Oracle® VM Server for SPARC 3.2 管理ガイド

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更新: 2015 年 5 月
 
 

CPU のドメイン移行要件

    次に、移行を実行する場合の CPU に対する要件および制限を示します。

  • ターゲットマシンには、移行元ドメインによって使用されている仮想 CPU の数に対応できる十分な空き仮想 CPU が存在する必要があります。

  • ゲストドメインの cpu-arch プロパティーにより、プロセッサの種類が異なるシステム間でドメインを移行できます。cpu-arch 値を変更するには、ゲストドメインがバウンドまたは非アクティブ状態である必要があります。

    サポートされる cpu-arch プロパティー値は次のとおりです。

    • native は CPU 固有のハードウェア機能を使用して、ゲストドメインが同じ CPU タイプのプラットフォーム間でのみ移行できるようにします。nativeはデフォルト値です。

    • migration-class1 は、SPARC T4 以降の SPARC プラットフォーム用の CPU 間移行ファミリです。これらのプラットフォームでは、移行中と移行後のハードウェア暗号化をサポートするため、サポートされる CPU には下限があります。

      この値は、UltraSPARC T2、UltraSPARC T2 Plus、または SPARC T3 プラットフォーム、または Fujitsu M10 プラットフォーム とは互換性がありません。

    • sparc64-class1 は、SPARC64 プラットフォーム用の CPU 間移行ファミリです。sparc64-class1 値は SPARC64 の命令に基づいているため、generic 値より多い命令数が含まれています。そのため、generic 値に比べてパフォーマンスに影響しません。

      この値は Fujitsu M10 サーバー とのみ互換性があります。

    • generic はすべてのプラットフォームで使用される最低レベルの一般的な CPU ハードウェア機能を使用して、ゲストドメインが CPU タイプに依存しない移行を実行できるようにします。

    次の isainfo -v コマンドは、cpu-arch=generic のとき、および cpu-arch=migration-class1 のときに、システムで使用可能な命令を示します。

    • cpu-arch=generic

      # isainfo -v
      64-bit sparcv9 applications
              asi_blk_init vis2 vis popc
      32-bit sparc applications
              asi_blk_init vis2 vis popc v8plus div32 mul32
    • cpu-arch=migration-class1

      # isainfo -v
      64-bit sparcv9 applications
              crc32c cbcond pause mont mpmul sha512 sha256 sha1 md5
              camellia des aes ima hpc vis3 fmaf asi_blk_init vis2
              vis popc
      32-bit sparc applications
              crc32c cbcond pause mont mpmul sha512 sha256 sha1 md5
              camellia des aes ima hpc vis3 fmaf asi_blk_init vis2
              vis popc v8plus div32 mul32

    generic 値を使用すると、native 値の使用と比較して、ゲストドメインのパフォーマンスが低下する場合があります。パフォーマンスの低下は、ゲストドメインが特定の CPU のネイティブハードウェア機能を使用する代わりに、すべてのサポートされている CPU タイプで使用可能な汎用 CPU 機能のみを使用するため、発生する可能性があります。これらの機能を使用しないことで、generic 値により、さまざまな機能をサポートする CPU を使用するシステム間で、ドメインのマイグレーションの柔軟性が得られます。

    SPARC T4 以上のシステム間でドメインを移行する場合、cpu-arch=migration-class1 を設定して、ゲストドメインのパフォーマンスを向上させることができます。パフォーマンスは generic 値の使用によって向上しますが、native 値もゲストドメインの最適なパフォーマンスを実現します。

    cpu-arch プロパティーが native に設定されているときに psrinfo -pv コマンドを使用すると、次のようにプロセッサタイプを判断できます。

    # psrinfo -pv
    The physical processor has 2 virtual processors (0 1)
      SPARC-T5 (chipid 0, clock 3600 MHz)

    cpu-arch プロパティーが native 以外の値に設定されている場合、psrinfo -pv の出力にはプラットフォームタイプが表示されません。代わりに、このコマンドは sun4v-cpu CPU モジュールがロードされていることを示します。

    # psrinfo -pv
    The physical processor has 2 cores and 13 virtual processors (0-12)
      The core has 8 virtual processors (0-7)
      The core has 5 virtual processors (8-12)
        sun4v-cpu (chipid 0, clock 3600 MHz)