.c
~> Filename: sylvester.c
32 lines transferred in 1 minute 3 seconds
monet%
monet% ~< Filename: reply.c
List command for remote host: cat reply.c
65 lines transferred in 2 minutes
monet%
...(or, equivalently)...
monet% ~p sylvester.c
...(actually echoes as ~[put] sylvester.c)...
32 lines transferred in 1 minute 3 seconds
monet%
monet% ~t reply.c
...(actually echoes as ~[take] reply.c)...
65 lines transferred in 2 minutes
monet%
...(to print a file locally)...
monet% ~|Local command: pr h sylvester.c | lpr
List command for remote host: cat sylvester.c
monet% ~^D
[EOT]
...(back on the local system)... 

環境変数

次の環境変数は tip によって読み込まれます。

REMOTE

remote ファイルの場所。

PHONES

個人電話番号が記載されているファイルの場所。

HOST

デフォルト接続先ホスト。

HOME

ユーザーのログインディレクトリ(chdirs のために)。

SHELL

`~!' エスケープでフォークするシェル。

ファイル

/etc/phones

/etc/remote

/var/spool/locks/LCK. .*

UUCP との競合を避けるためのロックファイル

/var/adm/aculog

外向けの発信がログされるファイル

~/.tiprc

初期化ファイル

属性

属性についての詳細は、マニュアルページの attributes(5) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
system/core-os

関連項目

cu(1C), mail(1), uucp(1C), vi(1), ioctl(2), attributes(5)

バグ

2 つの追加変数 chardelaylinedelay があるが現在は実装していない。