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マニュアルページ セク ション 1: ユー ザーコマンド

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更新: 2016年12月6日
 
 

neqn(1)

名前

eqn, neqn, checkeq - 数学的記述のタイプセット

形式

eqn [-d xy] [ -f n] [-p n ] [ -s n] [ file]...
neqn [file]...
checkeq [file]...

説明

eqn および neqn は、数式を記述するのに便利な言語プロセッサです。eqntroff(1) 用のプリプロセッサで、troff の出力を印刷できる装置用に提供されています。neqnnroff(1) 用のプリプロセッサで、端末での出力用に提供されています。通常この 2 つのコマンドは、以下の形式で指定します。

example% eqn file ... | troff
example% neqn file ... | nroff

ファイル名を表す file引数を省略すると、eqn または neqn は標準入力から読み込みます。数式の開始を示すには、行の先頭に .EQ を記述します。同様に数式の終了は、行の先頭に .EN を記述して表します。この 2 つの行は変換されないので、センタリングや番号付けなどを行うマクロパッケージ中に定義しておくこともできます。また、一対の文字を「区切り記号」として設定し、区切り記号に囲まれたテキストを eqn 入力として処理させることもできます。

区切り記号や .EQ/.EN が存在しない、または対で指定されていない場合、checkeq はメッセージを出力します。

オプション

サポートしているオプションは、次のとおりです。

–dxy

コマンド行引数で設定される数式の区切り記号として、文字 xy を設定します。ただしこの方法よりも、.EQ.EN の間で delim xy を使って区切り記号を指定する方法がより一般的です。x と y には同じ文字を指定することも可能です。テキスト中に delim off と記述すると、区切り記号は有効でなくなります。区切り記号にも .EQ.EN にも囲まれていないテキストは、すべてそのまま渡されます。

–fn

ドキュメント全体を通じて使用するフォントとして n を指定します。このグローバルフォントの設定は、ドキュメントの本文中に gfont n 命令を指定して変更することもできます。n はフォント指定です。

–pn

下付きおよび上付きの添字のサイズを、直前の文字サイズより n ポイントだけ小さくします。–p オプションを省略すると、添字のサイズは 3 ポイント小さくなります。

–sn

ドキュメント全体を通じて使用する文字サイズとして n を指定します。このグローバルサイズの設定は、ドキュメントの本文中に gsize n 命令を指定して変更することもできます。n はポイントサイズです。

オペランド

次のオペランドがサポートされています。

file

eqn または neqn によって処理される nroff のファイルまたは troff のファイル。

EQN 言語

この説明を nroff を使って端末画面に表示した場合、端末画面の制限から neqn による出力箇所は正確には表示できません。出力の正確な表示を確認するために、このページを印刷してご覧ください。

eqn 中のトークンは、中括弧、二重引用符、チルド、山型記号、スペース文字、タブ、または復帰改行文字で区切られます。中括弧 { } は、グループ分けに用いられます。一般的には、たとえば x のような 1 つの文字が記述できる箇所であれば、中括弧で囲んだ複雑な記述を代わりに指定できます。チルド (~) は出力中における 1 文字分のスペースを、山型記号 (^) は半文字分のスペースを表します。

下付きおよび上付きの添字:

これらは、キーワード subsup を使って生成できます。

x sub i

の出力は次のようになります。 image:ascii 版は x(i)  です。

a sub i sup 2

の出力は次のようになります。 image:ascii 版は a(i)^2 です。

e sup {x sup 2 + y sup 2}

の出力は次のようになります。 image:ascii 版は e^(x^2+y^2) です。

分数:

分数は、キーワード over で指定します。

a over b

この出力は次のようになります。 image:方程式で、分子が a、分母が b です。

平方根の式:

平方根の式は、キーワード sqrt で指定します。

1 over sqrt {ax sup 2 +bx+c}

この出力結果は、次のようになります。 image:方程式で、分子が 1、分母は x の 2 乗の a 倍 + bx + c の平方根です。

制限値:

