このドキュメントで説明するソフトウェアは、Extended SupportまたはSustaining Supportのいずれかにあります。 詳細は、https://www.oracle.com/us/support/library/enterprise-linux-support-policies-069172.pdfを参照してください。
Oracleでは、このドキュメントに記載されているソフトウェアをできるだけ早くアップグレードすることをお薦めします。
PTPを使用すると、ローカル・エリア・ネットワーク上のシステム・クロックをNTPよりも高い精度で同期できます。 ネットワーク・ドライバがハードウェアまたはソフトウェア・タイム・スタンプをサポートしている場合、PTPクロックはそのタイム・スタンプをPTPメッセージで使用し、ネットワーク全体で伝播遅延を調整できます。 ソフトウェア・タイム・スタンプを使用すると、PTPは数十ミリ秒以内の精度でシステムを同期できます。 ハードウェア・タイム・スタンプを使用すると、PTPは数十分の1ミリ秒以内の精度でシステムを同期できます。 システムの高精度時刻同期が必要な場合は、ハードウェア・タイム・スタンプを使用してください。 UEK R3およびRHCKのカーネルはいずれも、IEEE 1588で定義されているPTPバージョン2をサポートしています。
企業ローカル・エリア・ネットワークの標準のPTP構成は次のとおりです。
1つ以上のグランドマスター・クロック・システム。
グランドマスター・クロックは通常、高精度のGPS信号または低精度の符号分割多重接続(CDMA)信号、電波時計信号あるいはNTPを時間参照ソースとして使用できる特殊なハードウェアとして実装されます。 複数のグランドマスター・クロックを使用できる場合は、ベスト・マスター・クロック(BMC)アルゴリズムが、それぞれの
priority1
、clockClass
、clockAccuracy
、offsetScaledLogVariance
およびpriority2
の各パラメータ設定と一意のIDに(この順番で)基づいて、グランドマスター・クロックを選択します。いくつかの境界クロック・システム。
各境界クロックは1つのサブネットワーク上でグランドマスター・クロックのスレーブになり、PTPメッセージを1つ以上の追加サブネットワークに中継します。 境界クロックは通常、ネットワーク・スイッチの機能として実装されます。
複数のスレーブ・クロック・システム。
サブネットワーク上の各スレーブ・クロックは、自身のマスター・クロックとして機能する境界クロックのスレーブです。
より簡単な構成は、1つのグランドマスター・クロックと複数のスレーブ・クロックを同じネットワーク・セグメント上に配置し、境界クロックの中間層を必要としない設定にすることです。
PTP用ネットワーク・インタフェースを1つのみ使用しているグランドマスターとスレーブ・クロックのシステムは通常のクロックと呼ばれます。
境界クロックには2つ以上のPTP用ネットワーク・インタフェースが必要で、そのうち1つはグランドマスター・クロックまたは上位の境界クロックのスレーブとして機能し、その他のインタフェースはスレーブ・クロックまたは低位の境界クロックのマスターとして機能します。
境界クロックとスレーブ・クロックのシステムの同期は、タイム・スタンプをPTPメッセージで送信することにより実現します。 デフォルトでPTPメッセージはUDPv4データグラムで送信されます。 UDPv6データグラムまたはイーサネット・フレームを転送方式として使用するようにPTPを構成することも可能です。
システムでPTPを使用可能にするには、システムの1つ以上のネットワーク・インタフェース用のドライバが、ソフトウェアまたはハードウェア・タイム・スタンプをサポートしている必要があります。 ネットワーク・インタフェース用のドライバがタイム・スタンプをサポートしているかどうか確認するには、次の例で示したようにethtoolコマンドを使用します。
# ethtool -T em1
Time stamping parameters for em1:
Capabilities:
hardware-transmit (SOF_TIMESTAMPING_TX_HARDWARE)
software-transmit (SOF_TIMESTAMPING_TX_SOFTWARE)
hardware-receive (SOF_TIMESTAMPING_RX_HARDWARE)
software-receive (SOF_TIMESTAMPING_RX_SOFTWARE)
software-system-clock (SOF_TIMESTAMPING_SOFTWARE)
hardware-raw-clock (SOF_TIMESTAMPING_RAW_HARDWARE)
...
この例のethtoolの出力から、em1
インタフェースがハードウェアとソフトウェアの両方のタイム・スタンプ機能をサポートしていることがわかります。
ptp4l
は、ソフトウェア・タイム・スタンプを使用してシステム・クロックを外部のグランドマスター・クロックに同期します。
ハードウェア・タイム・スタンプが使用可能な場合、ptp4l
はPTPハードウェア・クロックを外部のグランドマスター・クロックに同期できます。 この場合は、phc2sys
デーモンを使用してシステム・クロックをPTPハードウェア・クロックと同期します。