仮想ネットワークおよび仮想スイッチデバイスは、リンクステータスのネットワークスタックへの更新をサポートします。デフォルトでは、仮想ネットワークデバイスはその仮想リンク (仮想スイッチへの LDC) のステータスをレポートします。この構成はデフォルトで有効になり、追加の構成手順を実行する必要はありません。
場合によっては、物理ネットワークのリンク状態の変更を検出する必要があります。たとえば、物理デバイスが仮想スイッチに割り当てられている場合、仮想ネットワークデバイスからその仮想スイッチデバイスへのリンクが動作していても、サービスドメインから外部ネットワークへの物理ネットワークリンクは停止している可能性があります。このような場合、物理リンクステータスを取得して仮想ネットワークデバイスとそのスタックにレポートする必要がある可能性があります。
linkprop=phys-state オプションを使用すると、仮想ネットワークデバイスおよび仮想スイッチデバイスに対して物理リンク状態の追跡を構成できます。このオプションを有効にすると、仮想デバイス (仮想ネットワークまたは仮想スイッチ) が、ドメインでインタフェースとして作成されている間、物理リンクステータスに基づいてリンクステータスをレポートします。dladm、ifconfig などの、Oracle Solaris の標準ネットワーク管理コマンドを使用して、リンクステータスを確認できます。また、リンクステータスは /var/adm/messages ファイルにも記録されます。
Oracle Solaris 10 の場合、dladm(1M)およびifconfig(1M)のマニュアルページを参照してください。Oracle Solaris 11 の場合、dladm(1M)、ipadm(1M)、ipmpstat(1M)のマニュアルページを参照してください。
この手順では、仮想ネットワークデバイスで物理リンクステータスの更新を有効にする方法を示します。
同様の手順に従い、ldm add-vsw および ldm set-vsw コマンドに linkprop=phys-state オプションを指定することで、仮想スイッチデバイスで物理リンクステータスの更新を有効にすることもできます。
仮想ネットワークデバイスで物理リンクステータスの更新を有効にするには、次の手順に従います。
ldm add-vnet コマンド実行時に linkprop=phys-state を指定し、仮想ネットワークデバイスを作成します。
linkprop=phys-state オプションを指定すると、仮想ネットワークデバイスが物理リンクステータスの更新を取得してスタックにレポートするように構成されます。
primary# ldm add-vnet linkprop=phys-state if-name vswitch-name domain-name
次の例では、論理ドメイン ldom1 の primary-vsw0 に接続された ldom1_vnet0 で物理リンクステータスの更新を有効にします。
primary# ldm add-vnet linkprop=phys-state ldom1_vnet0 primary-vsw0 ldom1
ldm set-vnet コマンド実行時に linkprop=phys-state を指定し、既存の仮想ネットワークデバイスを変更します。
primary# ldm set-vnet linkprop=phys-state if-name domain-name
次の例では、論理ドメイン ldom1 の vnet0 で物理リンクステータスの更新を有効にします。
primary# ldm set-vnet linkprop=phys-state ldom1_vnet0 ldom1
物理リンクステータスの更新を無効にするには、ldm set-vnet コマンドを実行して linkprop= を指定します。
次の例では、論理ドメイン ldom1 の ldom1_vnet0 で物理リンクステータスの更新を無効にします。
primary# ldm set-vnet linkprop= ldom1_vnet0 ldom1
次の例は、物理リンクステータスの更新を有効にする方法と有効にしない方法の両方を使用してリンクベースの IPMP を構成する方法を示します。
次の例では、1 つのドメインで 2 つの仮想ネットワークデバイスを構成します。各仮想ネットワークデバイスは、リンクベースの IPMP を使用するためにサービスドメインの個別の仮想スイッチデバイスに接続されます。
次のコマンドは、仮想ネットワークデバイスをドメインに追加します。linkprop=phys-state が指定されていないため、仮想スイッチへのリンクのみでステータスの変更がモニターされることに注意してください。
primary# ldm add-vnet ldom1_vnet0 primary-vsw0 ldom1 primary# ldm add-vnet ldom1_vnet1 primary-vsw1 ldom1
次のコマンドは、仮想ネットワークデバイスをゲストドメインで構成して IPMP グループに割り当てます。リンクベースの障害検出が使用されているためにこれらの仮想ネットワークデバイスでテストアドレスが構成されていないことに注意してください。
Oracle Solaris 10 OS: ifconfig コマンドを使用します。
primary# ifconfig vnet0 plumb primary# ifconfig vnet1 plumb primary# ifconfig vnet0 group ipmp0 primary# ifconfig vnet1 group ipmp0
2 番目および 3 番目のコマンドは、必要に応じて、IP アドレスとの ipmp0 インタフェースを構成します。
Oracle Solaris 11 OS: ipadm コマンドを使用します。
net0 と net1 はそれぞれ vnet0 と vnet1 の Oracle Solaris 11 バニティー名です。
primary# ipadm create-ip net0 primary# ipadm create-ip net1 primary# ipadm create-ipmp ipmp0 primary# ipadm add-ipmp -i net0 -i net1 ipmp0
次の例では、1 つのドメインで 2 つの仮想ネットワークデバイスを構成します。各ドメインは、リンクベースの IPMP を使用するためにサービスドメインの個別の仮想スイッチデバイスに接続されます。また、仮想ネットワークデバイスは、物理リンクステータスの更新を取得するように構成されます。
primary# ldm add-vnet linkprop=phys-state ldom1_vnet0 primary-vsw0 ldom1 primary# ldm add-vnet linkprop=phys-state ldom1_vnet1 primary-vsw1 ldom1
次のコマンドは、仮想ネットワークデバイスを作成して IPMP グループに割り当てます。
Oracle Solaris 10 OS: ifconfig コマンドを使用します。
primary# ifconfig vnet0 plumb primary# ifconfig vnet1 plumb primary# ifconfig vnet0 192.168.1.1/24 up primary# ifconfig vnet1 192.168.1.2/24 up primary# ifconfig vnet0 group ipmp0 primary# ifconfig vnet1 group ipmp0
Oracle Solaris 11 OS: ipadm コマンドを使用します。
net0 と net1 はそれぞれ vnet0 と vnet1 のバニティー名です。
primary# ipadm create-ip net0 primary# ipadm create-ip net1 primary# ipadm create-ipmp ipmp0 primary# ipadm add-ipmp -i net0 -i net1 ipmp0 primary# ipadm create-addr -T static -a 192.168.1.1/24 ipmp0/v4addr1 primary# ipadm create-addr -T static -a 192.168.1.2/24 ipmp0/v4addr2