ポリシーを使用して、DR 操作を自動的に実行する方法を決定できます。現時点では、仮想 CPU の動的リソース管理を制御するポリシーのみを作成できます。
注意 - CPU の動的なリソース管理 (DRM) には、以下の制限が影響します。
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リソース管理ポリシーでは、論理ドメインで仮想 CPU を自動的に追加および削除できる条件について指定します。ポリシーを管理するには、ldm add-policy、ldm set-policy、および ldm remove-policy コマンドを使用します。
ldm add-policy [enable=yes|no] [priority=value] [attack=value] [decay=value] [elastic-margin=value] [sample-rate=value] [tod-begin=hh:mm[:ss]] [tod-end=hh:mm[:ss]] [util-lower=percent] [util-upper=percent] [vcpu-min=value] [vcpu-max=value] name=policy-name domain-name... ldm set-policy [enable=[yes|no]] [priority=[value]] [attack=[value]] [decay=[value]] [elastic-margin=[value]] [sample-rate=[value]] [tod-begin=[hh:mm:ss]] [tod-end=[hh:mm:ss]] [util-lower=[percent]] [util-upper=[percent]] [vcpu-min=[value]] [vcpu-max=[value]] name=policy-name domain-name... ldm remove-policy [name=]policy-name... domain-name
これらのコマンドの詳細およびリソース管理ポリシーの作成については、ldm(1M) マニュアルページを参照してください。
ポリシーは、tod-begin プロパティーと tod-end プロパティーで指定された期間の間有効です。tod-begin で指定される時間は、tod-end で指定される時間より 24 時間制での早い時間である必要があります。デフォルトでは、tod-begin および tod-end プロパティーの値はそれぞれ 00:00:00 と 23:59:59 です。デフォルト値を使用する場合、ポリシーは常に有効です。
ポリシーは、priority プロパティーの値を使用して、動的リソース管理 (DRM) ポリシーの優先順位を指定します。優先順位の値を使用して、単一ドメイン上の DRM ポリシー間、および単一システム上の DRM が有効なドメイン間の関係が決定されます。数値が低いほど、優先度は高く (良く) なります。有効な値は、1 から 9999 までです。デフォルト値は 99 です。
priority プロパティーの動作は、次のように、空き CPU リソースのプールの利用度に依存します。
プール内の空き CPU リソースが使用可能です。この場合、priority プロパティーによって、1 つのドメインに複数の重複するポリシーが定義されている場合に、どの DRM ポリシーが有効になるのかが決まります。
プール内の空き CPU リソースが使用可能ではありません。この状況では、priority プロパティーによって、リソースを同じシステムの低い優先順位のドメインから高い優先順位のドメインに動的に移動できるかどうかを指定します。ドメインの優先順位は、そのドメインで有効になっている DRM ポリシーによって指定された優先順位です。
たとえば、優先順位の高いドメインは、優先順位の低い DRM ポリシーを持つ別のドメインから CPU リソースを取得できます。このリソース取得機能は、DRM ポリシーが有効になっているドメインのみに適用されます。priority 値が等しいドメインは、この機能の影響を受けません。そのため、すべてのポリシーに対してデフォルトの優先順位が使用されている場合、ドメインは優先順位の低いドメインからリソースを取得できません。この機能を活用するには、値が等しくならないように priority プロパティーの値を調整します。
たとえば、ldg1 ドメインと ldg2 ドメインの両方で DRM ポリシーが有効になっているとします。ldg1 ドメインの priority プロパティーは 1 で、ldg2 ドメインの priority プロパティーの値 (2) より優先されます。次の状況では、ldg1 ドメインは ldg2 ドメインから CPU リソースを動的に削除して自分に割り当てることができます。
ldg1 ドメインにさらに CPU リソースが必要である。
空き CPU リソースのプールがすべて使用されている。
