Oracle® Solaris Studio 12.4: Fortran ユーザーズガイド

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更新: 2014 年 12 月
 
 

2.6 ユーザー指定のデフォルトオプションファイル

デフォルトのコンパイラオプションファイルによって、ユーザーは別の方法で上書きされないかぎり、すべてのコンパイルに適用されるデフォルトオプションのセットを指定できます。たとえば、ファイルによって、すべてのコンパイルのデフォルトを —xO2 としたり、またはファイル setup.il を自動的に含めたりするように指定できます。

コンパイラは起動時に、すべてのコンパイルに含めるべきデフォルトオプションがリストされているデフォルトオプションファイルを検索します。環境変数 SPRO_DEFAULTS_PATH は、デフォルトファイルを検索するディレクトリのコロン区切りリストを指定します。

環境変数が設定されていない場合、標準のデフォルトセットが使用されます。環境変数が設定されているが空の場合、デフォルトは使用されません。

デフォルトファイルの名前は compiler.defaults の形式である必要があります。compiler は cc、c89、c99、CC、ftn、または lint のいずれかです。たとえば、Fortran コンパイラのデフォルトは、ftn.defaults となります。

SPRO_DEFAULTS_PATH にリストされたディレクトリにコンパイラ用のデフォルトファイルが見つかった場合、コンパイラはファイルを読み取り、コマンド行でオプションを処理する前にオプションを処理します。最初に見つかったデフォルトファイルが使用され、検索は終了します。

システム管理者は、システム全体のデフォルトファイルを Studio-install-path/lib/compilers/etc/config に作成できます。環境変数が設定されている場合、インストールされたデフォルトファイルは読み取られません。

デフォルトファイルの形式はコマンド行と同様です。ファイルの各行には、1 つ以上のコンパイラオプションを空白で区切って含めてもかまいません。ワイルドカードや置換などのシェル展開は、デフォルトファイル内のオプションには適用されません。

SPRO_DEFAULTS_PATH の値と、完全に展開されたコマンド行は、—dryrun オプションによって生成される詳細出力に表示されます。

ユーザーによってコマンド行で指定されたオプションは、通常、デフォルトファイルから読み取られたオプションをオーバーライドします。たとえば、—xO4 でのコンパイルがデフォルトファイルで指定されており、ユーザーがコマンド行で —xO2 を指定した場合、—xO2 が使用されます。

デフォルトオプションファイルに記載されているオプションの一部は、コマンド行で指定されたオプションのあとに付加されます。これらは、プリプロセッサオプション —I、リンカーオプション —B、—L、—R—l、および、ソースファイル、オブジェクトファイル、アーカイブ、共有オブジェクトなどのすべてのファイル引数です。

次に示すのは、ユーザー指定のデフォルトコンパイラオプション起動ファイルがどのように使用される可能性があるかの例です。

demo% cat /project/defaults/ftn.defaults
-I/project/src/hdrs —L/project/libs —llibproj —xvpara
demo% setenv SPRO_DEFAULTS_PATH  /project/defaults
demo% f95 —c —I/local/hdrs —L/local/libs —lliblocal tst.f

現在、このコマンドは次と同義です。

f95 -fast —xvpara —c —I/local/hdrs —L/local/libs —lliblocal tst.f \ 
     —I/project/src/hdrs —L/project/libs —llibproj

コンパイラデフォルトファイルはプロジェクト全体のデフォルトを設定するための便利な方法ですが、問題の診断を困難にする原因になる場合もあります。このような問題を回避するには、環境変数 SPRO_DEFAULTS_PATH を現在のディレクトリではなく絶対パスに設定します。

デフォルトオプションファイルのインタフェース安定性はコミットされていません。オプション処理の順序は、将来のリリースで変更される可能性があります。