キーワード fromto は、種々の指定における最小値と最大値を表します。

lim from {n-> inf } sum from 0 to n x sub i

の出力は次のようになります。 image:方程式で、リミット n から無限大、シグマ 0 から n のときの xi です。

括弧:

大括弧、中括弧などを適切な高さで出力するには、左括弧に left を、右括弧には right をそれぞれ使用します。

left [ x sup 2 + y sup 2 over alpha right ] ~=~1

の出力は次のようになります。 image:方程式で、大括弧、x の 2 乗プラスアルファ分の y の 2 乗、大括弧閉じる = 1 です。

なお、right 文節は省略することができます。キーワード leftright の直後に指定できる文字は、大括弧、中括弧、縦棒、上端と下端を表す cf、何もない旨を示す "" (対になるべき括弧のうち右括弧だけを使う場合に便利) です。

分数を縦に重ねる:

分数を縦に重ねるには、pilelpilecpile、または rpile を使用します。

pile {a above b above c}

の出力は次のようになります。 image:方程式で、上から a、b、c の順に積み重ねられています。

何重に積み重ねてもかまいません。文字を合わせる位置は、lpile は左詰め、pilecpile はともにセンタリング (ただし縦方向の間隔が異なる)、そして rpile は右詰めとなります。

行列:

行列は matrixというキーワードで生成されます。

matrix { lcol { x sub i above y sub 2 } ccol { 1 above 2 } }

の出力は次のようになります。image:xi、1、y2、2 という行列です。

カラムを右詰めにするには rcol を使用します。

文字の上下に付加する記号:

発音符記号のように文字の上下に付加する記号は、dotdotdothattildebarvecdyadunderを使って指定できます。

x dot = f(t) bar

出力は次のようになります。 image:方程式で、ドット x = バー f 括弧 t です。

y dotdot bar ~=~ n under

出力は次のようになります。 image:方程式で、バードットドット y = アンダーバー n です。

x vec ~=~ y dyad

出力は次のようになります。 image:方程式で、ベクトル x = ダイアド y です。

文字のサイズとフォント:

文字のサイズやフォントの変更は、size n または size nromanitalicboldfont n で指定します。ドキュメント全体を通じてグローバルに使用する文字サイズとフォントは、gsize ngfont n をドキュメント中に指定するか、またはコマンド行引数の –sn–fn を使って変更できます。

表示引数の位置:

一連の表示引数の位置をそろえることもできます。先頭の数式において、そろえたい表示引数の直前に mark と記述します。さらに後続の数式において、それと合わせたい表示引数の直前に lineup と記述します。

短縮形:

入力の短縮形を定義したり既存のキーワードを再定義するには、define を使用します。次に例を示します。

define thing % replacement %

これにより thing というトークンが新たに定義され、その後このトークンが現れるたびに replacement に置き換えられます。なお % の位置には、任意の文字 (ただし replacement に含まれていないもの) を指定できます。

キーワードと短縮形:

sum int inf のようなキーワード、および >= ->!= のような短縮形も処理されます。

ギリシャ文字:

ギリシャ文字は alpha または GAMMA のように、大文字・小文字のうち希望する方のつづりで出力できます。

数学用語:

sincoslog のような数学用語は自動的にローマン字体で出力されます。

\(bu (·) のような 4 文字からなる troff(1) のエスケープは、どこでも使用できます。二重引用符に囲まれた文字列 ". . ." は、そのまま渡されます。これによりキーワードをテキストとして入力でき、また (他の方法が使えないとき) troff との通信用に使うことができます。

属性

属性についての詳細は、マニュアルページの attributes(5) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
text/doctools

関連項目

nroff(1), tbl(1), troff(1), attributes(5), ms(5)

バグ

数字や括弧をボールドで出力したい場合、bold "12.3" のように引用符で囲んでください。