仮想 I/O フレームワークは、機能およびパフォーマンスを向上させるために、「ハイブリッド」I/O モデルを実装しています。ハイブリッド I/O モデルでは、ダイレクト I/O および仮想化 I/O を組み合わせることで、仮想マシンへの柔軟な I/O リソース配備が可能です。これは、仮想マシンに対して直接 I/O の機能が十分に提供されない場合、またはリソースの可用性や仮想マシンの移行のため、仮想マシンが持続的にあるいは一貫して直接 I/O を利用できない場合に特に便利です。
ハイブリッド I/O アーキテクチャーは、Oracle Sun UltraSPARC T2、SPARC T3、および SPARC T4 プラットフォームのネットワークインタフェースユニット (NIU) に適しています。NIU は、チップに統合されるネットワーク I/O インタフェースです。このアーキテクチャーにより、ダイレクトメモリーアクセス (DMA) リソースを仮想ネットワークデバイスに動的に割り当てることができ、ドメイン内のアプリケーションのパフォーマンスが安定します。
NIU ハイブリッド I/O は、Oracle Sun UltraSPARC T2、SPARC T3、および SPARC T4 プラットフォームで使用できます。この機能は、仮想ネットワーク (vnet) デバイスに提供されるオプションのハイブリッドモードによって有効になります。このモードでは、DMA ハードウェアリソースが、パフォーマンスを向上させるために、ゲストドメインの vnet デバイスに貸し出されます。ハイブリッドモードでは、ゲストドメインの vnet デバイスは、この DMA ハードウェアリソースを使用して、外部ネットワークとゲストドメインの間で、ユニキャストトラフィックを直接送受信することができます。同じシステム内のほかのゲストドメインへのブロードキャストトラフィック、マルチキャストトラフィック、およびユニキャストトラフィックは、仮想 I/O 通信メカニズムを使用して引き続き送信されます。
図 11-10 ハイブリッド仮想ネットワーク接続
ハイブリッドモードは、NIU ネットワークデバイスを使用するように構成された仮想スイッチ (vsw) に関連付けられた vnet デバイスだけに適用されます。共有可能な DMA ハードウェアリソースには制限があるため、DMA ハードウェアリソースの割り当てを受けられるのは、一度に、1 つの vsw あたり最大 3 つの vnet デバイスのみです。4 つ以上の vnet デバイスでハイブリッドモードを有効にすると、割り当ては先着順に行われます。1 つのシステムに 2 つの NIU ネットワークデバイスがあるため、DMA ハードウェアリソースが割り当てられている 2 つの異なる仮想スイッチで、合計 6 つの vnet デバイスが存在できます。
この機能を使用する場合は、次の点に注意してください。
vnet デバイスのハイブリッドモードオプションは、推奨としてのみ扱われるため、DMA リソースが割り当てられるのは、DMA リソースが利用可能で、デバイスがそれらを使用できる場合だけです。
Logical Domains Manager CLI コマンドは、ハイブリッドモードオプションを検証しません。つまり、どの vnet にも、いくつの vnet デバイスにもハイブリッドモードを設定することができます。
ゲストドメインおよびサービスドメインでは、Oracle Solaris 10 10/08 以上の OS を実行する必要があります。
DMA ハードウェアリソースの貸し出しを受けられるのは、一度に、1 つの vsw あたり最大 3 つの vnet デバイスのみです。2 つの NIU ネットワークデバイスがあるため、DMA ハードウェアリソースの貸し出しを受けられるのは合計 6 つの vnet デバイスです。
ゲストドメインがアクティブの間、ハイブリッドモードオプションを動的に変更することはできません。
DMA ハードウェアリソースが割り当てられるのは、ゲストドメインでアクティブな vnet デバイスが作成されている場合のみです。
NIU 10 ギガビット Ethernet ドライバ (nxge) は NIU カードで使用されています。他の 10 ギガビットネットワークカードでも、同じドライバが使用されます。ただし、NIU ハイブリッド I/O 機能は、NIU ネットワークデバイスのみで利用可能です。