このポリシーは、util-high および util-low プロパティー値を使用して、CPU 使用率の上限と下限を指定します。利用率が util-high の値を超えた場合、仮想 CPU の数が vcpu-min から vcpu-max までの値の範囲に収まるまで、仮想 CPU がドメインに追加されます。利用率が util-low の値を下回った場合、仮想 CPU の数が vcpu-min から vcpu-max までの値の範囲に収まるまで、仮想 CPU がドメインから削除されます。vcpu-min に達すると、仮想 CPU をそれ以上動的に削除できません。vcpu-max に達すると、仮想 CPU をそれ以上動的に追加できません。
使用例 13-10 リソース管理ポリシーの追加たとえば、数週間に渡ってシステムの標準利用率を観測したあと、リソース使用状況を最適化するためにポリシーを設定する場合があります。使用率がもっとも高いのは、毎日太平洋標準時の午前 9:00 -午後 6:00、使用率が低いのは、毎日太平洋標準時の午後 6:00 -午前 9:00 です。
このシステム利用率の観測に基づき、システム全体の利用率に従って次の高利用率ポリシーと低利用率ポリシーを作成することにします。
高: 毎日太平洋標準時の午前 9:00 -午後 6:00
低: 毎日太平洋標準時の午後 6:00 -午前 9:00
次の ldm add-policy コマンドで、高利用率時に ldom1 ドメインで使用される high-usage ポリシーを作成します。
次の high-usage ポリシーは次のことを行います。
tod-begin プロパティーと tod-end プロパティーを設定することで、開始時間と終了時間がそれぞれ午前 9:00 と午後 6:00 であることを指定します。
util-lower プロパティーと util-upper プロパティーを設定することで、ポリシー分析を実行する上限と下限がそれぞれ 25 パーセントと 75 パーセントであることを指定します。
vcpu-min プロパティーと vcpu-max プロパティーを設定することで、仮想 CPU の最小数と最大数がそれぞれ 2 と 16 であることを指定します。
attack プロパティーを設定することで、任意の 1 回のリソース制御サイクルで追加される仮想 CPU の最大数は 1 であることを指定します。
decay プロパティーを設定することで、任意の 1 回のリソース制御サイクルで削除される仮想 CPU の最大数は 1 であることを指定します。
priority プロパティーを設定することで、このポリシーの優先順位が 1 であることを指定します。優先順位が 1 であるため、別のポリシーが有効になることが可能であっても、このポリシーが実施されます。
name プロパティーを設定することで、ポリシーファイルの名前が high-usage であることを指定します。
enable や sample-rate など、指定されていないプロパティーではデフォルト値を使用します。ldm(1M) マニュアルページを参照してください。
primary# ldm add-policy tod-begin=09:00 tod-end=18:00 util-lower=25 util-upper=75 \ vcpu-min=2 vcpu-max=16 attack=1 decay=1 priority=1 name=high-usage ldom1
次の ldm add-policy コマンドで、低利用率時に ldom1 ドメインで使用される med-usage ポリシーを作成します。
次の med-usage ポリシーは次のことを行います。
tod-begin プロパティーと tod-end プロパティーを設定することで、開始時間と終了時間がそれぞれ午後 6:00 と午前 9:00 であることを指定します。
util-lower プロパティーと util-upper プロパティーを設定することで、ポリシー分析を実行する上限と下限がそれぞれ 10 パーセントと 50 パーセントであることを指定します。
vcpu-min プロパティーと vcpu-max プロパティーを設定することで、仮想 CPU の最小数と最大数がそれぞれ 2 と 16 であることを指定します。
attack プロパティーを設定することで、任意の 1 回のリソース制御サイクルで追加される仮想 CPU の最大数は 1 であることを指定します。
decay プロパティーを設定することで、任意の 1 回のリソース制御サイクルで削除される仮想 CPU の最大数は 1 であることを指定します。
priority プロパティーを設定することで、このポリシーの優先順位が 1 であることを指定します。優先順位が 1 であるため、別のポリシーが有効になることが可能であっても、このポリシーが実施されます。
name プロパティーを設定することで、ポリシーファイルの名前が high-usage であることを指定します。
enable や sample-rate など、指定されていないプロパティーではデフォルト値を使用します。ldm(1M) マニュアルページを参照してください。
primary# ldm add-policy tod-begin=18:00 tod-end=09:00 util-lower=10 util-upper=50 \ vcpu-min=2 vcpu-max=16 attack=1 decay=1 priority=1 name=med-usage ldom1